「スタジオ地図シネマティックオーケストラ2026 〜『時をかける少⼥』公開20周年記念 タイムリープコンサート〜」レポート|最新作『果てしなきスカーレット』から細田監督作品の変わらぬ魅力に今一度触れられた至極の空間
2026年7月に劇場公開20周年を迎える『時をかける少女』をはじめ、数多くのアニメーション映画で人気を博してきた細田守監督。
そんな『時をかける少⼥』の公開20周年を記念した公演「スタジオ地図シネマティックオーケストラ2026 〜『時をかける少⼥』公開20周年記念 タイムリープコンサート〜」が、先日2026年4月18日(土)に東京国際フォーラムで行われました。
本稿では『果てしなきスカーレット』からはじまり、『竜とそばかすの姫』『未来のミライ』とまるでタイムリープしつつ振り返るような演出で、今一度細田監督作品の魅力に触れられた本公演をレポートします。
【写真】「スタジオ地図シネマティックオーケストラ2026 『時かけ』20周年コンサート」レポート
最新作『果てしなきスカーレット』から細田監督作品を振り返る
静まり返るステージに、東京フィルハーモニー交響楽団が着席。その後、コンサートミストレスの先導でチューニングを行い指揮を務める栗田博文さんも入場しました。
演奏の準備が整ったところで、大スクリーン上で『時をかける少女』で主人公・紺野真琴がタイムリープを使った際になどに見られたタイムカウントの演出が見られ、まずはこの公演当日の“20260418”が映し出されました。
そんな流れから1曲目は『時をかける少⼥』から「夏空」。この曲で抜けるような青空と入道雲を思い出させるのどかな空気で会場を包むと、再びスクリーン上にタイムカウントが。
続いて示されたのは細田監督の最新作『果てしなきスカーレット』の公開日だった2025年11月21日。『果てしなきスカーレット』からは「別離」という楽曲と共に、主人公・スカーレットと父・アムレット王との理不尽な別れや、その後の《死者の国》でのクローディアスとの壮絶な戦いの映像が上映されていきました。
そして、日付は2021年7月16日……『竜とそばかすの姫』の公開日に。「ようこそ、<U>の世界へ」という劇中さながらのナレーションが入ると、そんな本作を彩った楽曲たちのパートに。
「歌よ」「⼼のそばに」と主人公のベル(すず)役として作品に出演した中村佳穂さんの楽曲を演奏していき、最後は作中でも山場となる場面で披露された「はなればなれの君へ(reprise)」で会場に温かな雰囲気が広がりました。
続いて『未来のミライ』パートでは、「ミライのテーマ」「Trans Train」「Marginalia Song」「Of Angels」の4曲を披露。
未来の東京駅がスクリーンに映し出された「Trans Train」から高木正勝さんもピアノで参加しており、その後に演奏された「Marginalia Song」では、名場面である曾祖父とのエピソードを思い出させる映像もスクリーンで見られました。
第1部ラストを飾ったのは『バケモノの子』。2015年7月11日公開ということで、本作も既に公開から10年以上もの月日が経過しています。ですが、熊徹と九太の物語は色褪せることを知らず、映像と共に披露された「祝祭」「三千世界の迷い⼦」「充たされた⼦ども」「胸の剣」でその世界観を存分に堪能できる時間となりました。
20年の時を経てなお心震わす『時かけ』の楽曲の変わらぬ魅力
休憩時間を挟んで演奏が再開。スクリーン上に映し出された日付は2012年7月21日となり、ここからは『おおかみこどもの雨と雪』のターンに。主人公の花とおおかみおとこの彼との馴れ初めから、ふたりの子供である雪と雨が生まれて大きくなっていくまでの過程がスクリーン上で映し出されていき、思わず彼らの物語と音楽に息をのんだ方もおられたはず。
ここではアン・サリーさんも登場し、「ほしぼしのはら」「おかあさんの唄」を歌唱。その歌声で花と雪と雨……3人の家族の物語を思い返させてくれました。なお、『おおかみこどもの雨と雪』パートで披露されたのは以下の4曲。「ほしぼしのはら」「きときと -四本⾜の踊り」「⾬上がりの家」「おかあさんの唄」。
細田監督作品といえば夏というイメージがある方も多いと思います。続いて、その原点とも言える『サマーウォーズ』の楽曲たちが披露されていくことに。
2009年8月1日の公開から色褪せることなく多くのファンの目に触れてきた作品だけに、「ようこそ、OZの世界へ」という導入から演奏されていった「仮想世界OZ」「KING KAZMA」「栄の活躍」「1億5千万の奇跡」「The Summer Wars」「Overture of the Summer Wars」といった楽曲たちに心震わせるような体験をした方も多かったことでしょう。
ヒロイン・篠原夏希の祖母・陣内栄がかつての伝手を使って知り合いに励ましの電話をかけるシーンや、夏希が花札でラブマシーンと決着を付ける場面などがスクリーンで上映されており、当時の感動を思い返す手助けになっていたことは間違いないはず。
そして、スクリーンに表示されたタイムカウントは2006年7月15日……『時をかける少女』の公開日へ。これまでの細田監督作品を、最新作『果てしなきスカーレット』からまるでタイムリープするかのごとく振り返っていった本公演もそろそろ佳境となりました。
まずは本公演の最初の楽曲となった「夏空」を再び披露。その後、「スケッチ」「少⼥の不安」「からくり時計〜タイムリープ」の順番に楽曲と共に物語を追いかけていきました。
「からくり時計〜タイムリープ」では、あの踏切で流れるからくり時計のBGMからはじまり、細田監督によるアニメーション版では“魔女おばさん”と呼ばれる芳山和子(※筒井康隆先生による原作小説における主人公)に励まされ、主人公・紺野真琴が再びタイムリープを敢行するシーンに繋がりました。
そして、真琴の「行っけぇぇぇぇぇぇ!!」という叫びが会場にこだまする中、奥華子さんが登場。そのまま作中さながら「変わらないもの」の歌唱へ移ると、スクリーン上では真琴や間宮千昭、津田功介とのかけがえのない日々の一幕たちが上映されていました。
アンコールはもちろん、『時をかける少女』の主題歌を飾った「ガーネット」。この演奏の終了時に青空と入道雲をバックに作品のキービジュアルを思わせる、真琴が未来に向かって飛び出していく姿のシルエットが印象的な公演ロゴが映し出され、本公演は幕を閉じました。
公開から20年を経てなお、いまだ語られる名作アニメーション映画『時をかける少女』。細田監督の原点とも言える本作は、今年の夏に再上映がなされます。また、「細田守の原点/展 - CREATIVE MUSEUM TOKYO」といった公演も行われます。この機会にぜひ、細田監督作品の魅力に今一度触れてみてはいかがでしょうか。