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「『座頭市』シリーズが好き」「梶芽衣子にエネルギーもらった」監督&キャストが明かす『ゼイ・ウィル・キル・ユー』の日本オマージュ

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「『座頭市』シリーズが好き」「梶芽衣子にエネルギーもらった」監督&キャストが明かす『ゼイ・ウィル・キル・ユー』の日本オマージュ

『ゼイ・ウィル・キル・ユー』


監督&PD&キャストが熱く語る!

そこは、ニューヨークの喧騒を逃れた地区に建つ高級マンション。住人たちは何不自由なく穏やかな毎日を過ごし、彼らの生活をサポートするメイドたちも誠実に仕事をこなしていた。しかし、新たに雇われたメイドが足を踏み入れたとき、マンションの秘密が明らかになる。マンションは悪魔崇拝者たちの巣窟であり、新参者は“生け贄”として悪魔に捧げられる運命なのだと……。

あまりに過激で型破りなシチュエーションと展開。そこに投入されるのは、多種多様なバトル描写。脱出型ホラーアクションとして新たな地平を切り開くチャレンジに満ちた『ゼイ・ウィル・キル・ユー』(5月8日[金]より全国公開)は、あの『IT/イット “それ”が見えたら終わり。』(2017年)を監督したアンディ・ムスキエティと、彼の姉であるバーバラ・ムスキエティが立ち上げたホラーレーベル<Nocturna(ノクトゥルナ)>の第1回作品だ。

『ゼイ・ウィル・キル・ユー』©2026 Warner Bros. Ent. All rights reserved

ソコロフ監督「特に好きなのは『座頭市』のシリーズ」

ホラーの名手コンビというだけあり、最先端を目指したはずだが、そのあたりをプロデューサーのアンディ・ムスキエティは、あっさり否定する。

最先端とか、時代の新たなトレンドを作るとか、そんなことは一切考えていなかった。すべて監督の感性に託した感じ。彼の名は、キリル・ソコロフ。この映画には、アジアのアクション作品、クエンティン・タランティーノっぽいバイオレンス描写をはじめ、あまりに多くのテイストが詰まっている。それをキリルは一人よがりではなく冷静に組み合わせ、独自の世界を創り出したんだ。そこを映画ファンには堪能してもらいたいね。

『ゼイ・ウィル・キル・ユー』©2026 Warner Bros. Ent. All rights reserved

キリル・ソコロフ監督はロシア出身。これまで2本の長編を手がけ、日本でも配信で観られる前作『とっととくたばれ』(2018年)が示すように、ゴアでバイオレントな描写に絶妙なユーモアをまぶすのが持ち味だ。ハリウッドデビューとなった本作でも、ソコロフはそのテイストを炸裂させている。

アジア映画やタランティーノからの影響について聞くと、「日本のメディアの取材は初めて!」と興奮を隠さない彼は、何よりも日本の作品を愛していると告白した。

僕のインスピレーションの源は、日本映画で占められてる。特に好きなのは『座頭市』のシリーズだし、黒澤明作品のアクションからは血生臭さとユーモア、皮肉のブレンドに感激し、『七人の侍』(1954年)は何度も観直してる。

そこから興味はアニメに発展し、『カウボーイビバップ』(1998年)、『サムライチャンプルー』(2004年)にハマった。タランティーノの『キル・ビル Vol.1』(2003年)は、こうした日本映画も含め、異なる国、異なる文化、そして異なるジャンルを融合させ、オリジナルの作品になっていたよね? 私も同じようなアプローチで本作を撮ったので、日本の皆さんの気分を害さないことだけを祈ってるよ(笑)。

ソコロフのこのコメントはリップサービスではないようだ。『ゼイ・ウィル・キル・ユー』の主人公のエイジアは、「Asia=アジア」という意味。彼女が持っているライターに侍らしきイラストが描かれているなど、あちこちに日本への愛も感じられる。

