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ホンマでっか池田教授も虜になった、害虫の生態とその生命力

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フジテレビ系「ホンマでっか!?TV」のコメンテーターとしてお馴染みの池田教授。早稲田大学でも教鞭を取る著名な池田教授は、大の昆虫採集マニアとしての一面も持っています。そんな池田教授が、家庭菜園をするうちに害虫との付き合い方やそれぞれの虫の特徴を発見するようになり、メルマガ『池田清彦のやせ我慢日記』の中で紹介しています。もともと駆除対象だった害虫のユニークな生態に心奪われ、生き物の種を越えて感動したり同情したり、と夫婦で害虫の魅力を楽しむ瞬間も増えているそうで、そこには池田教授ならではの視点を垣間見ることができます。

家庭菜園に来る害虫たち

定年前から自宅の庭で野菜を栽培していたが、定年を機に庭の一角を耕して野菜畑にした。楽しみのためにやっているので、いろいろあったほうが面白かろうと思って、キュウリ、ナス、トマト、オクラ、シソ、ツルナシインゲン、キンジソウなどを手当たり次第に植えた。無農薬としゃれこんだのはいいが、とにかく害虫がやってくることこの上ない。

まずキュウリ。去年は 「夏すずみ」 という品種を植えた。支柱を立ててネットを張って、結構手間をかけて育て、黄色い花が咲くとワクワクした。雄花は咲いて次の日には散ってしまうが、雌花は花の下にすでに小さなキュウリがついていて可愛い。これが、あっという間に大きくなる。初物を収穫して生のまま味噌をつけて食べる。買ったものとは一味違う (ような気がする)。それから暫くは次々と実がなって、実に楽しいが、だんだん葉っぱが黄色くなってくるとキュウリが曲がり始めて、この頃からウリハムシがどっと増える。

朝起きてみると、キュウリの葉っぱに数十頭の黄色い集団がたかっていて、キュウリの葉は穴だらけである。捕虫網を振って採れるだけ採るが、何匹かは逃げられてしまう。これで明日は少しは減るだろうと思いきや、次の日の朝も同じくらいのウリハムシがたかっていて、いったいどうなっているのだろうと思う。こうなると、元気がなくなってきて、キュウリを作るのはやめたくなる。

それで、今年はミニキュウリにした。背が高くならないので棚を作る必要もなく、手間がかからず、10cmくらいの長さで収穫できる品種で、どんどん実がつくが、ウリハムシが増える前にあっという間に老化して終わってしまう。収量は多くないが、こっちの方が私向きなので、来年もミニキュウリを植えよう。 

葉が穴だらけになることで最も壮観なのは、シソである。食べるのはオンブバッタ大きなメスの上に小さなオスがチョンと乗っている姿は可愛いけれど、シソが大好物のようで、あっという間にシソの葉がレースのようになってしまう太い葉脈ばかりでなく細い葉脈も残して、柔らかい葉の部分だけ食べるので、人間には絶対に作れないような見事なレースができる。保存できないのが残念である。オンブバッタは他にもマリーゴールドが好きで、アブラムシ除けになると言われて植えておいたのに、オンブバッタのエサを植えたみたいだ。マリーゴールドが本当にアブラムシ除けになるかどうかは知らない。他にもナスやキンジソウの葉も食べるが、不思議とトマトはあまり食害されないようだ。

オスのオンブバッタがメスの背中に四六時中しがみついているのは、他のオスにメスを盗られないためだという。交尾をした後、用済みだとばかりに離れてしまうと、他のオスがやってきて、メスの体内の精子を掻き出した後で交尾をして、精子を入れ替えてしまうらしいのだ。オンブバッタの人生(虫生)も大変なのである。しかし、当方にとっては野菜を食い荒らすにっくき敵なので、見つけ次第容赦なく捻りつぶしてしまう。掴まえて左手に胴体、右手に頭をもって引き裂くのだが、頭のない胴体はそれでも撥ねて逃げてゆくところが敵ながらあっぱれである。しかし、素手でやると手が黒い体液で汚れることが多いので、今年になってから、手で掴まえずに小さなハサミを近づけていって、電光石火で胴体をちょん切るという、捕殺法を実行したら、これがなかなか上手くいくので、結構悦に入っている。江戸時代には不義密通をした男女は重ね切りになっても仕方がなかったと言われるが、不義密通をしているわけでもないのに、重ね切りされるオンブバッタは可哀そうな気がしないでもない(私がやっているんだけれどね)。

