初級編「寄席」の楽しみ方。途中入場・飲食OK!最大9時間も楽しめる!?
日々の天気や街のトレンド、おいしいゴハンに大人の悩み、社会の仕組み・・・1日イチ「へぇ~」なトピックスを。
新進気鋭のコラムニスト、ジェーン・スーが、生活情報や人生の知恵をナイスなミュージックと共に綴る番組。
今回のゲストは、落語家の林家つる子さん!
「寄席」に行ったことがない!という方にとっては、なんだか敷居が高そう…という印象がある方もいらっしゃるかもしれません。しかし、実際は、超気軽に来てほしい場所なんです!と、つる子さん。今回は、初めて寄席に行ってみたい!という方の不安を払拭するべく、初級編としての寄席の楽しみ方を教えていただきました!
そもそも「寄席」って何を楽しめるの?
・もともとは「寄せ集める席」で「寄席」と呼ばれていますが、落語や漫談を楽しめる演芸場の事です。
・落語のほかにもギター漫談や手品など、曲芸も楽しめる場所なので、もっと気軽に来てもらえればと思います!
それでは、「寄席の楽しみ方 初級編」1つめは・・・
お気に入りの演芸場を見つけてみよう!
都内には演芸場がたくさんあるけれど、規模は様々。鈴本演芸場(上野)、浅草演芸ホール(浅草)、新宿末廣亭(新宿)、池袋演芸場(池袋)の4か所では、基本的に毎日寄席が楽しめるんです。そのうえ、チケットは当日券のみの販売で自由席だから、思い立った時にふらっと行けるのも魅力の1つ。価格も、大人1名で3,000円くらいのところが多く、お手軽です。
それぞれの寄席の特徴は・・・
【鈴本演芸場】映画館のような空間で、ゆったりと落ち着いて楽しめる。キャパシティは280人ほど。
【浅草演芸ホール】THE観光地の土地ならではの客引き。従業員の方が常に声掛けをしてくれているため、躊躇なく1番入りやすいかも…!キャパシティ340人ほど。初めてなら特にここがオススメです。
【新宿末廣亭】木造建築の寄席としては、都内で1番古い建物。内装のレトロ感など、昔ながらの雰囲気を満喫できる。キャパシティは313人ほど
【池袋演芸場】地下にあってディープな雰囲気。キャパシティは93人ほど。この中では1番小さいが、舞台までの距離が近いため、近距離で楽しみたい人にはオススメ
とのこと。
行き先が決まったら次は座席選び!
初めて行くのに自由席だと言われると、何だかドキドキ…。
つる子さんが個人的にオススメしているという座席は、演者さんが出てくる舞台袖の対角線上に座ることなんだそう。演者さんが登場する前の師匠方がワチャワチャとしている様子をのぞき見できちゃうんだとか。寄席によって演者さんが出てくる袖の位置が変わるため、「こっちじゃなかった!」という際には、演者さんの入れ替わりのタイミングで同時に席の移動もOKです!
その他にも、新宿末廣亭に行くなら、他のホールにはない桟敷席(畳の席)があるので、雰囲気を満喫するにはピッタリ。混み具合にもよりますが「桟敷に座りたい」と伝えれば基本的には座ることができるそうです。
自由席とは言うけれど、そもそもチケットが売り切れてしまうことはないの?
番組によって、売り切れてしまうこともあるけれど、ほとんどないんだとか。札止めになった際には、各寄席のSNSなどでお知らせしてくれていたりもするので、チェックしてみてください!
※「番組」とは寄席の出演者の順番などのタイムテーブルのこと
※チケットが売り切れることを「め」と言う。
それでは、「寄席の楽しみ方 初級編」2つめは・・・
途中入場や飲食もOK!リラックスして楽しんで!
そもそも寄席には、昼席(昼の部)と夜席(夜の部)で分かれている構成と、昼から夜までずっとつながっている構成の興行があります。だいたい昼は午前11時半くらいから、夜は午後8時半くらいまでです。浅草と新宿は大体の興行で、一度チケットを購入すれば昼から夜までずっと居続けられるんだとか。つまり、最大およそ9時間楽しめる…!
