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U-10年代の守備の基本、状況認知やボールを奪う動きをどう教えればいい?

サカイク

U-10年代に守備を教えるのに苦戦。状況の認知やボールを奪う動きをどんなやり方で教えればいい? と悩むお父さんコーチからの相談。

今回もジェフユナイテッド市原・千葉の育成コーチや、京都サンガF.C.ホームタウンアカデミーダイレクターなどを歴任し、のべ60万人以上の子どもたちを指導してきた池上正さんが、守備の指導ポイント5つをお伝えします。
(取材・文 島沢優子)

 

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(写真は少年サッカーのイメージです。ご相談者様、ご相談内容とは関係ありません)

 

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<お父さんコーチからの質問>

こんにちは。最近このサイトを知った者です。よくある話だと思いますが子どものチーム入団で他の保護者コーチに誘われてボランティアコーチをしています。

自分自身は小学生時代にスポ少でサッカーをしていた程度です。攻撃的なポジションだったので、小学生年代に守備のやり方を教えるのが難しいなと感じているところです。

今回相談したい内容は、U-10年代で覚えておきたい守備の基本についてです。

グループで守備をする際、どのように状況を認知して動くか、どのようにしてボールを奪うのか? などについてどんなやり方で教えるのが良いか、と言うのが悩みです。

また、相手との間合いの詰め方や体の入れ方をどう覚えさせるのが良いでしょうか。

質問が短くてすみませんが、アドバイスをいただけると幸いです。

 

 

<池上さんからのアドバイス>

ご相談ありがとうございます。

日本サッカーにおけるディフェンスの問題は、ボールをとれないことだと私は考えています。

ご質問は、10歳以下で覚えておきたい守備の基本ということなので、この年代では「追いかけて取る」ということを強く伝えてほしいです。

指導者の間でよく出てくる言葉は、例えば「チャレンジ&カバー」とか「2人で協力してボールを奪おう」といったものです。

それよりも、マンツーマンのディフェンスで、相手が保持するボールをとることを頑張ること。それに関して自分で工夫することを強調してください。

 

■指導のポイント①「抜かれても良いからボールを取りに行こう」と伝える

指導について具体的なポイントを5つほど伝えます。

ひとつめ。選手に対して「抜かれても良いので、ボールをとりに行こう」と働きかけましょう。それを重ねていくと、選手は自分が相手とどれくらいの間合いで守ればよいかを見極めていきます。これは私たちコーチが手取り足取り教えてできるものではありません。もっと言えば、その子自身の能力でしかないのです。

時折、育成年代の講習会をのぞくと「手を伸ばして相手に届く(体に指先がつくような)距離にいなさい」と教えることがあります。ところが、それはひとつの目安でしかありません。間合いをもっと詰めても抜かれない選手もいれば、その間合いでも簡単に抜かれてしまう選手もいます。自分で「自分の間合い」を見つけてもらう。たくさん抜かれることで、詰める距離やタイミングを学ぶのです。

 

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■指導のポイント②ミニゲームではマンツーマンで守備をさせる

ふたつめ。この守備の感覚は主にはゲームで養います。練習の際ミニゲームをするときには、守備についてはマンツーマンでやらせましょう。

簡単に言えば「この子を離しちゃダメだよ」「まずボールが渡らないように守ろう」説明してください。それでも相手に振り切られてボールが渡ったとしたら、マークしている自分がとりに行く。もし抜かれたとしても、仲間にカバーを期待して見ているのではなく、誰より先に自分が追いかけるよう指導しましょう。

 

■指導のポイント③からだを当てろ、ではなく足を出せと伝える

三つめは「からだを(相手に)当てろ」ではなく、「足を出せ」と口酸っぱく伝えること。

ボール保持者に対し激しく守備することを「デュエル」と表現することがあります。が、日本ではそれについて「相手の体に自分のからだを当てよう」と伝えることが多いようです。しかしながら、からだをぶつけても相手がボールを隠して取られない位置に置けばボールは簡単にはとれません。

