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高野百合絵×黒田祐貴、オペラ界の新星が『7STARS』シリーズに登場! 「“新しい風”を感じてほしい」と語る初デュオ・リサイタルの構想は?

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左から 高野百合絵、黒田祐貴

日本コロムビアが贈る、若手新人を紹介する新リサイタルシリーズ『7STARS』。2021年9月19日(日)に開催される第4弾は、今、最も注目されている若きオペラ歌手二人の登場だ。ジャンルや枠組みにこだわらず自由なパフォーマンスを繰り広げるメゾ・ソプラノの高野百合絵と、シンフォニーやドイツ歌曲をこよなく愛する期待のバリトン黒田祐貴。7月中旬に兵庫県立芸術文化センターで上演されるオペレッタ『メリー・ウィドウ』でも共演予定の二人だが、初のデュオ・リサイタルにかける意気込みを聞いた。

――『7STARS』のコンサート・シリーズVol.4 出演にあたって、お二人の意気込みと、今のお気持ちをお聞かせください。

黒田:日本コロムビアの「Opus One」(レーベル)から、高野百合絵さんが2020年1月、そして、僕が今年2021年の2月にファースト・アルバムをリリースしました。アルバムの内容は、彼女がスペイン歌曲や『カルメン』の二曲のアリアを中心に、そして、僕がドイツリートやドイツオペラのアリアからと、互いに全く違う色を持ったものです。今回のデュオ・リサイタルの曲目も、この二枚のアルバムのラインナップをベース考えているのですが、オリジナルの音源が正反対と言えるくらいに違う世界観を持っているので、「二人で一つの演奏会を」となると、「さあ、どうしよう」と、いろいろ話し合いました。

結果的には、難しいことは考えずに、「一つの空間に異なる二人の世界観をそのまま持って行って、真正面からお客様にお聴かせしよう」ということになりました。むしろ、そういう方向性のほうが面白いと思いますし、僕たち自身もワクワクするものがあって、その高揚感をお客様に感じて頂けたらと思っています。

黒田祐貴

高野:私自身、以前よりスペインの作品に取り組んできていまして、今回の演奏会でもアルバム同様に王道プログラムをご披露する予定です。スペイン歌曲は、同じ作曲家でも全く違うアプローチのものが多く、お客様にもいろいろな表現があることを楽しんで頂けたら嬉しいです。個人的にも、現在の私自身をすべて表現できるラインナップだと感じています。

リサイタルでは、加えて、クルト・ヴァイルのミュージカル的な要素のある作品も一曲入れたいと思っています。もともと、私自身、ジャンルにとらわれずに自由に歌っていきたいという思いもあるので、このような作品を通して、別の一面もお見せできたらと思っています。後半は、黒田さんと二人で、バーンスタインの知られざる(⁉)作品「アリアと舟歌」を演奏します。お客様には、「一体どういう曲なんだろう?」という思いのまま来て頂いて、先入観なしに私たちの色を感じ取って頂けたらと思っています。これから、さらに二人で独自の世界観を作り上げていきますので、この演奏会を通して“新しい風”のようなものを感じて頂けたら嬉しいですね。

――ちなみに、当日は、どのようなオーダーで演奏される予定ですか?

黒田:それがまた難しいところで……。今、二人で思案中なのですが、多分、前半はそれぞれのソロをお聴かせして、後半はバーンスタインの「アリアと舟歌」組曲8曲をお聴きいただこうと考えています。この作品は構成自体もバラエティに富んでいて、まず二曲重唱があって、その後にお互いのソロがあって、重唱、重唱という進み方をするんですね。なので、後半はこの組曲を集中して取り組みたいと思っています。

――「アリアと舟歌」が全曲演奏されたケースは日本では、ほぼ皆無ですね?

黒田:多分……かなり稀だと思います。海外では、有名なところで、バリトンのトーマス・ハンプソン氏が録音しています。日本でもバーンスタイン自体は馴染みがありますが、「アリアと舟歌」は、相当なクラシック通でも知らないんじゃないかと思います。実は、僕自身もこの作品については全く知らず、百合絵さん(高野)に、「こんな曲あるけれど、どう?」と教えてもらって、初めて知ったんです。

百合絵さんも、僕も、デュエットのコンサートだからといって、オペラの重唱をやるよりも、「何か新しいものができないかな……」という思いがありまして。それで、彼女お薦めのこの作品を聴いてみたら、「これは面白そうだね、じゃあ、やろう!」と即座に言っていたんです(笑)。内容も吟味せず、その場ですぐ決めました。でも、その瞬間、僕自身も、この作品にはとても惹かれるものを感じたんです。「百合絵ちゃん、イイものを教えてくれたな~!」という感じでしたね。

高野百合絵

――高野さんは、どこでこの作品に出合ったのですか?

