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【静岡空港開港15周年】立ち木問題で全国の注目集め開港、コロナ流行前は73万人が搭乗。国内外の路線再開も多い今年、改めて地元のインフラに注目!

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静岡トピックスを勉強する時間「3時のドリル」。今回のテーマは「静岡空港開港15周年」。先生役は静岡新聞の橋本和之論説委員長です。(SBSラジオ・ゴゴボラケのコーナー「3時のドリル」 2024年6月4日放送)
 
(山田)今日は静岡空港開港15周年の話題です。

(橋本)静岡空港は2009年6月4日の開港ですので15周年ということになります。6月1日に開港15年記念式典が空港ターミナルビルで開かれて、就任から間もない鈴木康友知事をはじめ、15周年のPR大使を務める「ももいろクローバーZ」の百田夏菜子さん(浜松市出身)や空港関係者が参加して節目を祝ったということです。

開港当時に政治部で空港の取材を担当していたので、もう15年経ったかと感慨深いものがあります。全国98番目の地方空港で、当時は「静岡は新幹線もあるし、東名高速もあるのに空港が必要なのか」と全国的に批判されていました。

(山田)当時、批判は大きかったですよね。

(橋本)県内でも反対の声がありましたし、孤立無援という意味では最近のリニア問題にも通じるものがあるかなと感じます。

空港開港後の8月に行われた衆院選で自民党から当時の民主党に政権交代しました。当時、民主党が「コンクリートから人へ」と言っていたのを覚えていますか。無駄な公共事業をやめて余った予算を人のために使おうというようなキャッチフレーズで、公共事業をやり玉にあげたので、その対象の一つにもなったという側面もあったかもしれませんね。

(山田)なんかもう一つ感慨深いのは、当時、石川嘉延県知事ですよね。石川知事がこの空港を造って辞めて、川勝平太知事になって、この15周年を鈴木康友知事が祝っているのがすごいなと。

(橋本)石川知事は、批判もある中で空港建設をずっと進めていきましたが、最後の最後に立ち木問題というのがありました。航空測量のミスで、建設に反対していた地権者の方の土地に林が残ってしまったんですね。他の工事が全部進んでいるけれど、残っている立ち木が飛行機の離発着に支障になるということで、法律上開港できない状況になった。そのため、石川知事が地権者との交渉で、自分が辞めることでその立ち木を切らしてもらうということになりました。

(山田)すごいですね。

(橋本)そういうちょっと政治的な側面もあって、当時はリニア問題のように、全国的に注目されたというのを覚えてます。それもあったので、川勝さんが当選した最初の選挙もすごく注目されたんです。

感染症の流行や政治問題で利用が落ち込んだ時期も

(山田)コロナ禍では需要が減って大変だという話も話題になりましたよね。

(橋本)開港初年度は国内線国際線合わせて50万人ぐらいの利用者でしたけど、コロナ直前の2019年度は73万人を突破して、その10年間は全体的には右肩上がりで増えてきました。

ただ、2012年のMARSの流行や、中国の反日暴動、さらに韓国でも反日運動が盛り上がった時期があったりして利用者が大きく落ち込んだりしました。景気も影響し、ずっと順風満帆というわけではなかったですね。

(山田)結構いろんな波乱万丈な空港じゃないですか。

(橋本)しかも2019年に空港を民営化して、その効果が出始めた直後に新型コロナウイルスが発生して、2020年は一気に12万人まで落ち込みました。国際線はピークには10路線以上もあったんですが、コロナ禍の最中は全て運行休止、空港や航空会社にとっては本当に厳しい時期だったと思います。

(山田)路線も変えたりしましたよね。

(橋本)そうですね。まず国際線が全部ストップしてしまいました。空席ばかりの飛行機を飛ばしていても経費がかかってしまうだけなので、航空会社は需要を見ながら路線の見直しを常にやっていて、国内線も運行したり、一時期止めてたりというのを繰り返していますね。

旅行需要が戻り、路線も増加中!

(山田)これから良くなっていくんでしょうか、静岡空港は。

(橋本)コロナ禍が明けて旅行需要が戻りつつあり、運休していた国際線も韓国ソウル便や中国上海便で再開しています。先日は、浙江省の杭州路線が7月に再開されるという発表がありました。まだ他に中国路線のいくつかと、かつてあった台湾路線が再開していませんが、そうした路線の再開にも期待したいところですね。

静岡空港は、全国の地方空港と比べると国際線の利用者の割合が高いという特徴があります。海外からの誘客を増やし、コロナ前の70万人以上の水準に戻すことが当面は一つの目標なのかなと思います。

ただ、中国、韓国の政治問題などが観光客の来訪にすごく影響するので、難しいところもあります。ですので、国内線も県民の皆さんに積極的に使っていただき、国内からも観光客が来ていただくようにPRしたり観光の魅力を磨いたりすることが大事ですね。

(山田)今、国内線はどうなってるんですか。

(橋本)全日空は、札幌線や沖縄線を7月から1日1往復の定期便として5年ぶりに復活させるそうです。フジドリームエアラインズは札幌、出雲、福岡、鹿児島の各路線を運航しているということです。どの就航先も魅力的な地域なので、興味ある人はぜひ行っていただきたいなと思います。

(山田)せっかく造った空港ですので、県民のわれわれがもっと大事に使っていくというのも、使命なのかも知れないですね。

(橋本)1900億円もの事業費をかけて造ったインフラです。「アクセスがいまいちだ」「路線が少ない」などの課題が指摘されていますが、そういう課題も含めて改善しつつ、皆さんに活発に使ってもらうことでインフラが生きてくるので、大事に使っていく方がいいんじゃないかなと思います。

(山田)実際に飛行機に乗らなくても、飛ぶ飛行機を眺めたりするのも楽しいですよね。これを機にもっともっと良い空港になって、われわれも使いやすくなってくるといいですね。今日の勉強はこれでおしまい!

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