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釣りをしながら夏休み自由研究のススメ:近所の川を徹底調査したら市から特別表彰された

TSURINEWS

カブトムシ(提供:TSURINEWSライター荻野祐樹)

筆者は子供の頃から生物が大好きで、僅かな時間があれば網や竿を持って出かけていた。そんな経験が最大限に活き、表彰までしてもらったのが、小学6年生の頃の自由研究だ。今回は、夏休みの自由研究テーマに悩む小学生や、その親御様に向けて、私の自由研究の経験と内容を紹介していきたい。

テーマは「近所の川の生物完全網羅」

夏休み直前。担任の先生から、「自由研究は、1人ではなく友達と合作でもOKだぞ」との話が出たので、筆者は早速親友に「一緒にやろう」と声をかけ、内容を相談した。その結果、「通っている川の生き物を調べて図鑑にしたら面白いのでは?どうせやるなら徹底的にやろうぜ!」という事になった。

手段を考える

近所の川は変化に富んでおり、魚が多数生息しているだけでなく、昆虫や鳥類も豊富。そこで筆者と親友は、(1)虫は捕虫網で捕獲。(2)釣りで釣れる魚は全て釣る(これが一番楽しみだった)。(3)小型魚はビンドウを使用するか、網で直接捕獲。(4)河原の土手はスコップで掘ってみる……と言うように、予め手段を決めておいた。鳥に関しては当然捕獲や撮影が不可能なので、文章とイラストで対応することにした。

模造紙が便利

当時の我々は小学生。当たり前だが、製本技術など当然持ち合わせていない。そこで目を付けたのが模造紙だ。

図鑑をイメージ……したかった(提供:TSURINEWSライター荻野祐樹)

ここに二人で絵を描いたり、生態を直接記入することにしたのだ。また、インスタントカメラで撮影した写真を貼ったり、標本をラップに包んで張り付けたりすれば、さらに図鑑のようになる!と考えた。

難易度が高かった点

当時の我々が週5で通っていた川周辺は多種多様な生物が生息していた。どんな生き物がいるかはほぼ完璧に把握していたのだが、その分夏休み期間中に「全ての生物を捕獲・確認できるのだろうか?」という事が最大の懸念点だった。残念ながら、これは後に的中してしまう。

多様過ぎるのも問題?(提供:TSURINEWSライター荻野祐樹)

熱中症に注意

この企画は、夏休みの炎天下に釣りや昆虫採集をすることになるので、帽子着用や水分補給などに気を付けていた。また当時は最高気温が32~33度程度で、熱い時間は日陰で釣りや昆虫採集ができる場所を選んでいた。だが2024年現在は、当時よりもはるかに暑い。もし同じテーマをやってみよう!という場合は、くれぐれも熱中症に注意してほしい。

実際に採集・作成開始!

夏休み初日から早速川へ赴き、生物採集を開始した筆者たち。とにかくたくさんの生物を確認する必要があったので、捕虫網・竿・ガサダモをロッドケースに入れて背負い、インスタントカメラ・メモ帳・プラケース・虫かごを自転車のカゴに乗せるスタイルで奔走した。

昆虫を捕獲!

木に止まっているセミは、実に簡単に捕獲出来た。飛んでくるギンヤンマやオニヤンマといったトンボ類・蝶類に関しては、動体視力がズバ抜けていた親友が大活躍。

小学生には難しかったギンヤンマ(提供:TSURINEWSライター荻野祐樹)

撮った生物は順に筆者が撮影し、一部の昆虫は親友が標本に……という形で手分けして作業を行った。この時特に捕獲が大変だったのは、生息数が圧倒的に少なかったミンミンゼミとモンキアゲハ。発見してしまった以上、スルーなど我々にはありえなかったのだ。

ミンミンも今なら簡単……!(提供:TSURINEWSライター荻野祐樹)

最終的に、ミンミンゼミは筆者が偶然出会って幸運にも捕獲し、モンキアゲハは親友が別の場所で捕獲してきてくれ、その事実もそのまま記載することにした。

中・大型魚を釣る!

小学4年生から釣りを始め、既に仕掛けやワームを自作するウデを持っていた筆者と親友にとって、釣りは大の得意分野。ブラックバスやブルーギル・ギンブナ・オイカワ・カワムツ・ナマズ・コイ・ニゴイ等、生息数が多く見えている魚達は簡単に釣れたので、ここまでは実に順調だった。

当時探し求めたウグイ(提供:TSURINEWSライター荻野祐樹)

だが、雨後の増水時だけ釣れるギギは雨が降るのを辛抱強く待つ必要があったし、個体数が圧倒的に少ないウグイやカガミゴイは自分たちが行けるギリギリの範囲まで自転車を走らせて探すなど、大変苦労した記憶がある。最終的にウグイとウナギの2種は期間内に釣れてくれず、その事実を記載するのが大変悔しかったのを今でもよく覚えている。

ガサガサとビンドウで小型魚を!

