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【茅ヶ崎 イベントレポ】第12回 新春 こども凧揚げ大会 - こどもたちの夢と願いを乗せた凧。箱根駅伝が走る新春のサザンビーチで次世代へ繋ぐ、文化・伝統・自然の襷リレー

湘南人

2026年1月2日、サザンビーチちがさきにて第12回『新春 こども凧揚げ大会』が開催されました。新たな年を迎えるのにふさわしい冬晴れのサザンビーチの空に、こどもたちが揚げるたくさんの凧が舞いました。

これは、まちの人が真心を込めてつくった環境に優しい凧に、こどもたちが夢や願いを描いて、伝統の箱根駅伝が走る新春のサザンビーチの空に揚げるイベントです。会場にはたくさんの親子連れが集まり、ビーサンがんちゃんのMCで会場の様子や箱根駅伝の様子を感じつつ、凧揚げをはじめとするお正月ならではのむかし遊びに興じました。

ちがさき観光親善大使のDJ・HAGGYさんも訪れ、新年の挨拶を交わし、こどもたちが遊ぶ様子や原風景を一緒に楽しんでいました。毎年のように参加している筆者家族も楽しんできましたので、主催のNPO法人茅ヶ崎海岸づくり推進機構理事長の金子和さんらのお話を交えつつご紹介していきます。

名称を『新春 こども凧揚げ大会』に変更

『新春 こども凧揚げ大会』は2026年に第12回を迎えました。この第12回から、名称を『新春 凧揚げ大会』から『新春 こども凧揚げ大会』に変更し、内容も原点に立ち返ってこどもにフォーカスして開催されました。

記念すべき第1回は、第12回同様のコンセプトで、凧揚げやむかし遊びを通して地域文化の伝承を目的としていました。回を重ね試行錯誤していく中で、キッチンカーを呼んだり、コンサートを開催したりと、大人中心になっていくこともあったのだそうです。

今回の名称変更を機に、凧づくりをしながら地域のふれあいや文化の伝承を、お正月にする凧揚げやむかし遊びを通して、その楽しさやお正月の文化や原風景を次世代へ繋いでいくという、初期の目的に戻ってきたのだそうです。また「海というと夏のイメージがあるけれど、冬でも楽しめるということも伝えたい」と金子さんは話していました。

環境に配慮した凧

こどもたちに配っている「新春こども願い凧」も変更されました。以前は樹脂製でしたが、若い世代の方々を中心に「環境にやさしいものを」という声があがり、2025年の第11回から、環境に配慮した和紙と竹ひご・綿糸を使用したものにモデルチェンジしてきました。2025年は樹脂製と和紙製とが半々、2026年はすべて和紙の凧となっていました。

そのお話を聞き、とても大切なことに耳を傾け、大きなモデルチェンジをする決断が素晴らしいと感じました。

真心の込もった「新春こども願い凧」が繋ぐ笑顔と文化

「新春こども願い凧」は、先着300名の小学生以下のこどもたちに手渡しで配られます。この凧は、NPO法人茅ヶ崎海岸づくり推進機構の凧部会と、ボランティアさんがつくっています。毎年4月から企画が始まり、7月頃から11月まで、月に1回高砂コミュニティセンターにて活動していて、2025年はボランティアさん1人につき100枚ずつつくったのだそう。

凧本体は5㎜単位で調整してよく揚がるように設計しているそうですが、凧糸の部分にも思いのほか手間がかかっていました。2023年から凧づくりに参加している中馬悦子さんにお話を聞くと「まず台紙にも紙を貼り、手首にかける輪ゴムを付け、綿糸を巻きます。綿糸は1枚の凧に12メートル使用していて、それをひとつひとつ絡まないように台紙に巻いていくので、意外と大変な作業なのです」とのこと。

楽しく揚げさせてもらっている凧ですが、まちの人が真心を込めてつくってくれているのですね。凧づくりには、誰でも参加できます。凧づくりをする機会はあまりないと思いますので、参加してみるのも良い経験になると思います。高砂コミュニティセンターの掲示板に活動予定が掲示されるそうなので、チェックしてみてください。

こどもたちに凧を手渡すボランティアさんも、受け取るこどもたちも、どちらも嬉しそうな笑顔になっていたのが印象的でした。この「新春こども願い凧」は、毎年大人気で、受け取るのにも行列になります。凧を受け取りたい方は、早目のお出かけがおすすめです。

凧を受け取ったこどもたちは、凧の表に夢を描き、凧の尾に願いを書きます。これは、1月2日に願いや抱負を書く「書初め」など、古くからの風習を顧み、新たに凧の表に夢を描き、尾に願いを書く「新春こども願い凧」の形に進化させ温故知新の文化伝承を図るものなのだそう。