高野:もともと曲探しが大好きなんです。私は“メゾソプラノ”とか“ソプラノ”とか、“オペラ歌手”などのジャンルにとらわれるのが好きではなく、普段からいろいろなものを見たり聴いたりするのが好きで、その中で出合った作品です。興味深いのは、歌詞の中に、《これってクラシックなの、 ミュージカルなの、ミニマルなの、何なの???》、《でも、どれも違うよね……》というようなくだりがあって、実際に、「ジャンルや枠組みにとらわれない」というのを地で行く作品なんです。そんな部分にも共感するところがあって、以前からとても惹かれていました。

――スペイン歌曲・民謡、ドイツリート、そして、〆にバーンスタインとなると、ピアニストも大変ですね。

黒田:バースタイン作品のピアノ伴奏は二人四手ですので、ピアニストの石野真穂さんと指揮科を出られている中西亮さんにセカンドピアノをお願いし、4人で「アリアと舟歌」をお送りいたします。ぜひ、期待していてください。

――もう一つ、高野さんがお歌いになる予定のサルスエラ『セベデオの娘たち』より「とらわれ人の歌」。これも、まったく知られていない作品ですが、どのような感じの曲でしょうか?

高野:サルスエラの作品自体は現在、全く上演されていなくて、この一曲だけが残されています。“ザ・スペイン” という感じの情熱的な曲で、歌詞の内容も、《あなたを想うと燃えて――》というようなダイレクトな表現ばかりです。知られていない曲を演奏するのはチャレンジでもありますが、むしろ、私というフィルターを通して、お客様にも先入観なく様々な思いを感じて頂けるのでは、と期待しています。

――ファースト・アルバムの『CANTARES』でもたっぷり聴かせてくださっていますが、高野さんのスペイン歌曲や民謡への特別な思いはどこから来るのでしょうか?  

高野:スペインの文化には昔から憧れていて、フラメンコはずっと趣味でやっていました。スペインの作曲家たちの作品には、大学院の授業で始めて出合ったんです。それまで、いろいろな事を考えながら歌っていたのですが、スペイン歌曲を歌ってみたら、「こうしたい」という思いが自然と溢れ出てくるんですね。「自分も知らない自分」というものも、スペインの作品の数々が見出してくれたように思います。

その後、何度かスペインに行き、モンセラ・カバリエの最後のピアニストであったマエストロのマスタークラスに参加したりと、さらにどっぷりはまっていきました。学べば学ぶほど、フィーリングが合うな、というのを感じました。スペイン歌曲というのは、曖昧な表現とか色というような感覚がないんです。国民性も、劇的な変化やコントラストをとても好むようで、音楽に関しても「この作曲家だから、こういう技法とかスタイル」というのではなく、一人の作曲家の中でも、同じ人間とは思えないほどに違う感情や表現、スタイルがあるんですね。私自身もそれを楽しんでいます。

そういえば、黒田さん、今回のリサイタルでは、ヴォルフの歌曲も入れる予定ですよね?

黒田祐貴

黒田:チラシの予定曲目には入れていないのですが、今、考え中です。ヴォルフは、完全にドイツリートの作曲家ですが、スペイン歌曲集なども書いていて、二人の色の違う世界をつなぐものとして、今、どこかに盛り込もうかなと考えています。

――黒田さんのファースト・アルバム『Meine Lieder』は、かなり玄人好みなレパートリーで構成されていますね。デビューアルバムにリヒャルト・シュトラウスの「Ich liebe dich」をセレクトされたというのは鮮烈な印象です。

黒田:結果的にそうなってしまいました(笑)。『セヴィリアの理髪師』の有名なアリアも入れていますが、基本的にドイツリート、そして、ほぼ同時代のドイツオペラからのアリアを中心に収録しています。

もともと、僕は高校までトロンボーンをやっていて、本当はオーケストラに入りたかったのですが、それを諦めて歌を始めたんです。トロンボーンというのは、オーケストラの中でも縁の下の力持ちのようにハーモニーを構成する楽器の一つなので、僕自身も誰かと一緒に「アンサンブルを作りあげていく」という、そのプロセスがたまらなく好きなんです。なので、歌っていてもピアニストと一緒に音楽的なやりとりを深めてゆくその流れにとても魅力を感じています。オーケストラと歌う際は、楽器たち一つ一つとの対話を楽しむ感覚で、例えば「おお、楽器たちがこう演奏してくるなら、俺はこう行きたいな」という感覚を楽しんでいます。なので、ピアニストと合わせていても、その日、その瞬間の感情やテンションをぶつけ合うのが本当に楽しいんです。

実際のところ、このようなフィーリングをリサイタル空間でもお客様と共有したくて、このようなレパートリーを選んだというのが正しい感じですね。それを可能にしてくれるのが、やはりドイツリートだと思うんです。なので、「僕のやりたいことを、ぜひ見て、聴いて下さい。ねえ、皆さん、素敵でしょ!」という感じでお聴かせできたら嬉しいですね。

――お二人とも、初レコーディングを経験されて、いかがでしたか?

