【西武】岡田雅利捕手インタビュー 大きな故障を乗り越える原動力になったものとは?
5月16日放送のライオンズエクスプレスでは、埼玉西武ライオンズの岡田雅利捕手にインタビューした模様を放送した。手術した左膝の状態、そして直近の目標について訊いた。
――5月10日、ファームでの楽天戦で公式戦に復帰。そして5月12日、ファームでの楽天戦では今季初ヒットということになりました。ここまで段階が上がってきた状態というのは、岡田選手自身はどう捉えていますか?
岡田「正直『野球できるのかな』という不安と、今一歩一歩進んでいる段階なので、ファームですけど試合に出られたというのは本当に大きな一歩だったなと思います」
――4月に3軍の試合から実戦復帰となりました。そのなかでご自身の手応えや感覚は変わってきましたか?
岡田「そうですね。11年目でバッティングが今1番いい状態といいますか、ホームラン王を目指して……すみません嘘ですけど(笑)。本当にすごく状態がよくて、あとは走るほうが日によって少し違う時があるのでそこをしっかり段階を上げていって、1軍の試合にしっかり出ることを見据えて今は頑張っているところですね」
――バッティングであったり、キャッチング、スローイング、走りといろいろありますけど、それぞれ点数をつけるのは難しいと思いますが、今はどれくらいの段階なのでしょうか?
岡田「守るほうは8割ぐらいきていますし、走るほうは足が遅いので6割、7割を目指したいんですけど、日によっては8割でいける日もあれば5割ぐらいの時もあるので、そこをしっかりやっていきたいなと思いますね」
――もともと左膝の痛みがあって、そこから3度の手術がありましたが、ご自身のなかで痛みというのはまったくないのでしょうか?
岡田「ほぼないですけど、水が溜まったり、曲がりづらかったりする部分があって、いつも水を抜いてもらっている状態なので、膝に水が溜まらないようにやってはいるんですけど溜まっちゃうんですよね」
――そこは自分の体とのご自身にしか分からない部分もあるのでしょうね。
岡田「そうですね。朝起きるのが恐いというか、朝起きて動かした瞬間『今日はいい1日だな』とか、『今日はもうダメな日だな』というのが分かるので、膝にボルトを入れまくった写真がスマホにあるのですが、それを毎日見て『今日も1日膝よ頑張ってくれ』と思ってやっているところですね」
――ある意味いい付き合い方をしながらどんどん状態を上げていく感じなんですね?
岡田「本当におっしゃる通りで、1日でも早くね、『ボルト頑張ってくれ』と思っています」
――あとはその日の状態を見ながらというのはあると思いますが、一方で長いリハビリの期間がありました。その間は試合であったり現場から少し離れた位置でライオンズの戦いを見てきたと思いますが、その期間は岡田選手のなかでもある意味、今までなかった状況なんじゃないですか?
岡田「今でも1軍、2軍の試合を欠かさず見ていますし、そのなかで捕手の古賀(悠斗)であったり、銀(炭谷銀仁朗)さんともファームに来たら会話もしますし、若手選手がファームに落ちた時もいろんなことを会話していて、『こういう場面はどうでした』といったなかで、自分の見ていたところをね、自分の持っている物を捕手に伝えるということはやるようにはしていますね」
――岡田選手はチームのなかでの自分の役割だったり、潤滑油的なことをすごく意識しているかと思うのですが、ケガの前と後で意識は変わりましたか?
岡田「めちゃくちゃ変わりましたね。本当に若手選手と一緒にやっていて、『そこまで動けるんだ』とか、『もっとこういうふうにやったらどうなの?』という部分が見えたり、そこで自分は練習中には言わないんですけど、練習が終わってから話しにきてくれたら全部言います。僕もやっぱり全部言おうとは思っていなかったのですが、今は全部伝えて、よくなったような動きとか、逆に意識しすぎて『あまり言わなくてもよかったな』と思ったりとか、そういう部分ではすごく変わったなと思いますね」
――一方ではライバルでもあるわけですよね?
