ゴアテックス、コーデュラ…意外と知らないハイテク素材の特徴
まもなく関東でも梅雨入り。雨が降って湿度が高くなると蒸れや蒸し暑さといったお悩みもでてきますよね。そんなお悩みを解消してくれるのが「ハイテク素材」を使ったアイテムです。
最近は、様々なメーカーが「ハイテク素材」を採用していますし、独自の「ハイテク素材」を開発しているところもあります。それゆえに、なかなか違いがわからない…。ということで「生活は踊る」水曜日のレギュラーゲストでファッションプロデューサーのMBさんに教えていただきました。
ハイテク素材の代表的なところだと「ゴアテックス」とか「コーデュラナイロン」、夏によく使われる「クールマックス」、「ソロテックス」も最近スーツとかに使われていますね。「イーベント」っていう「ゴアテックス」に近いものも。そういったものがアウトドアだけではなくて、スーツだったりとか、靴・バッグなどに使われることが増えていますね。
「ゴアテックス(GORE-TEX)」の特徴
「ゴアテックス」は最初の透湿・防水素材というふうに認識されていると思います。1971年に発売された「ゴアテックス」ですが、そこから透湿・防水という素材がこの世の中に誕生したんです。透湿・防水が何かというと、湿気を逃がす機能と、水を入ってこなくする機能、その二つが両立しているものを透湿・防水といいます。
蒸れを逃がすのって、そんな大したことじゃないだろうって思うかもしれませんが、透湿・防水が採用される前は、アウトドアのシーンで死人が出たぐらい大変なことだったんです。汗が蒸発するときに体温が失われて低体温になって、最悪の場合は死に至るっていうことがプロのシーンの中では起きていたことなので、「ゴアテックス」の透湿・防水が出てきてからすごく軽減されたというか。便利な素材が出てきて、蒸れることなく、そして水が入ってくることなく、体温が下がらずにっていうことができるようになったんです。
「ゴアテックス」は透湿・防水の代表的な素材なので、基本的にはプロユースのものからタウンユースのものまで、日常的に使えるものまで幅広く展開されています。電車の中に入ったときに外との気温差で汗だくになってしまう。そういうときに「ゴアテックス」だと、汗を素早く逃がしてくれるので比較的起こりにくくなりますし、山に登るときに汗だくんなっても汗で体温が失われにくくもなります。
※ゴアテックスにもバランスタイプの「ゴアテックス」、本格派の「プロ」、より蒸れにくい「アクティブ」などありますので、これから購入する人はどんなタイプなのか確認してみるといいかもしれません。
「コーデュラ(CORDURA)」の特徴
「コーデュラ」はナイロンの7倍の強度を持つ素材として知られています。「クールマックス※」開発しているアメリカのインビスタ社の機能素材です。よく聞く名前だと思うんですけど、バック市場の40%以上に採用されていると言われていて、メイン中のメインの機能素材なんです。
耐久性が非常に高く、撥水性も高いです。高密度で折られた生地にポリウレタンで表面をコーティングしているので水を基本的に弾きます。ですのでバックに使用されることが多いわけです。なおかつ「ゴアテックス」と比べても価格はそこまで高くならないので、安価なものから高価なものまで幅広く使われています。
ただウレタンコーティングなので、ずっと使ってると多少劣化はするかと思いますが、コーティングし直したりすることでまた復活させることもできますし、何かと安くて便利な素材だと思っています。
※「クールマックス」は通気性・吸水速乾性に優れた素材。
「ソロテックス(SOLOTEX)」の特徴
ソロテックスは帝人フロンティア株式会社が開発した素材で、近年になってリリースされました。ストレッチ性が高くて、風合いが天然繊維に近く、発色性がすごく良くて洗えます。今、スーツの市場でよく使われていますが、僕たちが全部欲しいと思ってたイージーケアの要素をソロテックスが持っているんです。
またポリウレタンを使ってるとストレッチ性は高くなりますが、劣化してしまうので、寿命が決まってくる。ですがソロテックスはストレッチが入っていますが、ウレタンじゃなくてポリエステルなんです。これが非常に珍しいことで、ポリエステルのストレッチ素材っていうのは基本的には劣化がありません。ですので伸びるし、洗えるし風合いも豊かだし高級感があって、形状安定性・回復性も優れている。でもそこまで高くないので、幅広くスーツだったり日常着に使われることが多いです。
「イーベント(eVent)」の特徴
「イーベント」に関してはご存知の方が、そもそもどれだけいるかわかりませんが、「ゴアテックス」とほぼ同じだと思ってもらって構わないです。透湿・防水性というところでも全く同じですし、仕組みもかなり似ているんです。ちょっとマニアックな話になりますが、「ゴアテックス」って表面コーティングするんです。コーティングすると透湿性が若干劣るんですが、「イーベント」はコーティングしてないんです。ですので透湿性能が「ゴアテックス」よりも遥かに高いとは言われています。ただ「ゴアテックス」にもランクがありますし、「イーベント」にもいろんな種類があるので一概には比べられません。
また「イーベント」や「ゴアテックス」という素材が存在すると思ってる人がいますが、そうじゃないんです。あれはメンブレン、素材に入れる膜みたいなものの名前が「イーベント」や「ゴアテックス」なので、膜を入れる素材によっても機能性って変わってきます。
今回は代表的な「ハイテク素材」について教えていただきました。ぜひ、この時期のファッションの参考にしてください!