【すみだ北斎美術館】開館10周年記念 特別展「ベスト オブ すみだ北斎美術館―隅田川両岸景色図巻と名品―」開催!約100年ぶりに里帰りした幻の絵巻から未公開の名品まで
2026年11月に開館10周年を迎えるすみだ北斎美術館。葛飾北斎の生誕地である東京・墨田区に開館して以来、北斎とその門人たちの作品を多彩な切り口で紹介し、その魅力を広く伝えてきました。 また周囲の風景をやわらかく映し込む、淡い鏡面のアルミパネルをまとった建築も、来館者の人気を集めています。
2026年9月15日から開催される開館10周年記念 特別展「ベスト オブ すみだ北斎美術館―隅田川両岸景色図巻と名品―」では、これまで幾度も展観されてきた名品はもちろん、未公開作品や新規収蔵作品に至るまで、学芸員が個々の視点で厳選したコレクションの数々を紹介。
それぞれの作品には学芸員による「推し」のひとことコメントも添えられ、北斎とその門人たちの奥深い魅力とともに、新たな発見に出会うことができます。
全5章で辿る、すみだ北斎美術館の名品コレクション
それでは各章の見どころをご紹介します。
【1章 北斎の肉筆画】
北斎は画業の初期から最晩年まで、一貫して肉筆画を描き続けました。その画業には、さまざまな流派から学んだ技法が随所にうかがえます。本章では、限られた色数と巧みな筆遣いで立体感を表現した「魚介図」、現存する北斎作品の中で最も長いとされる「隅田川両岸景色図巻」、朱色の濃淡のみで鍾馗の力強さを描き出した「朱描鍾馗図」などを展示します。
なかでも「隅田川両岸景色図巻」は全長7メートルにおよぶ大作で、戯作者・烏亭焉馬(うていえんば)の依頼により、現在の墨田区内にあった焉馬の邸宅で描かれたことが分かっています。明治期に海外へ流出したのち、2016年の開館記念展で一般公開され、約100年ぶりに北斎の故郷であり制作地でもある墨田区に里帰りを果たしました。
【2章 北斎の錦絵】
すみだ北斎美術館では、北斎が「春朗」と名乗っていたデビュー期の作品から、晩年の代表作である大判錦絵シリーズまで幅広く収蔵しています。
ここでは春朗号での最初期の錦絵に加え、他での所蔵が知られていない柱絵などの作品を紹介します。また、北斎が西洋風の表現を追求した時期に手がけた「賀奈川沖本杢之図」や「阿蘭陀画鏡 江戸八景」は、現存数の少ない貴重な作品です。世界的な人気を誇る「冨嶽三十六景」シリーズなど、色鮮やかな大判錦絵もあわせて展示します。
【3章 北斎の摺物】
北斎は生涯を通じて摺物を制作しましたが、なかでも宗理期には狂歌師との交流を背景に、狂歌入りの摺物を数多く手がけました。
「日本橋霞」「高輪休茶屋」は、”向岳北斎"という珍しい落款を持つ貴重な作品です。また、音楽や句会の催しの案内として作られた大判の摺物は、曲目や内容が記された文字部分が切り取られてしまっていることが少なくありませんが、そうした文字部分まで残る貴重な完品を展示します。
【4章 北斎の版本】
絵師として活動を始めた頃から晩年まで、北斎は生涯にわたり多彩な版本(出版物)を手がけました。黄表紙をはじめ、美しい摺りが特徴の狂歌本、当時人気を博した読本、ユーモアあふれる絵手本まで、その活躍の幅は多岐にわたります。
本章では、安永9年(1780)刊行の黄表紙『白井権八幡随長兵衛 驪比異塚』が展示されます。これは北斎が絵師としてデビューした翌年に出版された貴重なもの。また狂歌絵本『画本狂歌 山満多山』も紹介され、当時の美しい色合いとともに、販売時の袋もあわせて見ることができます。
【5章 魅力的な門人】
北斎には、孫弟子まで含めると200人以上の門人がいたと伝えられています。本章では、北斎門人を代表する魚屋北溪や蹄斎北馬をはじめ、現在ではあまり知られていない二代葛飾北斎などの作品も紹介されます。
北斎の画風を受け継いだ作品から、それぞれの個性が光る作品まで、門人たちの多彩な表現を通して、北斎との関係やその影響の広がりを知ることができる貴重な機会となります。
本展の主な3つの見どころ
最後に、本展の主な3つの見どころを振り返ります。
1. すみだで描かれた全長7メートルの大作が、約100年ぶりに里帰り
現存する北斎作品の中でも最長とされる「隅田川両岸景色図巻」。明治期に海外へ流出していたこの幻の絵巻が、北斎の故郷であり制作地でもある墨田区へと約100年ぶりに帰ってきました。この機会にぜひ間近で鑑賞してください。
2. 同館コレクションならではの希少な作品も多数展示
他館での所蔵が知られていない柱絵や、"向岳北斎"という珍しい落款を持つ摺物など、すみだ北斎美術館が誇る希少な作品の数々が紹介されます。肉筆画、錦絵、摺物、版本と、あらゆるジャンルにわたる名品を通して、北斎の表現の幅広さを実感できます。
3. 未公開作品・新規収蔵作品も含めた、学芸員厳選の名品コレクション
これまで幾度も展観されてきた代表作だけでなく、初めて公開される未公開作品や新規収蔵作品も含め、学芸員が個々の視点で選び抜いた「推し」の名品が一堂に会します。
なお会期中には一部展示替えが行われます。前期(9月15日〜10月18日)と後期(10月21日〜11月23日)のそれぞれでしか出会えない作品もあるので、可能であれば両方の会期をハシゴして、コレクションの奥深さを味わい尽くしたいところです。
展覧会情報
開館10周年記念 特別展「ベスト オブ すみだ北斎美術館―隅田川両岸景色図巻と名品―」
開催場所:すみだ北斎美術館
開催期間:2026年9月15日(火)〜11月23日(月・祝) ※前後期で一部展示替えを実施
前期:9月15日(火)〜10月18日(日) 後期:10月21日(水)〜11月23日(月・祝)
所在地:東京都墨田区亀沢2-7-2
開館時間:9:30〜17:30(入館は17:00まで)
休館日:毎週月曜日(月曜が祝日・振替休日の場合は翌平日)
開館:9月21日(祝・月)、10月12日(祝・月)、11月23日(祝・月) 休館:9月24日(木)、10月13日(火) ※10月20日(火)は展示替えのため特別展は休室
観覧料:一般1500円、65歳以上1000円、高校生・大学生1000円、中学生500円、小学生以下無料
美術館サイト:ベスト オブ すみだ北斎美術館―隅田川両岸景色図巻と名品―