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【TJ調査隊】上越は「桜の開花予想発祥の地」 旧高田測候所職員が計算式を考案

上越タウンジャーナル

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記録的暖冬の影響で、新潟県上越市の高田公園の桜は、観測史上最も早い3月27日(2020年3月12日、日本気象協会発表)に開花すると予想されている。桜の開花予想は、同協会をはじめとする民間気象会社各社が気温データなどを基にした独自の予想式を用いて行っているが、日本で初めて桜の開花予想式を発表したのは、同市大手町にあった旧高田測候所(2007年から無人化)の職員、佐々木孝一氏であることはあまり知られていない。

昭和の初めに独自予想式発表

岩手県盛岡市出身の佐々木氏は、高田測候所が設置された1921年(大正10年)から1931年まで勤務した。昭和の初めの1928年、「桜の開花期日の予察」と題した論文で、気温の推移と桜の開花との関連性から独自の予想式を発表した(気象集誌第2集第6巻第5号)。気象庁発行の「気象百年史」には、「――気象との相関関係を用いて、開花予想式を導いた初期のものである」と紹介されている。

佐々木孝一氏(旧高田測候所所蔵)

“師団の桜”に触発された?

高田公園の桜は、誘致運動の末に高田城の城跡に陸軍第13師団が設置されたことを祝い、1909年に在郷軍人会が兵営地に2200本の桜を植樹したのが始まりとされている。数年後には花が奇麗に咲き、花見で市民が兵営地に入ることが許可され、1926年には高田商工会などが主催して第1回観桜会が開かれている。

佐々木氏が同測候所に勤務していた1921年から10年間はまさに“師団の桜”が年を追うごとに咲き誇り、観桜会の開催へとつながった時期と重なる。

「開花日を予め知らんと渇望」

論文の中で佐々木氏は、開花予想式の研究に至った経緯を記している。

(中略)わけて多雪なる当地方は、約4か月にわたる冬眠の忍苦の反動として、3月下旬の融雪期に至れば桜花を開くを一日千秋の思いで待ちこがるること、他地の比ではありません。

それに当地(高田市)の鮫ヶ城址の観桜は、年と共に盛大になり、遠近よりの観客も多く、当市の年中行事の一として、此の期に種々の催し等もありますので、開花期日を予め知らんと渇望する者が多くあります。 *鮫ヶ城は高田城の別名

3月以降の平均気温に着目

佐々木氏は、測候所裏の当時樹齢約20年のソメイヨシノの過去6年間(1922〜1927)の開花日と、融雪期の3月21日〜4月10日の21日間の平均気温の相関関係に着目。次のような予想式を考案し、論文を発表した1928年4月12日の開花日を的中させている。

yを4月1日を1として起算する開花日とし、xを21日間の平均気温とした場合、

  「y=32.20-2.916x」

佐々木氏が在籍当時の高田測候所。1922年の開所式の様子(上越市公文書センター所蔵)

桜の開花予想は民間へ

その後気象台ごとに独自の予想式が考案され、報道機関の取材に応じていたが、戦後、気象庁は1951年から関東地方、1955年からは沖縄と奄美地方を除く全国の桜の開花予想の発表を始めた。1995年からは気象台ごとの異なった予想式ではなく、桜の花芽の成長に応じた気温の影響と気温の予測値を組み込んだ全国統一の予想式を使い発表した。

気象庁は2010年、「応用気象情報は民間事業者に任せる」との理由で、桜の開花予想を取りやめた。現在は民間気象会社が独自の予想式を使って開花予想を行っている。日本気象協会の予想式は、桜は前年の夏に形成される花芽が休眠し、冬になって一定期間の低温にさらされて休眠から覚める「休眠打破」があることから、秋以降の気温経過に重点を置いたものだという。

2007年から無人の高田特別地域気象観測所となった高田測候所跡地(大手町)

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