高野:スペイン歌曲だと、「アーイー」という、ため息の表現がたくさん出てくるですが、録音だとそれが繊細に表現できるんです。会場だと、どうしてもため息の息遣いまで聴いて頂くのが難しいのですが、録音では様々な感情を試せた気がします。特に、ファリャの「七つのスペイン民謡」の一曲の「子守歌(ナナ)」では、子供を寝かしつける際の母親の優しい息遣い、消えゆくようなピアニッシモの表現なのですが、それも極限まで表現できたと思います。本当に細やかな点まで、すべてマイクで拾ってもらえたのが嬉しかったですね。

高野百合絵

――黒田さんは、いかがでしょう?

黒田:僕は、コロナ禍で様々なことが中止になったり、延期になったりして、表現する場がすべて失われて塞ぎこんでいた時に、このアルバムのお話を頂きました。あの時は本当に嬉しかったですね。CDのラインナップを考えるのは、演奏会のプログラムを組むのとはまた違う面白さもあったので、すべてにおいて楽しんで取り組むことができました。

――お二人は、今後もデュエットとして活動を展開していく予定ですか?

黒田:どうなんですか。

高野:どうなんでしょう。

黒田:僕としては、願ったり、という感じなんですが。

ディレクター:まずは、9月のリサイタルを成功させてからね!(笑)

黒田:そうですね。それを第一歩にできるのであれば、僕はずっと続けていきたいと思っています。お互い、年齢が近いので思ったことを言い合えるし、互いに切磋琢磨して、刺激し合えるので、僕にとっては夢のようですね。

高野:私も、黒田さんとはとてもフィーリングが合うなと感じています。私は新しいことばかりやるので、なかなか一緒にやろうと言ってくれる人がいないのですが、黒田さんは、「面白そうだね、やろう!」と言ってくれるので嬉しいです。

――もう、これは運命的ですね。

ディレクター:偶然にも7月に兵庫県立芸術文化センターで上演される『メリー・ウィドウ』でもカップル役で出演することになっていまして……。

――それも、偶然なんですか?

黒田:はい、本当に偶然です。僕は、日生劇場のアートディレクターさんからお話を頂いてオーディションを受けたのですが、幸いにも役を頂けることになりました。そこで、キャスト表を見ましたら、【ハンナ・グラヴァリ 高野百合絵】とありまして。「え~っ、うそでしょ?!」という感じでしたね。

――ちなみに、(7月の芸文の)『メリー・ウィドウ』では、お二人がお歌いになるダニロ・ダニロヴィッチとハンナ・グラヴァリは、様々な絡みもありますが、演じていてどんな感触ですか?

黒田:どんな感じですか?

高野:うーん、最近、やっと愛が見えてきましたね。(一同笑)

左から 高野百合絵、黒田祐貴

――今後、音楽的な上での目標を挙げるとしたら、まず何でしょうか?

黒田:もちろん、オペラもやってみたい役はたくさんあるのですが、とにかくアンサンブルの喜びや、その場、その瞬間の音楽的なやりとりが好きなので、つねに誰かとともに音楽作り上げていく場に身を投じていたいな、と思っています。目標としては、かなり曖昧な感じなんですが……。

高野:私の中で、つねに “憧れ” として感じていることは、「ジャンルや枠組みにこだわらないでいたい」ということです。「職業何ですか?」「高野百合絵です」/「ジャンルはなんですか?」「私です」と胸を張って言えるように、自分自身をもっと育てていきたいと思っています!

――(高野さんは)例えば、舞台にしても、音楽以外のものにも挑戦してみたいなど、そのような思いもあるのでしょうか?

高野:もちろん、歌うことが自分自身にとって「生きること」でもありますので、まずは歌と音楽が基本ではありますが、もし、それが自分自身の違う面を引き出してくれるのであれば、もちろん挑戦してみたいと思います。

――最後にこの演奏会を楽しみにしている読者の皆さんに、メッセージをお願いします。

高野:一人でも多くのお客様を私たちの世界にご招待できたらいいな、と思っております。9月19日は、ぜひ会場にお越しください。

黒田:当日はスゴく面白い空気を作れると思いますので、新鮮な気持ちで楽しみにしていて頂けたら嬉しいですね。

左から 黒田祐貴、高野百合絵

取材・文=朝岡久美子 撮影=池上夢貢

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