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犬は『見慣れない生き物』を見た時に視線をどこに向ける?【研究結果】

わんちゃんホンポ

生き物の画像を見た時の犬の視線を追跡

皆さんの愛犬は見慣れない生き物を目にした時にどんな反応を示しますか?マジマジと凝視するでしょうか?それとも目をそらすでしょうか?

フィンランドのヘルシンキ大学の研究チームが、犬にいろいろな生き物の画像を見せて、その時の視線の動きを赤外線視線トラッカーで追跡するという実験を行いました。

犬の視線はどのように動いて何を見ていたのでしょうか?

生活環境の違う犬たちで反応を比較

実験に参加したのは個人所有の家庭犬16匹と、ヘルシンキ大学の研究施設で飼育されている8匹の犬でした。

家庭犬は庭に出たり散歩に出たりする生活環境の中で、猫や鳥など他の種の動物を目にする機会を多く持っています。また当然ながら常に人間の家族と交流していました。

研究施設の犬は大学内の犬舎で集団生活をしています。1日1回2時間屋外の運動エリアに連れ出されます。一緒に生活している犬たちとは顔を合わせますが、他の犬種の犬や他の動物を見る機会はほとんどありません。人間との交流は世話をする係の人と研究者に限定されています。

犬たちが見せられた画像には3つのカテゴリーがありました。「自然の風景の中に単一の人間または動物が居る」「単一の人間または動物の全身画像」「人間または動物のペアの全身画像」です。

動物の画像はキリンやパンダなど犬が普段見ることのない目新しいものも含まれています。視線追跡システムは赤外線を使って犬の目の動きを追い、体に器具などを装着する必要はありません。

犬が画像を見た時の行動は社会性の表れ

犬たちが画像を見た時の行動は次のようなものでした。

✔風景の中に生き物がいる画像では、背景の領域よりも生き物を長い時間見つめていた
✔生き物の体の領域よりも頭部を長く見つめていた
✔どちらのグループの犬も、人間や犬よりも見慣れない野生動物の頭部を長い時間見ていた
✔単一の動物または人間の画像では、家庭犬ははっきりと頭部に視線を向けた
✔ペアの動物または人間の画像では、家庭犬は頭部よりも体に視線を多く向けた
✔研究施設の犬は単一でもペアでも頭と体の領域を見ている時間に大きく変わらなかった

頭部つまり顔は社会的な情報が集まっている領域なので、犬がこの領域を長く見ることはそこが社会的に重要であることをサポートしています。これはサルやヒトなど霊長類と同じです。

家庭犬と研究施設の犬の行動のわずかな違いは社会的な経験から来ると考えられる。社会的に豊かで刺激の多い家庭環境でさまざまな経験をしている家庭犬と、より制限された環境の犬舎に住む犬とでは、目新しいものを見た時の行動に違いが出ることを示しています。

まとめ

違う環境で暮らしている犬たちに、生き物の画像を見せた時に彼らの視線がどのように動くかを調査した実験をご紹介しました。

犬は人間と同じように社会的な情報が多く集まる顔を長く見つめること、目新しい生き物には視線が長く留まることなどは、なるほどそうだろうなと感じられます。

また社会的な経験の違いが「見る」という行動に違いを生むことも心に留めておきたい点です。何かを見るというのは次の行動につながるスタート地点なので、ここでの戦略が変わることは全ての行動に影響があると考えられます。

犬にとっていろいろな種類の刺激を見聞きして社会化することの重要性が改めて分かる結果と言えます。

《参考URL》
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/33362955/

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