キャラクター同士の恋愛模様を振り返り!「良い意味で王道。見ていてキュンとしますし、清々しい気持ちで楽しめる作品」──『悪役令嬢は隣国の王太子に溺愛される』ティアラローズ役・渕上舞さん&アクアスティード役・梅原裕一郎さん対談インタビュー【連載第9回】
2026年1月11日(日)より放送されたTVアニメ『悪役令嬢は隣国の王太子に溺愛される』(あくでき)。ぷにちゃん先生による同タイトルの小説作品を原作とした、王道溺愛系“悪役令嬢”ストーリーです。
アニメイトタイムズではキャストインタビューを連載中。最終回となる第9回は、ティアラローズ役・渕上舞さん&アクアスティード役・梅原裕一郎さんが登場。
最終回を迎えた本作のこれまでの物語を改めて振り返っていただきながら、特に印象に残っているシーンやお芝居、和気あいあいとしていたアフレコ現場についてトーク! アニメならではの注目ポイントなども伺いました。
【写真】『あくでき』渕上舞&梅原裕一郎インタビュー|声優インタビュー連載第9回
キャラクター同士の恋愛模様について振り返る!
──本日は最終話のアフレコが行われましたが、収録を終えた今の心境をお聞かせください。
ティアラローズ役・渕上舞さん(以下、渕上):どうでしたか?
アクアスティード役・梅原裕一郎さん(以下、梅原):あっという間でしたね。ドラマCDから始まり、ゲームでもひと通り演じてはいるので、大体の流れは知っている中、また再び演じるという形ではありましたが、この作品で掛け合うのは初めてだったので本当に楽しかったです。
渕上:ティアラに関しては、最初は通常のセリフに加えて、場面説明やキャラクターの説明、一人で淡々と心情を語る場面もありました。それだけではなく、他のキャラクターとの絡みも多いんですよね。
尺に収まりきらないものを収めなければいけないぐらいの文量があって、(しゃべりが)少し早めな印象もありましたね。そういう部分はちょっと不慣れなところでもあったので、自分の中で「うわ、これは大変だぞ」という気持ちもありつつ……。
でも、回数を重ねて作品の空気感に馴染めましたし、大変だと思う機会も少なくなりました。それは1人でチェックしている段階でもすごく感じましたね。
梅原:テンポが身についていきますよね。
渕上:うんうん。アドリブというか、息遣いが多いので、「こういう時は入れるんだな」「ここは入れないんだな」というのも、最終回に向けてどんどん馴染んでいったので、最終話が一番スムーズだった印象ですね。
梅原:確かに、今日のアフレコはスムーズでしたよね。
──今日収録された最終話について、物語の終わり方やストーリー全体の感想はいかがでしょうか。
渕上:綺麗にまとまりましたよね(笑)。
梅原:本当に綺麗に(笑)。こんなに綺麗にまとまることがあるんだというくらい、1クールできっちり大団円という感じでした。
王道的な流れと言いますか、「悪役令嬢もの」としてのまとまり方がすごく綺麗だなという印象があります。
渕上:キャラクターが比較的多い作品なので、台本をいただく前は原作のお話をどこまでやるのかなと気になっていました。台本を見たら表紙にキャラクターのイラストが載っていて、「アイシラもいるからそこまではいくんだろうな」と、なんとなく予想を立てた覚えがあります。
ただ、ちょっと不安だったのは、詰め込みすぎて展開が駆け足になり、視聴者の皆さんが置いていかれてしまうような作品にならないかなと。そんな不安をよそに、本当にうまい具合にそこまで駆け足になることもなく、キャラクター一人ひとりの個性が際立っていて、気持ちのいいエンディングになっている。本当にすごくまとまっています。
──第12話というと男性の姿になったクレイルとティアラローズの会話にパールが嫉妬するシーンも印象的でした。クレイルとパールの恋愛模様についてはどう思われていましたか?