岡田「みんな本当にポテンシャルが高い子ばっかりなのでそこは負けずに。やりすぎたらまた1から0では済まなくなってしまうこともあるので、そこは意識しながらやっているところです」
――1軍は開幕から苦しい戦いが続いていますが、試合をご覧になっている岡田選手のなかでは、どんな思いがありますか?
岡田「自分のことだけを考えると、まずは1軍の舞台でベンチに入れるように意識してやっています。1軍に行った時に『岡田が来て変わったな』と思われたいですし、1軍の試合を見ていて今は苦しい戦いが続いていますけど、いつかは上がってくると思うのでそこで素早く1軍に上がれたらいいなと思いますね」
――ベルーナドームでの試合を見ていて、こういう時に岡田選手が試合前の円陣にいたらどんなことを言うんだろうといつも思うのですが。
岡田「僕は本当にそういう部分しか考えていない。という言い方もおかしいんですけどね、やっぱり盛り上げて、負けている時は『まだいける』とならないとダメですし、勝っている時なら『もう1点取ろう』とならないとダメだと思うので、そういうところは意識してやっていきたいなと思いますね」
――ファンの声というのも、岡田選手にとって非常に大きいとは思うのですが、リハビリ中もいろんな声が届いていたかと思います。
岡田「そうですね。2軍や3軍の試合に出させてもらった時に、『岡田!』という声援をいただいた時にすごく力になりますし、名前を呼ばれた時にも大きな拍手をしていただいて、僕自身『野球を続けてよかったな』と思います。本当にファンの方の声援はすごい力になるんでね、絶対に復帰。まだまだ野球をやりたいと思いますし、試合に出た瞬間に、みなさんに『岡田!』と言ってほしいですね」
――おそらく、『それが大事(大事MANブラザーズバンド)』の歌詞をみなさん思い返したら泣くと思いますよ。
岡田「自分がまず泣くかもしれないですけどね(笑)」
――ここまで本当にいろんな苦労があったかと思いますが、改めてご自身のなかでここまで乗り越えてきた1番の力というのは何だと思いますか?
岡田「僕自身やっぱり手術をしてもらった先生もそうですし、トレーニングをしてもらった大川達也さん(株式会社ストロングス)に毎日のように連絡してもらったりとか、すごく力になりました。それと僕がこんなにケガをしているのに、『サインください』と言ってくれるファンの方は本当にありがたいですし、自分なんてまだまだなのにそういうふうに言ってもらえると本当に力になっていますね」
――直近の目標は?
岡田「今は2軍戦でまず結果を残してというのがあるので、役割もあると思いますし、そこで勝たせられる捕手になっていきたいというか、僕がマスクを被った試合は全部勝つ。負けていて、7回、8回、9回に出た時も、そこで『岡田がマスクを被ったから次の打線が爆発した』と言われるような姿を見せていきたいなと思いますね」
――ライオンズファンのみなさんは、岡田選手はいつぐらいにベルーナドームで見られるのか、戻ってくるのかというのを楽しみにしているかと思いますが、岡田選手のなかではこの時期頃までにといった、今の時点での思いというのはいかがですか?
岡田「僕自身6月30日が誕生日なので、そこに向けて頑張って合わせていけたらなと思いますし、そこでハッピーバースデーを歌ってもらって打席に立ち、岡田選手の登場曲『それが大事』の曲の最後に『岡田!』という声援を目標に、今を頑張っているところですね」
――ライオンズナイター公式マネージャーの乃木坂46向井葉月さんも、岡田選手の復帰を本当に心持ちにしていると思います。
岡田「いちファンとして僕を応援してくれていることはすごく嬉しいです。僕の復帰試合にたぶん始球式をしてくれると思いますし(笑)、この前の始球式ではワンバンだったと聞いたので、ぜひストライクを投げてもらえたらいいなと思いますね」
――最後に放送を聴いているライオンズファンのみなさんに、岡田選手からメッセージをお願いします。
岡田「しっかり復帰して、まだまだ1軍でも優勝を目指せる位置に絶対にいると思うので、僕の力で優勝させたいと思っています。ぜひ応援よろしくお願いします」
※インタビュアー:小笠原聖アナウンサー