オフィスビル選定基準はウェルビーイング対応などが重視される傾向 成長企業ほど賃料負担を許容
シミックホールディングス(東京都港区)は12月2日、2025年夏ごろに本社を移転させ、オフィスをさまざまなアクティビティや新たな人間関係の構築を促進する多様性に富んだ空間にすると発表。同社のオフィスは浜松町ビルティングから、現在、建設が進められている隣接するビルに移転する。
また、日本政策投資銀行から11月29日に公表された「オフィスビルに対するステークホルダーの意識調査2024」の中では、環境配慮・ウェルビーイング対応がオフィスビル選定基準として定着していると明かされた。
6フロアを2つに集約、グループ各社の従業員交流を促す場づくり
シミックホールディングスの新オフィスでは、現在6つに分かれているフロアを2フロアに集約し、各フロアを内階段でつなぎ、気軽に行き来できるようにする。
オフィスを集約することで、グループ会社の壁を可能な限りなくし、シームレスなコミュニケーションを促進するとともに、内階段周辺やカフェテリアなど、フロアのさまざまな場所に社員の交流を促す場を設け、新たなコラボレーションの創出をはかる。
新オフィスのデザインコンセプトは「THE CMIC PARK」。ソロワークやミーティング、リフレッシュなど、一人ひとりが自由に場所や行動を選択できる公園をイメージしたオープンスペースにした。
また、効率的な業務をサポートする個室や機能のほか、目的に応じフレキシブルな利用を可能にし、偶然の出会いや活発なコミュニケーション、新たなアイデアの創出を通じて、生産性の高いグループ全体のオフィスを目指していく考えだ。
政投銀、「オフィスビルに対するステークホルダーの意識調査2024」公表
サステナビリティ対応や人的投資への注目、インフレ、人手不足といったオフィス市場を取り巻く社会潮流の変化に伴い、企業がオフィスビルに対して持つニーズは今後さらに変化することが予想される。こうした背景を踏まえ、政策投資銀行(東京都千代田区)は「オフィスビルに対するステークホルダーの意識調査2024」のレポートを11月29日に公表した。
オフィスビルの環境配慮・ウェルビーイング対応は重要視される傾向
レポートによると、オフィスビルの環境配慮対応やウェルビーイング対応は大企業に限らず重要視する傾向にあり、背景にはESG、SDGs関連指標などの情報開示、説明の要求が挙げられた。
大企業では株主から、中堅・中小企業では取引先・仕入先や従業員からESG、SDGs関連指標などの情報開示、説明の要求が増えており、サプライチェーンマネジメントへの意識や、人的投資の重要性が高まっていることがレポートでは報告されている。
また、人的投資の観点でも、生産性向上のためのオフィス整備の重要性が高まっている。実際にオフィス変更を実施・検討している成長企業の約半数が、利便性や快適性向上に資する設備といった魅力的なオフィスの整備や、コミュニケーション空間やリフレッシュスペースの充実といった生産性向上を理由に挙げている。さらに、そのための賃料負担を許容するとしている。
月刊総務オンラインでも、シャンプーや美容家電を手掛けるI-ne(大阪府大阪市)が11月に移転させた、効率的でイノベーションが生まれやすく、地球環境に配慮した持続可能なワークスタイルを目指した同社大阪本社のようすを報告している。
また、オカムラ(神奈川県横浜市)のワークデザイン研究所が、従業員が積極的に「行きたい」と思うオフィスが備える条件を分析した「『行きたくなる』オフィス 集う場のデザイン」についても、規模や予算にかかわらず、共通して求められるポイントを紹介している。
シミックホールディングスの発表の詳細は同社公式ホームページで確認できる。
政策投資銀行のレポートの詳細は同行の公式ホームページで確認できる。