だからこそ途中入場もOKなんです。もう始まっている時間だけど、今から行きたいな…なんていうのもありです!
逆に、途中で席を外すのも問題なし!ただ、建物の外に出てしまうと再入場はできないため、要注意。演者の入れ替わりのタイミングでトイレに行ったり、ちょっと広間で休憩…といったこともできます。
でも、そんなに長時間居たらお腹が空いちゃうのでは…?と心配になりますよね。
寄席では飲食もOKです。
落語を観ながらおにぎりやパン、お菓子を食べていてもよし!ホールによっては飲酒ができる場合もあるのだそう。そんな寄席のゆるさも魅力の一つ。ちなみに、お酒以外の飲食物は基本的には持ち込みOKです!(お酒は売店内での購入に限る場合が多いのだそう)ホール内の売店でお菓子などを買うこともできる。
こんなに自由となると、逆に守ってほしいマナーは?
携帯・スマートフォンなどの音のなる機器はオフに。それ以外は、たくさん声を出して笑ったり、拍手をしてほしいとつる子さん。服装も、ドレスコードなどのルールはなく、極端にいえば寝起きで来てもいいくらい!
それでは、「寄席の楽しみ方 初級編」3つめは・・・
ノー勉強で来てもOK!着いたらまずは番組をチェック!
…とは言いましたが、ホールについたらチェックしてみてほしいことがあります!中に入る前に外に出ている番組を見てください。落語家の名前は黒字で書いているのに対して、傘回しなどの曲芸や、ギター漫談、手品などの方の名前は赤字で書かれています。だからこそ、落語家以外の方のことを「いろもの」というのだそう。そのほか、外に出ているのぼりに書いているお名前が、その日のトリを務める方なんです。
それ以外は、事前の勉強なしで楽しめます。
落語家さんも、その日その場で披露するネタを決めていのだそう。自分の前の出番の人のネタ一覧や客席の雰囲気を見て、恋愛ものはもう出ているから避けよう…とか、演者さんもその日のバランスを見て披露するネタを決めるため、ノー勉強でOK!言葉もわかりやすいものが多いと思うので、楽しめるかと思います。
逆に「あの言葉がわからなかったな…」とか「あの人気になる!」という方がいたら、調べてみたり、また寄席に来てください!
演者さんの登場順はどんな流れで登場するの?
1番初めは、プログラムにも載っていないまだ勉強段階の「前座」が登場。次に、真打(しっかりと実力があるとされる人)の手前のひとり立ちしてすぐくらいの「二ツ目」。その後から登場する落語家は真打が登場します。落語が3組続いたら、間に「いろもの」が入る構成なので、最後まで飽きない構成になっています。演者さんは一丸となって、トリがピークになるように盛り上げていくので、その雰囲気も楽しんでみてほしいです!
番組の構成は毎日変わるんですか?
つる子さんが所属している「落語協会」の興行は10日間ごとに変わります。月の1日~10日までを「上席」、11日~20日までを「中席」、21日~30日までを「下席」と呼んで、1ヶ月で3回内容が変わるんです。ほかにも「落語芸術協会」の興行は5日間ごとに変わります。「落語協会」と「落語芸術協会」では雰囲気も変わってくるので、回数を重ねていくなかで、自分の好みを探ってみてください!
ということで、初めての寄席にドキドキ…という方も、これで明日すぐにでも行けるはず!ぜひ、足を運んでみてください。
林家つる子さん(落語家)
・群馬県高崎市のご出身。
・師匠は九代林家正蔵師匠。去年の春、落語界の女性では初となる、先輩12人を追い越しての抜擢真打昇進を果たしました。
・古典落語の名作「芝浜」など、男性が主人公であることが多い落語で、脇役であるおかみさんを主人公として落語を書き直すという新しい挑戦が注目されています。
(TBSラジオ『ジェーン・スー 生活は踊る』より抜粋)