絵を描くことのできるスペースでは、順番を守ったり、用意されたペンを貸したり借りたりとルールを守りながら、それぞれ思い思いの絵を描き、文字を書き、みんな集中して自分だけのお気に入りの凧をつくっていました。

凧が完成したらすぐに浜辺で揚げて遊ぶことができます。新春のサザンビーチの空に、たくさんのこどもたちの夢と願いの凧が舞い、こどもたちが凧を揚げるために走る楽しそうな姿や、親子で一緒に楽しむ姿、高く遠く揚がった凧を眺める嬉しそうな表情で溢れていました。

凧は、はじめのうちは南西方向に揚がっていましたが、いつの間にか北方向に変わっていました。これを見た金子さんが「こどもたちは、こういうことに敏感ですからね。よく気がついています」と話してくれました。遊びの中でもこういった変化に気づき、自然に興味を持てるこどもたちの好奇心にも、その環境がここにあることにも素晴らしさを感じました。

安心して遊びに夢中になれる環境

安心して凧揚げができる環境も整備されています。遊んでいる最中に壊れてしまった凧は、中馬さんら、ボランティアさんが待っている「たこびょういん」に持っていくと、その場で修理してもらえます。大勢で遊んでいるので、意図せずに壊れてしまうこともあると思うのですが、こどもたちが悲しい思いをしなくて済む心強さがありました。

また、波打ち際にも警備を配置していたり、凧と引き換えに保険に入るなど、安全にも十分な配慮がされているので、親の立場からも安心して遊ばせられます。毎年のように参加しているのに、この取材を通してはじめて知り、改めてありがたいことだと感じました。

「新春こども願い凧」づくりワークショップ

凧をつくることで、地域の人々、大人もこどももがふれあえる場を広げ、凧づくりの文化を次世代へと伝承していきたいという想いから、2025年は「中海岸子ども会」や、地域の学童「きかんしゃクラブ」などでのワークショップも開催されました。「きかんしゃクラブ」では、完成した凧を、そのまま隣接する茅ヶ崎小学校の校庭で揚げて遊んだそうです。

人が集まり、ワークショップの希望があれば、ぜひNPO法人茅ヶ崎海岸づくり推進機構に相談してみてください。1枚80円ほどの費用でつくれるそうです。

飾り凧と連凧

柳島凧の会では『新春 こども凧揚げ大会』の見どころのひとつとして、80~130連の連凧を新春のサザンビーチの空に揚げています。高く揚がった凧の一番先は見えないほど長く遠く、こういった光景を見ることができる機会はあまりないので貴重な経験です。

砂浜には、同じく柳島凧の会の芸術的な絵を描いた大きく勇壮な飾り凧が飾られ、来場者は自分と比べてその大きさに驚いたり、遠くから全体を眺めて楽しんだり、記念撮影をしたりと思い思いの鑑賞をしていました。見事な連凧や飾り凧に憧れ、茅ヶ崎の次世代の凧文化を担うこどもたちを育んでいこうと取り組んでいます。

柳島凧の会の今澤久義さんに、連凧・飾り凧と柳島凧の会についてお話を聞きました。

連凧

この日揚げていた連凧は3本あり、80~130連のものでしたが、柳島凧の会では60~150連のものを所有しているそうです。凧と凧の間が1メートルほどなので、100連なら100メートルの長さがあります。揚げるのには3名ほどが必要です。長さがあるので、落ちた時にほかの敷地内に入らないようコントロールしたりと、チームワークで揚げます。

連凧を揚げる体験もさせてもらいましたが、風を受けた凧が引く力が強く、大人の力でも引っ張られてしまいそうでした。凧糸も太く、この凧にかかる力の強さを物語っていました。

凧を降ろして収納する時も、チームワークで手前から1枚1枚丁寧に箱にしまいます。この作業をきちんとしないと、絡まってしまうのだそうです。

飾り凧

この日展示していた飾り凧は180cmほどのもので、重さは1~2kgになります。柳島凧の会が所有している凧で、大きいものは4m四方のものもあり、そこまでの大きさになると、広がった1枚ではなく、折り畳んで保管しています。

飾り凧という名前ですが、この大きい凧も実際に揚げることができると聞き驚きました。大きい分、揚げるためには特に強い風が必要なのだそうです。

柳島凧の会の活動

柳島凧の会は、活動を始めて15年目になります。地域のイベントやお祭り、こどもの日などに凧を飾ったり凧を揚げたりしています。また、茅ヶ崎支援学校のこどもたちに凧づくりを教え、校庭で一緒に凧揚げをしたりという取り組みもしています。実際に支援学校のこどもたちとつくった飾り凧も展示されていました。

この日展示していた凧以外にも、全部で200枚位は凧倉庫に保管しているのだそうで、神奈川県(特に茅ヶ崎市周辺)の伝統的な変形凧で将棋の駒を図案化した七角形の「将棋凧」をはじめ、長崎県五島列島に伝わる「バラモン凧」など、各地の伝統的な凧を所有していると今澤さんが教えてくれました。