タイリクバラタナゴやカワヨシノボリといった小型魚はガサガサで捕獲した他、モツゴやメダカ等はビンドウで捕獲。同時に、ミズカマキリやトンボ類のヤゴ、タイコウチやコオイムシといった水生昆虫も網に入り、実に楽しい採集となった。

今となっては貴重なメダカ(提供:TSURINEWSライター荻野祐樹)

トラブルもあった

一見順調に見える活動だが、勿論トラブルはつきものだ。ガサガサに夢中になっていた筆者は川底の石に滑って転倒、履いていたサンダルの片方が脱げてしまい、あっという間に流されてしまった。

80cmクラスの鯉(提供:TSURINEWSライター荻野祐樹)

また、63cmの大鯰を釣った際は、目測を誤った結果、取り込み時に愛用の2.4mのボート竿をへし折られてしまったりもした。さらに、取り込みやすい40cm程度の鯉を狙っていたらまさかの80cmクラスが掛かり、5号のラインをブチ切られてしまったのも、今ではいい思い出だ。

ちなみに冬休み開けにメータークラスを釣ってリベンジを達成したり、大学生になってから再度親友とその場所を訪れ、改めて鯉を釣ったりもした。

模造紙に作成していく

捕獲・採集は実に楽しかったのだが、この研究はここからが本番。部屋に籠って行うこの作業が実に大変だった。

模造紙に絵を描いていく

まずは川の見取り図や鳥の絵、捕獲道具などを描いていくわけだが、あいにく二人とも絵があまり得意ではなかったため、お互いの姉にアドバイスを貰いながら、それぞれ自分の担当を記入していった。文章を書くのは二人とも得意だったのだが、思いが強すぎたのか、文章が長くなりすぎないように纏めるのが大変だった。

写真がイマイチだった

当時はまだまだインスタントカメラが主流の時代。そんなカメラにはズーム機能など皆無だ。さらに、40枚程度という枚数制限まである。出来るだけ無駄にしないよう慎重に撮影したはずが、よく判らない写真が多数出てしまったのはご愛敬。

当時スマホがあったなら……!(提供:TSURINEWSライター荻野祐樹)

また、自宅でセミを撮影しようとして失敗、セミが部屋の中を飛び回って家族に怒られる……なんて事もあったが、今ではいい思い出だ。

時間が無い!

採集に夏休みの1/3程度を費やしてしまったため、実際に模造紙に書き始めたのはお盆を過ぎてから。とにかく時間が足りず、最後まで書き上げるのに大変苦労した。最後の方は正直、辛くて半泣き状態だった……。

展示されて表彰された

こうして苦労して作り上げた作品は、学校で一躍話題となった。その後、博物館で展示してもらう事が決まったので、その流れも書いていこうと思う。

完成は登校初日の朝

夏休み最終日の朝、モンキアゲハの標本を貼る予定の空間だけがポッカリ空白状態。だが、家族と出かける予定だった親友から電話があり、「絶対に採ってくる、明日学校で!」と約束してくれた。こうして迎えた夏休み明け初日の朝、ドキドキしながら学校へ向かうと、一足早く着いていた親友の手にはモンキアゲハの標本が!!前日、見事捕獲して標本にし、約束通り持ってきてくれたのだ。本当にギリギリだったが、授業の前に急いで作業を行い、見事に完成を迎えた。

体育館で展示されて話題に

筆者の通う小学校では、夏休み明け初日に体育館へと向かい、夏休みの自由研究を提出。その後数日間展示するという決まりがあった。筆者たちの作品も展示された結果、あまりの大作に人だかりができたのだ。これが大変嬉しかったのを今でハッキリと覚えている。

学校から博物館へ

作品の出来の良さと、この人だかりを目撃した先生方の計らいで、急遽博物館の関係者へ連絡が行ったのだが、とんとん拍子に話が進み、週末には博物館での展示が決まった。その後、市から特別表彰を受け取ることになった。正直後半は二人で半泣きになりながら必死に完成させたのだが、全てが報われた瞬間だ。

自由研究は楽しみながら!

当時の筆者の夢は魚類生態学者。それだけに、この自由研究の内容は自分自身の夢とリンクしており、捕獲・観察・模造紙への作成を含めて、本当に良い経験になったと感じている。

ただ、二人揃ってこだわりが強すぎたために、完成が超絶ギリギリになってしまったので、大人になった今はある程度の所で妥協することも必要だったな……と感じている。これから夏休みの自由研究に挑む小学生のみんな、そして保護者の方も、是非頑張ってみてほしい。

<荻野祐樹/TSURINEWSライター>

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