【藤沢市】道路陥没リスクを可視化 産官学共同研究でマップ開発
藤沢市は25日、市内全域の路面下にできた空洞の箇所を示す「空洞ポテンシャルマップ」を公表した。市と東京大学生産技術研究所、ジオ・サーチ(株)の共同研究で開発したマップで、道路陥没の原因で多い空洞の箇所がひと目で判別できる。市では調査をもとに補修など対策を講じたことで、道路陥没も大幅に減少。今年1月に埼玉県八潮市で起きた事故を踏まえ、国が設置した対策委員会では、先の3者の取り組みを導入すべきという提言がなされている。
市は2015年度から路面下空洞調査を実施してきた。調査に使用したのは同社の探査車両「スケルカー」。高解像度のセンサーを搭載しており、交通の流れを止めることなく、走行しながら路面下のデータをスキャンし、空洞の可能性がある箇所や深さ、広がりなどを診断できる。同社によると、約90%の精度があるという。
調査は市道1300Kmのうち主要道路を中心に実施。路面下にあるライフラインの老朽化や災害による損傷でできた空洞を早期発見し、市が適切な措置を図ってきた。
17〜18年度には、3者による産官学共同研究を開始。空洞が発生しやすい箇所を視覚化した試作版マップを完成させ、昨年度にはさらに高度化させた。マップでは一区画250m四方のメッシュを4色の濃淡で示した。最新版のマップでは市内1198区画あるうち、191区画を陥没高リスクを表す要緊急とした。
マップのデータを活用しながら市は穴埋めが必要な箇所の優先順位を決め、早い段階から手を打ってきた。調査当時の15年度に123件発生した道路陥没が、23年度には28件に減少するなど、一定の効果も見られた。
市によると、調査の事業費は年間約2千万円、穴をふさぐ修繕費は1件/平均15万円ほどかかるという。
21日には、市と同社が自然災害時に路面下の調査を同社に要請、調査する協定も締んだ。
定例会見で鈴木恒夫市長は「今後も共同研究の成果を生かしながら、効果的かつ効率的な道路陥没対策を進め、安全安心な道路環境の向上を図っていく」と述べた。