これが最初で最後!?【パンスターズ彗星】富山でも撮影に成功! チャンスは4/20頃まで 見ごろはいつ?どの方向?
古くはハレー彗星や、近年では紫金山アトラス彗星など、宇宙の神秘やロマンを感じることができる彗星。天体ファンならずとも、一度は見てみたいという人も多いのでは?
今、天体ファンの間で話題になっているのが、パンスターズ彗星(C/2025 R3)です。観察できるとしたら、いつ頃、どの方角なんでしょうか。国立天文台のホームページなどを参考に、観察のポイントをまとめました。
パンスターズ彗星とは?
2025年9月8日に発見された彗星
パンスターズ彗星は、2025年9月8日に発見された彗星です。発見当初は、太陽から遠かったこともあり約20等と暗い彗星でしたが、3月後半には8等ほどの明るさとなって小型の望遠鏡でも観察が可能となりました。
もう二度と見られない!?
パンスターズ彗星は、元々は放物線にごく近い楕円軌道を描いていて、計算上では前回は約18万年前に太陽に近づいたと考えられるそう。
現在は、惑星の引力の影響で軌道が変化していて、将来的には太陽系から離れ二度と戻らないと考えられます。
つまり、今回の接近が最初で最後のチャンスとなります。
観察は4月15日から20日頃の明け方がねらい目
彗星が見られるのは、太陽に近づいたときです。
パンスターズ彗星が太陽に最も接近するのは、4月20日7時頃(日本時間)で、その距離は0.50天文単位(約7500万キロメートル)。この前後の時期で彗星活動はピークを迎えるものと予想されています。
地球への最接近は4月26日18時頃(日本時間)で、この時の距離は0.49天文単位(約7300万キロメートル)です。
パンスターズ彗星が最も明るくなるのは4月25日頃と予想されますが、見かけの位置が太陽に近く、彗星の観察には不向きなので、少し前の4月15日から20日頃の明け方が、最も観察しやすい時期になります。
暗い場所で、空の澄んだ時に観察した場合には、肉眼でかすかに見えるかもしれません。市街地では肉眼で見るのは難しそうですが、適切に設定したカメラで撮影することで、ぼんやりとした姿や少々伸びた尾の様子を写すことができる可能性があります。
パンスターズ彗星は星空の中を日々移動しているので、観察する日によって位置や明るさは変化していきます。
【4月11日から4月17日頃】 明け方の低空
低い空に位置し、日の出前の明け方に東から東北東の空で観察することができます。
太陽にも地球にも近づいていくことで、約5等から約4等へと明るさを増していくと予想されます。一般に6等よりも明るければ肉眼で見える明るさですが(十分に暗い空の場合)、彗星の位置する低空は薄明が影響したり、地上の明かりやもやなどの影響を受けたりして、この時期の肉眼での観察は難しそうです。
望遠鏡や双眼鏡を使うと見える可能性が高くなりますが、それでも簡単ではないでしょう。
【4月18日から4月22日頃】 明け方の超低空
彗星の位置がとても低く、東北東の方向が地平線近くまで開けた場所での観察が必要となります。
彗星の明るさは約4等から3等程へと増していきます。よく晴れた空の澄んだ日に暗い場所で観察した場合には、かすかにぼんやりとした彗星の姿が肉眼で見える可能性があります。肉眼で見えづらい場合には、双眼鏡や望遠鏡を使えば観察しやすくなるでしょう。双眼鏡で見えた後に改めて肉眼で探してみると、彗星が見えるようになることもあります。
とはいえ、超低空では地上の光やもやの影響を受けやすいため、彗星自体が明るくなっていても、高度が低くなることの影響で見つからないこともあるでしょう。
富山でも撮影に成功!
この写真は、4月9日(木)午前3時半過ぎ、富山市の殿様林緑地公園の土手で、富山県天文学会の須藤健太郎さんが撮影したパンスターズ彗星です。
「ねらい目はこれから4月20日頃までかと思います。東の空が開けた場所で、ビクセンのコメットブック等のアプリを入れたスマホ等で位置を確認して、双眼鏡等で是非見てみてください」(須藤さん)
名前の由来は?
パンスターズ彗星は、2025年9月8日(日本時・世界時とも)にハワイのマウイ島にあるPan-STARRS2望遠鏡による観測で発見されました。
2025年9月前半に発見された彗星のうち3番目の彗星であることからC/2025 R3の符号が付与され、PANSTARRS(パンスターズ)彗星と命名。
ただ、この観測システムで発見された彗星は多数あって、数多くのパンスターズ彗星が存在するので注意が必要なんだそう。正式には「C/2025 R3 (PANSTARRS)」と表記されます。
今さら聞けない!? 彗星の話
どこに存在しているの?
彗星は、私たちが住む太陽系を構成する天体のひとつ。
「天体」とは宇宙空間にある物体のことで、太陽のような恒星や地球のような惑星、月のような衛星などを総称する言葉です。
私たちが「星」と聞いてイメージするようなもの以外にも、濃いガスが集まった雲や塵など、さまざまなものが天体と呼ばれます。
彗星もそんな天体のなかまで、地球やほかの惑星と同じように太陽の周りを周っています。
大きさはどれくらい?
彗星といっても、その大きさはさまざま。
本体が数キロメートルのものから数十キロメートルのものまであります。
数キロメートルと聞くと、とても大きな物体のように思えますが、宇宙のスケール感から見るととても小さな存在。天体のなかまの中で小さい部類に入ります。
主成分はなに?
彗星のおよそ8割は、氷。つまり、水からできています。
それに、二酸化炭素や一酸化炭素、その他のガス、そして微量の塵なども一緒に含んでいます。
つまり、彗星の主成分は水(氷)で、表面にさまざまな塵がついた「汚れた雪だるま」とか、「凍った泥だんご」などとたとえられます。
いつ見られる?
彗星が見られるのは、太陽に近づいたときです。
地球やほかの惑星と同じように、彗星も太陽の周りを周っていますが、太陽に近づいた時、熱によって本体(核)の表面が少しずつ溶けて崩壊します。その際に氷が蒸発し、ガスと塵も一緒に表面から放出されます。
その結果、彗星の本体がぼんやりとした淡い光に包まれるように輝いて見えます。これが「コマ」と呼ばれ、さらに本体から放出されたガスと塵がほうきのように見える「尾」を作ります。その姿から“ほうき星”とも呼ばれます。
どれくらいの期間で太陽の周りをまわっているの?
彗星は、地球やほかの惑星と同じように太陽の周りを周っていますが、その周期は彗星によってまったく異なります。
彗星の公転軌道は細長い楕円のものが多く、なかには放物線や双曲線軌道を描くものもあります。
楕円の軌道を持つものは一定の期間で太陽の周りを公転していますが、放物線や双曲線の軌道の彗星は太陽に近づくのは1度きり。つまり、2度と太陽の近くには戻ってこない彗星です。
楕円軌道をもつ彗星のうち、公転周期が200年以内のものは「短周期彗星」と呼ばれ、それよりも長いものは「長周期彗星」と呼ばれています。
冒頭でも触れましたが、パンスターズ彗星の軌道は元々は放物線にごく近い楕円軌道を描いていて、計算上では前回は約18万年前に太陽に近づいたと考えられます。
現在の軌道は、惑星の引力の影響で放物線にごく近い双曲線軌道に変化していて、将来的には太陽系から離れ二度と戻らないと考えられます。
「一生に一度」どころではない、もう二度と見られない天体ショー。興味のある人は観察にチャレンジしてみては。