『ゼイ・ウィル・キル・ユー』©2026 Warner Bros. Ent. All rights reserved

ザジー・ビーツ「意識したのは『修羅雪姫』。梶芽衣子さんに毎日エネルギーをもらっていた」

ある理由により高級マンション<バージル>に新たなメイドとして入り込んだエイジアは、当然のごとく生け贄として住人のターゲットとなる。バージルの各フロアで展開される、<エイジアvs.凶悪な住人たち>のバトルが本作の見どころと言っていい。

エイジアを演じたのは、ザジー・ビーツ。『デッドプール2』(2018年)でアクションをこなした経験があるとはいえ、今回は信じがたいチャレンジがあったという。セットで本物の炎が使われ、その中で何人もの相手と戦うシーンが用意されたのだ。

炎の中でのアクションは、その安全に関して現場全体の最大の課題だった。私は難燃剤に浸したウィッグを被るんだけど、その内側にもう一枚キャップを着けて、そのキャップとウィッグがマジックテープで固定されていた。万が一、ウィッグに引火したらすぐに外せるようにね。パッと見は違和感あるけれど、照明が暗めのシーンだったので映像的には問題なかったわ。

もちろん衣装も、何かあったら引き裂ける素材で、防火剤に浸したうえで乾燥させてあった。不安は少なかったけど、動き回って汗をかくと、ウィッグの難燃剤と混じって、それが口に入ってくる。味も匂いも最悪だった(笑)。でも安全が担保されてると信じ、思い切り斧を振り回せたの。

『ゼイ・ウィル・キル・ユー』©2026 Warner Bros. Ent. All rights reserved

ザジー・ビーツはこの取材の際に、隣に座っていた共演者のパトリシア・アークエットから「日本の取材だから、あの話をしなさいよ」と促され、エイジア役のインスピレーションとして、カルト的人気を誇る日本の作品を挙げる。しかもかなり本気で意識していたことを、次のように打ち明けた。

エイジアを演じるうえで参考にしたのは『修羅雪姫』(1973年)。持って生まれた強い意志と使命感が、エイジアに通じると思った。あの主人公は、どんな犠牲を払っても、自分が成し遂げるべき目標に突き進んでいく。そこには道徳的な正義感も漂っているし、何より、寡黙でストイックなところをエイジアと重ねたかったから。私はメイクアップ用のトレーラーに(修羅雪姫を演じた)梶芽衣子さんの写真を飾って、毎日エネルギーをもらいながら撮影に臨んでいたの。

『ゼイ・ウィル・キル・ユー』©2026 Warner Bros. Ent. All rights reserved

ソコロフ監督「『ゲゲゲの鬼太郎』は知らなかった! あの動き回る眼球はサム・ライミからの影響なんだ」

一方、パトリシア・アークエットが言及するのは、ハリウッドの名作ホラーだ。『6才のボクが、大人になるまで。』(2014年)でオスカーを受賞したアークエットは、バージルでエイジアを出迎える住人たちの中心人物リリー役。登場シーンこそエレガントな有閑マダムという雰囲気を醸し出すも、悪魔崇拝者たちのリーダー格という存在で、超絶邪悪な方法でエイジアを追い詰めていく。アークエットは自身の役ではなく、バージルのシチュエーションを名作とシンクロさせた。

バージルの住人たちの一見、温かなコミュニティで擬似家族のような関係性は、『ローズマリーの赤ちゃん』(1968年)に通じるんじゃないかしら。その意味でリリーは、同作の主人公の隣人で、ルース・ゴードンが演じたリリー・カスタベットと結びつけることが可能ね。ただ役自体は、ゴードンのものとは別物。だから彼女の演技を参考にしたわけじゃない。本作は多様なジャンルを融合させているので、自分の発想でアプローチしたつもり。

