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ついに完結!陳内将・加藤将・菊池修司らが魂を込めて演じる  舞台「紅葉鬼」~酒吞奇譚~レポート

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舞台『紅葉鬼』~酒吞奇譚~

『紅葉鬼』は、シリーズ累計発行部数400万部を突破、2018年に放送されたTVアニメも好評を博した人気漫画『抱かれたい男 1 位に脅されています。』(月刊マガジンビーボーイ連載/リブレ刊)の劇中劇を舞台化した作品。2019年に一作目、2021年に続編となる「舞台『紅葉鬼』~童子奇譚~」が上演された。

そして2022年5月8日(日)より、完結編となる「舞台「紅葉鬼」~酒吞​奇譚~」がスタート。公演に先駆け、西條高人/経若役の陳内将、東谷准太/酒吞童子役の加藤将、綾木千広/繁貞役の菊池修司、演出の町田慎吾による会見とゲネプロが行われた。

――まずは本作への意気込みをお願いします。

陳内:2019年の夏から始まり、2021年の冬、2022年の春。紅葉の季節には上演されてはいませんが、ふとした時に思い出す景色がこの舞台に詰まっているので、オールシーズンやれたと思っています。今回は修司が帰ってきてくれて、(加藤)将もいて、まっちさんの演出プランもどんどん広がって、みんなで一緒にエンターテインメントを作っています。それをこのご時世にお客様にお届けできるのが本当に幸せですね。

加藤:座長の将さんが言ってくれたのが全てです。僕は3作目からで、出来上がったカンパニーにメインキャラクターとして入るプレッシャーもありましたが、みんなが引っ張ってくれました。オリジナル作品で難しさもあるけど、その分の自由もある。自分達がやっていることに誇りを持って、「これが紅葉鬼だ」とお客さんに伝わるように稽古してきました。ぜひ楽しんでください。

菊池:約3年ぶりの出演で、(繁貞の)衣装も髪型も新しくなりました。当時はシリーズになるとは思っていませんでした。こうやって3部までこれたのは、皆さんの応援あってのことですし、当たり前のことではないと思います。カンパニー一同、今まで以上の大作としてお届けできるようにしたいです。個人的には、稽古をしていても1作目の時の気持ち、繁貞の思いがよみがえってきました。3年を経て成長しているので、その集大成をお届けしたいと思います。

町田:2019年の初演が僕の初めての演出作品でした。それを完結編まで続けられて、本当に幸せに思っています。さっき将くんが言ったように、オリジナル作品ということで、みんなで話し合いながら手探りで作ってきました。大変な分楽しさもあり、お客様が見てくださって繋がってきた作品です。今回も絶対に楽しんでいただけるよう、心を込めて全員で作りました。見にきてくださったら嬉しいと思います。

――衣装や音楽なども含めたこだわりを教えてください。

町田:まずは原作の本当に美しい世界を大切にしたいなと。2作目からは生演奏も入ってもらい、今作が一番エンタメ要素が強いと思います。だから、役者の皆さんのお芝居は崩さず、音楽とエンタメ性でより皆さんが素敵に、綺麗に見えるように演出させていただきました。

菊池:今回は本当に驚きの嵐ですよね。

陳内:自分が出てないシーン、客席で見た時にパワーがすごいなって思った。

菊池:自分も出てるのに、本当にすごいなと思っちゃう。楽しみにしていただきたいですね。

町田:皆さんとにかく綺麗です。

加藤:オープニングもやばいっすよね!

――稽古場の雰囲気はいかがでしたか?

菊池:休憩中はいぶき役の2人に和みつつ、稽古中はしっかり。オンオフがパキッとしてましたね。

陳内:僕がピリッとした空気を作っちゃった時に、将の天然要素に助けられました。突拍子もないこと言ったりやったりするので空気が和んで。

加藤:将さんがバランサーやと思ってたけど、実は俺がバランサーって今判明しましたね!

菊池:そこまでは言ってない!

一同:(笑)。

町田:(稽古場も)こんな感じでした。修ちゃんも天然だよね。

菊池:だから1作目の時は陳さんに可愛がってもらってたのに、今作は加藤将くんばっかり可愛がられてたのでちょっと嫉妬しました。

陳内:それはさ、一緒のシーン的なものもあるから(笑)。

町田:陳内くんは1作目から比べて笑顔が多くなったなと。座長としてピリッとした空気を出したり和ませてくれたり。天然の方達のフォローもしてくれて助けられましたね。

一同:(笑)。

――最後に、お客様へのメッセージをお願いします。

陳内:1作目から完結編までやれるのは、お客様の支えがあってのことです。お客様に満足してほしいし、3部作をちゃんと完結させるのが今回の僕達の責務ですが、まだ観たいと思ってほしい。番外編を観たいと思ってもらいたいという気持ちがあるくらい、魂を削って『紅葉鬼』に挑んできました。存分に楽しんでくださればものすごく幸せです。

加藤:僕がやることは、酒吞童子として登場して、彼がどんな人物かをしっかり演じること。「これが『紅葉鬼』だ、これが酒吞童子だ」と感じてほしいです。それと、酒吞童子というキャラクターは、世の中の人がすごく思っていることを抱えているキャラクター。僕は彼の気持ちがすごく分かるし、同じような思いを抱えている人は、きっとこの作品を見たら救われると思うんです。すごく素敵で、いろいろな救いがあるオリジナル作品。僕もほんまに毎公演魂を削って最高のパフォーマンスをぶつけます。本番で目に物見せてやりますよ!