そこでからだを当てるのではなく、足を出すことが重要です。相手の足下にあるボールを目がけてとりに行くよう促しましょう。足を出すことを強調せず、からだの入れ方などを細かく教えてしまうと、相手とボールの間にからだを入れようとします。それでうまくからだを入れられたらいいのですが、すり抜けられることのほうが多いようです。

さらに、すり抜けられると、からだを当てにいきがちです。そうなるとファウルが増えます。悪くすれば、お互いにケガをするリスクも高まります。

 

■指導のポイント④抜かれても叱ったり否定しないこと

ボールを取るためには、自分の足が届く位置まで間合いを詰める必要があります。詰めていくと抜かれることも出てきます。詰めると見せかけて引いてみたり、相手をよく観察していけば少しずつコツをつかんでいきます。その進歩を支えるためには、抜かれても叱ったり否定しないこと。これが四つめです。

例えば「今日のミニゲームは抜かれてもいいよ。そういう練習だから」と説明してやらせてもいいでしょう。間合いを詰めることを躊躇している子どもがいれば、コーチから「いくら抜かれてもいいから、とりに行こう」と言ってあげましょう。そのためにも日頃から選手を否定したり、安易に叱ったりしない雰囲気をつくることが重要になります。失敗を怒られてばかりでは、子どもは怒られたくないのでトライしません。

今までの経験で言うと、なかなかボールをとれない子は自分で工夫していないようです。そのような子どもを見かけたら「同じタイミングで飛び込んでるみたいだよ」「ちょっとタイミングを変えてごらん」とアドバイスします。遅いようなら早く、早すぎるならもう少し落ち着いて相手をよくみることが必要です。

 

■指導のポイント⑤ボールを奪う練習のため2対2をさせる

(写真は少年サッカーのイメージです。ご相談者様、ご相談内容とは関係ありません)

 

最後の5つめです。みていると、鳥かごをやり続けると「1対1でボールを奪う」という感覚が薄れるようなので注意しましょう。例えば2対2の練習を試してください。ボールを持つと攻撃方向決まっていて、ゴールラインにターゲットマンがいる。そこにパスすると1点という練習です。ターゲットマンにパスができると今度はパスしたチームがボールを受け、反対方向に攻撃をします。

攻撃方向がどんどん変わるので継続して練習できます。2対2なので自然にマンマークになりますし、ボールをとらないと点にならないので子どもたちは積極的にプレーします。そこでは「自分たちでボールを奪わないと得点できないよね」「積極的に狙おう」と声がけしましょう。ボールを奪い返す練習なんだよと、そこを強調します。

足を出してボールをとりに行き始めると、相手の足を踏む場面が増えます。欧州の選手は子どもでもプロでも、相手の足をよく踏んでいます。ところが、そういう場面を日本ではあまり見ません。

実は私が小学生たちのなかに入ってゲームをしていると、子どもの足を踏むことがあります。「監督! 足踏んでるよ」と子どもに指摘されたりします。しかし、「ボールをとりに行くとこうなるんだよ」と説明しています。

 


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池上 正(いけがみ・ただし)「NPO法人I.K.O市原アカデミー」代表。大阪体育大学卒業後、大阪YMCAでサッカーを中心に幼児や小学生を指導。2002年、ジェフユナイテッド市原・千葉に育成普及部コーチとして加入。幼稚園、小学校などを巡回指導する「サッカーおとどけ隊」隊長として、千葉市・市原市を中心に年間190か所で延べ40万人の子どもたちを指導した。12年より16年シーズンまで、京都サンガF.C.で育成・普及部部長などを歴任。京都府内でも出前授業「つながり隊」を行い10万人を指導。ベストセラー『サッカーで子どもがぐんぐん伸びる11の魔法』(小学館)、『サッカーで子どもの力をひきだす池上さんのことば辞典』(監修/カンゼン)、『伸ばしたいなら離れなさい サッカーで考える子どもに育てる11の魔法』など多くの著書がある。

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