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図工の時間から始まった“本物”との出会い。一枚の絵から始まった「小さな夏の冒険」

saita

図工の時間から始まった“本物”との出会い。一枚の絵から始まった「小さな夏の冒険」

潜在意識インタビュアーkahoのコラム【良い人生は後から】 「良い花は後から」ということわざがあります。先に咲いた花よりも、後に咲いた花の方が美しいという意味を持つこの言葉。人生も同じだと思いませんか? 酸いも甘いも経験した40代頃からのほうが人生の豊かさを感じられるようになります。そんなことを意識しながら生きているkahoが日々思うことをお届けします。

絵の続きを描いた先にあったもの

「今ね、図工で描いてる絵がすごくうまく描けてるんだ。できたら見てほしいなぁ」

6月の終わり頃、娘がそう言って、図工で描いている絵の話をしてくれた。

先生が、著名な絵の一部を四角くはがきサイズに切り取ったものを配り、子どもたちは、その中から好きな絵を選ぶ。

その絵を画用紙に貼り、その絵の続きを想像して描き、1枚の絵を完成させるという内容だった。

今の子どもたちは、小学校の図工の時間にすごく楽しい授業を受けているんだなぁと思った。

そして娘が、「ピカソとか、モネとか有名な絵を選んだ子もいるけど、私は知らない絵を選んだの。あの絵は誰の絵なのかなぁ。どんな絵なのか見てみたいな」と言った。

それからしばらくして、学校のタブレッドで完成させた絵の写真を撮ってきてくれた。

画像の、白い線で囲んである部分が先生が配ったはがきサイズに切り取られた、ある絵の一部。

そして、この絵は、娘がその一部から想像して描いたその絵の続き。

親バカな私たちは、「なんて、天才的な絵を描くの!」と、夫婦で褒めまくり。学校から持ち帰ったら、額に入れて飾ろうと決めた。

急遽決まった夏休みの旅

「この絵を描いた人を調べてほしいの」。

娘が写真を撮ってきたそもそもの目的は、作家を知ること。ネットで調べた結果、その絵は パウル・クレーの《ニーゼン山》(1915年) という作品であることがわかった。100年以上前に描かれた絵だと伝えると、娘は「そんな前に!?」と目を丸くした。

ネットで他の作品をいろいろと見ていたら、「私、この人の描く絵がすごく好き!」と言う。「他の作品も見てみたい!」と。

そんな言葉を聞くと、俄然張り切ってしまう私。

パウル・クレーの作品が見られるところはあるのかな? と調べたら、なんと! 静岡市美術館で8月3日まで「パウル・クレー展」をやっているということがわかった。

静岡……。行けない距離ではない。しかも、夏休み期間で、8月の3日で終わってしまう。静岡ば3館巡回の最後の場所。ということは、この機会を逃したら、しばらく見る機会がないかもしれない!

娘に、パウル・クレーの絵を見せてあげたい! ということで、急遽静岡行きを決めた。

娘の「また行きたいね」が私を満たす

娘が興味を持ったことには、家族で興味を持ち、3人でそれについて調べたり、見たり、実際に行動したりしてみよう。

これは、私たち夫婦のもとに娘がやってきたときに決めたことだ。

もちろん、できないことだってある。

「私、フロリダのディズニーランドに行ってみたい」という娘の願いは、「いつかね」という言葉と共に何年も実現できていない。それ以外にも、「いつかね」と保留にしていることはたくさんある。

でも、今回のこれは、「行こう!」と思った。

家族で出かけるとなると、どうしても帰省がメインになり、旅という旅がなかなかできてきない我が家。コロナ禍前は、沖縄に3年連続で行ったりしていたけど、どちらかというと同じ場所ばかり行きがち。

そんな我が家にとって、静岡は2回目の訪問となる場所。6年前、夫の仕事でたまたま静岡に行くことがあり、娘と私もついていったことがある。

そのとき、歴史好きの夫に付き合い、久能山東照宮に登ったのだけど、この機会に再び登ってみようということになった。

なので、夫の希望と娘の希望、2つが叶う場所として、再び静岡行きが決まった。

1日目は、炎天下の中家族3人で1159段の階段を登り、東照宮をお参り。

2日目は、10時に美術館へ。

「この人が、パウル・クレーさんなんだ」。入り口の写真をじっと見つめる娘の姿を見て、「連れてこられてよかった」と思った。

残念ながら、今回の「パウル・クレー展」には、娘が1番見たかった《ニーゼン山》の展示はなかったのだけど、想像以上のボリュームで作品が展示されていて見応え抜群だった。

「私、夏休みに絵を描いてみる」。帰りの新幹線で娘が言った。

きっと、今回たくさん見た作品に刺激を受けた絵を描いて見せてくれるだろう。

stock.adobe.com

小学6年生の夏休み。まだまだ、パパにもママにもべったりな娘との3人旅。

「楽しかったね。また行きたいね。静岡、大好き!」

娘のうれしそうな顔を見ると、私の心が満たされる。夫も然り。この旅が、娘にとって記憶に残るものになっていたらうれしい。

潜在意識インタビュアーkaho/ライター

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