一同:(笑)。

菊池:この後にコメントやりにくいです(笑)。1作目から携わらせていただいていて、本当に大好きな作品です。原作があり、舞台があり、たくさんの方々の力があってここまできた作品だと身にしみています。完結編を楽しんでもらえるよう、精一杯頑張っていますし、1作目から3作目まで、全員の思いがぎゅっと詰まった素敵な作品になっていますので、ぜひ楽しみな気持ちを胸に劇場に来ていただきたいです。

町田:脚本の葛木さんが最初から最後まで愛を持って書いてくださり、役者も本当に素晴らしく演じてくれています。必ず心に響く作品をお見せできると確信していますので、多くの方に観ていただけたらと思っています。

※以下、ネタバレあり。ご注意ください。

<あらすじ>
茨木童子との戦いで深手を負った経若。数ヶ月ぶりに意識を取り戻した彼は、再び小鬼のいぶきと穏やかに過ごしていた。自らを父と慕ういぶきに心を開く経若だったが、経若のある言葉をきっかけに、いぶきはついに正体を明かす。さらに経若の生死を支配し、宿願の帝狩りに向けて動き出した。
一方、帝は経若奪還のために維茂を呼び戻す。酒吞童子率いる大江の鬼たちの力を前に、戸隠の頭目・繁貞に援軍を要請することを決める帝。“鬼と人が共存する世界”は実現できるのか。最終決戦が始まる――。

会見で出た通り、会場のテンションをグッと引き上げ、物語の世界に誘うオープニングが秀逸だ。各陣営に個性豊かなキャラクターが揃っており、保名とイクシマの陰陽術など、映像を使った演出もさらに華やかになっている。扱う武器や戦い方も様々なため、殺陣の見応えも十分。

冒頭から、前作では謎に包まれていた酒吞童子=いぶきの秘密がどんどん明かされていく。彼の抱える過去や事情が分かると、見えるものがガラリと変わる。ゲネプロでいぶきを演じたのは磯田。子どもらしい可愛らしさと鬼の主領らしい佇まいを兼ね備え、物語のキーマンを堂々と演じた。経若をまっすぐ見つめる瞳や必死に語りかける様子が胸に迫る。

満を持して登場した酒吞童子は、ひときわ目を引く長身と豪快なようでしなやかな戦い方、カリスマ性で、圧倒的な迫力と説得力を誇っている。また、背景が明らかになるにつれ、残虐に見えていた言動に隠された思いが分かってくる。加藤は酒吞童子/東谷准太といぶきの気持ちを丁寧に理解し、芝居に落とし込みつつ、観ている側に想像させる余白を残している印象。それを受ける陳内も、経若/西條高人が持つ様々な表情や表現を繊細に作り込んでいる。台詞がないシーンや殺陣からも2人の心情の変化や駆け引きを読み取ることができ、深みのある物語となっている。

様々な思惑と運命に翻弄され、前作では隠居生活を決め込もうとしていた経若の変化も印象的。「父上」と慕ういぶきと、本当の親のようなあたたかさと厳しさで接する経若のやりとりが微笑ましい。

また、酒吞童子に捕らわれた経若が大江の鬼と帝一行の争いを見るシーンでは、凛とした雰囲気から一転、幼子のような表情にゾクっとさせられる。最終決戦では勇ましくも優しく愛情深い父の顔を見せており、経若という人間の魅力が詰まった作品に仕上がっていると感じた。

約2時間という上演時間ながら、キャラクターそれぞれに見せ場があり、愛すべき存在として描かれているのも魅力だ。敵にも義があり、悪役であってもどこか憎みきれない。2作目に引き続いての生演奏も迫力抜群。物語の熱量を底上げし、美しい世界を作り上げている。

そして、親子・家族の物語でもある『紅葉鬼』シリーズ。本作でも、帝と息子たち、維茂と繁貞、いぶきと父親、鷲王と子どもたち、経若といぶきなど、様々な形の親子の姿が描かれる。三部作の完結編ということで、過去作を思い出させるキーワードや、登場した人や鬼の想いを継ぐ台詞が随所に散りばめられているのも、ファンには嬉しいポイントといえるだろう。1作目や2作目からの変化が描かれていたり、掘り下げが行われていたりもするため、本作を観終えた後に改めて過去作を観たいと思わせる構成になっている。「鬼と人の共存」というテーマに対するそれぞれの思いや答えも語られるのだが、ここまでの戦いや犠牲が決して無駄になっていないことが分かり、希望を感じられるラストとなっている。

シリーズファンはもちろん、原作ファンも楽しめるだろう本作。シアター1010にて5月15日(日)まで上演されるほか、配信も行われる。

取材・文・撮影=吉田沙奈

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