去年はナスが余り上手く収穫できなかったので、今年こそはと思い 「とげなし千両2号」 と「たくさん中長ナス」 と 「秋ナス」 をそれぞれ2株ずつ植えておいた。 「とげなし千両2」 は最初の7、8個の実はとても上手く育ったのだが、そのうちアブラムシの攻撃を受けうどん粉病が発生し、惨憺たる有様になった。新芽や花芽にアリがいっぱいたかっているな、と気づいた時はすでにアブラムシが何十匹も付いている。手のひらを差し出してアリがたかっている場所をポンポンと軽くたたくと、アリが10匹近く落ちてくる。すかさず、両手のひらをすり合わせてアリを潰して殺す。アリはオンブバッタと違って潰しても体液がほとんど出ず、手が汚れないのが有難い。その後でアブラムシの方は指ですりつぶすのだが、これは指が汚れて有難くない

そうこうしているうちにナスの花がばったり咲かなくなってお仕舞となる。それでも「とげなし千両2号」はまだ収穫できただけましである。「たくさん中長ナス」と「秋ナス」は花が数個咲いただけで、実を収穫するまでには至らなかった。何が「たくさん中長ナス」だ、と腹を立てても、当方の育て方が悪かったのだろうと諦めるしかないな。ナスとは相性が悪いようだ。

相性がいいのはキンジソウトマトである。キンジソウは知り合いから数年前に頂いたものだが、味噌汁に入れたりおひたしにしたり天ぷらにしたりして食べると結構いける。ホウレンソウのネオニコチノイド (ハチの神経経路を破壊する農薬、渡り鳥や人間の神経にも影響を与えるという報告もある)の残留基準が大幅に緩和されて以来、ホウレンソウは買ったことがなく、代わりにもっぱら自宅の庭で栽培したキンジソウを食べている

キンジソウの茎を適当なところで切って葉を取った後の茎を、地面に挿しておくと、芽がいっぱい出てきていくらでも増える。オンブバッタに食われるくらいで、アブラムシも付かないしうどん粉病も出ない。完全無農薬で、お金も手間もかからない素晴らしい野菜だ

次はトマトである。数年前に初めてミニトマトを作った時は、オオタバコガが発生して往生した。この蛾の幼虫はまだ青いトマトの実に穴をあけて中に入り込んで食害する。食い物の中に住んでいるようなもので、鳥には見つからず、実に賢い。しかしなぜか今年はオオタバコガが発生しなかったので、ミニトマトと中玉トマトは良く穫れた。10月の中旬になってもまだ花が咲いて小さい実ができてくるが、そろそろお仕舞である。

大玉トマトもいいかなと思って 「桃太郎ファイト」 というのを植えたけれど、これは失敗だった。最初に咲いた数個の花の実は見事に大きくなって、うっすらと色づいてきて、あと数日で食べごろだなと思った次の日の朝、トマトは何者かに食われて、残骸が庭に転がっている。昔、カキの実が熟れる寸前に何者かに全部食われることがあって、タヌキかハクビシンかと思っていたら、ある日庭を悠々とニホンアナグマが歩いていてびっくりしたことがある。その後も大きなトマトは色づくと食われてしまい、 「お前の食べ物を作っている訳じゃないよ」 と独りごちていたが、庭で撮ったニホンアナグマの写真が可愛かったので、まあしょうがないかと思ったのだった。でも来年は大玉トマトは作らないからね。

トマトとナスの害虫で一番びっくりしたのはクロメンガタスズメの幼虫だ。この蛾の成虫の背面には顔の模様があり、そう呼ばれるのだが、人の顔よりも猿の顔に似ていて、良く見るとちょっと滑稽である。この蛾は南方系の蛾で、かつては九州より南に分布していたが、最近北上して関東地方でもナス科 (ナスやトマト) の害虫として嫌われるようになった。ナスの葉が重たそうに垂れていたので、不思議に思って裏を見ると体長8cmにもなろうかという芋虫が付いていたのだ。見たこともない幼虫だ。調べてみたらクロメンガタスズメの幼虫だったというわけだ。まさか高尾に分布しているとは思わなかったので大いに驚いた。

女房に見せたら可愛いというので、大きい飼育箱で飼うことにした。大きなナスの葉を3枚くらい花瓶に挿して入れておくのだが、次の日にはすっかり食われている。顔を持ち上げてシャクシャクシャクとすごい勢いで葉を食べる姿が可愛いと女房は言うのだが、よく分からん感性である。ムチムチ、プクプクしたところが赤ん坊に似ているのかしらね。暫くして色違いの幼虫がトマトにも付いているのを発見して、これも別の飼育箱で飼うことにした。不思議なことに最初ナスについていた幼虫はトマトの葉よりもナスの葉を好み、トマトについていた奴はトマトの葉を好む。最初に食べた植物を好むような刷り込みがなされるのかもしれない。

image by:shutterstock

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