美術家の石原延啓さん 横須賀の大津諏訪神社に作品提供 「諏訪の龍神伝説」語り継ぐ大作
由緒ある龍神が、現代アートでよみがえる――。故・石原慎太郎元都知事の四男で画家の石原延啓(のぶひろ)さんがこのほど、今年で鎮座1200年を迎えた大津諏訪神社(横須賀市大津町)に「諏訪の龍神」と題した作品を奉納した。同社奉祝記念事業の一環。作品は本殿に飾られ、9月28日(土)には一般向けのお披露目が行われる。
作品は縦約2・7m×横約3・6m。先頃、緑色を帯びた深い青色の龍が拝殿神域境界部に取り付けられた。諏訪大社(長野県)に伝わる「龍神伝説」に着想を得て、諏訪神社の由緒や伝説をわかりやすく表現したという。
上町にある「ヨコスカアートセンター」の管理運営を行う(株)コトマノの代表取締役・越中正人さんが延啓さんを招へいし、今回の企画が実現。延啓さんが同社の岩城純隆宮司の思いを汲み取り、龍神伝説をモチーフに約1年かけて制作を進めてきた。
造形作品は画用紙や工作用紙で型を取り、その上に和紙や樹脂、漆などを重ねる手法を採用。奈良時代の作品に多くみられる「塑像(そぞう)」の技法を参考にしたという。
総代も参加
制作や設置作業にあたっては氏子総代も参加。龍の色彩に採用した「納戸(なんど)色」も総代の意見を募ったという。
制作を振り返り、「さまざまな人の思いが一つの作品に合流していくのが現代アートの醍醐味。その意味で非常に面白い取り組みだった」と延啓さん。総代の一人は「パーツが小さいので完成の想像がつかなかったが、ここまで大きな作品になるとは」と驚いた。
延啓さんは逗子市出身。母方の祖父母が横須賀市出身で、2022年には越中さんが運営する同ギャラリーで作品展を開催し、別会場として同社でも作品の展示を行った。
一般公開は9月28日(土)午後1時から5時まで同社本殿で行われる。予約不要で入場無料。