『ゼイ・ウィル・キル・ユー』©2026 Warner Bros. Ent. All rights reserved

ゴードンは『ローズマリーの赤ちゃん』でアカデミー賞助演女優賞に輝いており、あの役はハリウッドのホラー映画では“シグネチャー(象徴)”と言っていいキャラクターだ。さらに日本映画以外でオマージュについて言及するのは、キリル・ソコロフ監督。本作では人間の顔から飛び出た眼球が、ひとつのキャラとして自在に動く。「ゲゲゲの鬼太郎」の目玉オヤジのようだが、そのヒントは別にあるとソコロフは説明する。

「ゲゲゲの鬼太郎」は知らなかったけど、そんなキャラが出てくるのなら、絶対にチェックしなくては(笑)! あの動き回る眼球は、サム・ライミからの影響なんだ。『死霊のはらわた』シリーズでは、殴られて眼球が飛び出すとか、ホラーの中にユーモアがたっぷり挿入されてたよね。あと僕の祖国ロシアには、丸いパンが目を覚まし、転がりながら主人公をどこかへ導く民話がある。そのパンを眼球に変えたら面白いと思った。しかもずる賢く、周りの人間を裏切るキャラなら、作品で機能すると信じたのさ。

『ゼイ・ウィル・キル・ユー』©2026 Warner Bros. Ent. All rights reserved

ヘザー・グラハム「私が演じたシャノンは、アンチエイジングの事業で成功したという設定」

オマージュやインスピレーションとは別に、『ゼイ・ウィル・キル・ユー』に独自の準備をしたキャストもいる。バージルの住人=悪魔崇拝者では、『ハリー・ポッター』シリーズのドラコ役で知られるトム・フェルトンや、『ハングオーバー!』シリーズのヘザー・グラハムらが怪演をみせるが、グラハムは自らの役のバックストーリーを創作し、撮影に挑んだという。

私が演じたシャノンは、アンチエイジングの事業で成功したという設定。そこで脚本にはない部分を自分でイメージしたの。シャノンは元ソープオペラの女優で、意地の悪い夫に復讐しようとアンチエイジングに傾倒した。その結果、どんどん老ける夫に対し、衰えぬ容姿で優位に立つことに成功、というわけ。その設定は残念ながら本編では生かされなかったけど(笑)、私にとっては演技に有効になった。本作のようなアクションホラー+コメディでは、こうした裏ネタで俳優は楽しめるのよ。

『ゼイ・ウィル・キル・ユー』©2026 Warner Bros. Ent. All rights reserved

個性派キャストたちのリミッターを外した暴走っぷり、バージル各所での激しいアクションなど、多くのポイントを備えた『ゼイ・ウィル・キル・ユー』だが、プロデューサーたちによると、もうひとつの“成功要因”があるという。それは同等レベルの作品に比べ、製作費が格段に安く収まった点。その理由を、バーバラ・ムスキエティが明かす。

南アフリカのセットで撮影を行ったことで、かなり製作費が抑えられた。バージルの各フロアを大規模なセットで、しかも天井や壁をショットに合わせて動かせる仕様になっている。これは、このタイプのアクション映画にとって理想。なぜなら実際の建物を使ったロケでは絶対に不可能だから。しかも現地のスタッフたちは、私たちが予想していた以上に有能だった。今後も南アフリカでの撮影の需要が高まるんじゃないかしら。

メイキングカット
『ゼイ・ウィル・キル・ユー』©2026 Warner Bros. Ent. All rights reserved

主演ザジー・ビーツが挑んだ本物の炎を使ったバトルなども、南アフリカのセットだったからこそ、リアリティを結実させたに違いない。気鋭の才能によるマニアックなテイストにも溢れながら、アクションエンタメとして広い層に門戸を開く『ゼイ・ウィル・キル・ユー』。その豪快さ、痛快さを、ぜひ堪能してほしい。

『ゼイ・ウィル・キル・ユー』は5月8日(金)より全国公開

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