2026年5月5日には、柳島しおさい公園で凧を配布して遊ぶイベントが予定されているそうなので、こちらもぜひ足を運んでみてください。

むかし遊び体験

むかし遊び体験は、茅ヶ崎南地区まちぢから協議会が中心となり、竹馬や羽根つき・けん玉などのお正月の伝統的な遊びを体験させてくれます。童謡「お正月」で”お正月には凧あげて”と歌われる通り、お正月に凧揚げやむかし遊びをする。そこに、こどもたちや家族がふれあい・安らぎ・楽しめる空間がつくられていく。そういう原風景と文化の伝承を大切にしているそうです。

筆者の家族もこの機会にひと通り遊ばせてもらいました。竹馬は人気で順番を待ちましたが、待つ価値がありました。なかなかスムーズには進めませんが、おもしろくてあちらへ行ったりこちらへ行ったり、楽しく乗っていました。

風があったこともあり、羽根つきは思ったより苦戦しました。大人も一緒になって久しぶりに本気で遊び、懐かしい記憶が思い出されました。

けん玉は2025年の第12回から取り入れられたそうです。筆者の家族もはじめは全然うまくできなかったのですが、コツをつかんで成功すると「けん玉、楽しい!!」と大喜びでした。こういった昔ながらのシンプルな遊びも、奥が深くておもしろいことを知る良い機会になりました。

甘酒配布

会場では、温かいノンアルコールの甘酒がふるまわれました。冷えた体にアツアツの甘酒が沁みます。第1回から、新春の食文化を味わうことで、人と人との間のおもてなしと感謝の心を育み、次世代へと伝承されればと続けられているのだそう。だいたい700杯、11:30頃には終了となっていました。

甘酒には紙袋が付いていて、飲み終わった紙コップをその紙袋に入れて持ち帰るようになっています。景観を乱さないようにとの配慮が素晴らしいですね。

ビーチクリーン

凧揚げ大会の終盤には、集まったみんなでビーチクリーンをしました。ここでのビーチクリーンは、甘酒の紙コップや、会場での飲食などで出たごみを回収するのではなく、流れ着いたごみや、飛んできたごみなどをみんなで拾い集めようという取り組みです。自然の恵みである海および浜の景観と環境を保全する意識の向上と広がりを目的に続けられています。

凧が繋ぐ市民のふれあいの場、サザンビーチの自然と文化の伝承

『第12回 新春 こども凧揚げ大会』は「茅ヶ崎海岸グランドプラン」で示されている「海岸の自然環境を取り戻し、景観に配慮し、環境に負荷をかけない海岸づくり」という将来像及び「自然環境再生・景観の修復、ふれあう・安らぐ・楽しむ、地域文化の伝承」という空間づくりの理念の実現を目的としています。

お正月に新年のあいさつを交わし、サザンビーチの空にたくさんの夢と願いの凧が舞い、むかし遊びに興じるこどもたち、国道134号線を走る箱根駅伝を応援する文化、ふるさと茅ヶ崎にしかない海の新春の原風景と文化を大切に伝承し続けています。

過去11回の『新春凧揚げ大会』の実績に、第12回『新春こども凧揚げ大会』を積み上げることで、新春の伝統行事として根付かせていき、また第13回へと繋げていきます。

おわりに

筆者家族も、お正月の楽しみとして毎年のように参加させてもらってきた『新春こども凧揚げ大会』でしたが、ここで配布されている凧がどのようにしてできているのか、どういう想いが込められたイベントなのかを詳しく知ることができ、有意義な時間となりました。

サザンビーチをこよなく愛する人たちが、お正月の文化や箱根駅伝の応援などのこの地域ならではの文化、自然の恵みである海をどのように次世代に引き継いでいくかを考え、凧づくりや凧揚げなどのむかし遊びを通して、ふれあいの場や楽しさを提供していることを知り、楽しませてもらったこの経験を、自分たちもまた還元していかなければならないと思わずにはいられませんでした。

箱根駅伝同様、ここでも文化・伝統と自然を次世代へ繋げる襷リレーが行われているようですね。金子さんも「ここでこうやって遊んだこどもたちが大人になって、今度はこの伝統や文化を伝える側になってくれれば良いですね」と話していました。次回は2027年第13回『新春こども凧揚げ大会』。難しいことは考えずに、まずはお正月の伝統と自然を感じに、楽しく遊びに出かけてみませんか。

第12回 新春 こども凧揚げ大会

開催日時

2026年1月2日 10:00〜13:00

開催場所

サザンビーチちがさき
住所:〒253-0055 神奈川県茅ヶ崎市中海岸4丁目12986−5

駐車場:なし

参加費

無料

主催

NPO法人茅ヶ崎海岸づくり推進機構

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