梅原:すごく古典的というか、人間と人間ではない存在との恋愛から始まり、パールの心の傷のようなものも描かれていて、「ファンタジーの世界だな」と感じますね。
渕上:でも今日、改めて思ったんですけど、パール様が元々は人間の男性と恋に落ちたけれど叶わなくて、名前をつけて残す、というエピソードは……ちょっと最低じゃない?って(笑)。
梅原:それはそうですね(笑)。
渕上:「君とは一緒にはなれないけど、俺らの子供に君の名前をつけるよ」みたいな話でしょう?! すごい嫌なんだけど!
一同:(笑)。
渕上:もちろん捉え方は人それぞれですし、女性と男性でも受け取り方が違うかもしれないですし。ただ、パール様がトラウマになるのは確かですし、女性には共感を得られるキャラクターなんじゃないかな?なんて思うキャラクターです。
ともすれば、パール様だけがつんけんしているように見えたり、ティアラのことを嫌いだと言っていたりして、嫌われてしまいそうな一面もあるキャラクターではあるんですが、最終話まで見てキャラクターの生い立ちを知ると、ある意味“愛すべきキャラクター”にちゃんと収まっている。嫌なキャラクターが1人もいない、どのキャラクターも愛すべきキャラクターとして立っていて素晴らしいと思いました。
──キャラクターでいうと、アイシラ役の山田麻莉奈さんやアカリ役の花守ゆみりさんにインタビューさせていただいた際にアイシラは女性目線で共感しやすいという話題が上がったのですが、男性目線でアイシラはどのように映りますか?
渕上:男性はアイシラちゃんみたいな子が好きなんじゃないの〜?
梅原:いや……(苦笑)。これは本当に個人的な意見なんですけど、ああいう人が一番怖いなと思います(笑)。
実際にもですが、一線を越えてしまう感じはあるあるだなと思っていて。もちろん、アイシラが好きな方もたくさんいらっしゃると思いますが、僕はちょっと近づきたくないタイプですね。絶妙な自己肯定感の低さと危うさを、山田さんがすごくいい塩梅で演じていらっしゃって。。「危うさ」を感じるのが面白いなと思っていました。
渕上:やっぱり、守りたくなる存在ではあると思うので、惹かれてしまう男性も多いのではないかなと。でも、根はすごくいい子なんですよね。
梅原:そうそう(頷く)。純粋すぎるからこそだと思います。
──女性キャストの皆さんには「攻略したいキャラクターを一人あげるとしたら」という質問もさせていただきました。そこで、梅原さんがもし女性キャラクターの中で攻略キャラを選ぶとしたら?
梅原:やっぱりティアラですかね。芯がすごく強いですし、いろんな問題が起きても動じない。むしろ問題が起きれば起きるほど強くなっていくところは、異性としてというより、普通に人間として尊敬できます。そういう意味で、ティアラが一番いいかなと思います。
渕上:確かに。フィリーネもまだ深掘りはされていないですけど、しっかりしていて打たれ強そうですよね。
全12話の中から選ぶ印象的なシーンは?
──これまでの12話を振り返って、ご自身が演じられたキャラクターの印象的なシーンや台詞、またお互いのキャラクターの好きなシーンや台詞を教えてください。
梅原:自分の役で言うと、惚れ薬の影響で気持ちが揺らいでいる自分にナイフを刺すシーンですね。「さすがアクアだな」と思いました。面白い場面ではないんですけれど、面白かったです……(笑)。
──行動にすごくインパクトがありました(笑)。
梅原:そうなんですよね(笑)。
渕上:私も外で音声を聴いていて、すごく素敵なシーンだなと思いました。ティアラが普段あまりないぐらい声を荒げて、「あなたのことが好きだ」と想いをぶつける場面もティアラの強さが見えるし、アクアに対する一途な愛情もしっかり表現されているシーンですごく胸を打たれました。
ですが、アクア様の最初の方の「鍛えているから大丈夫」という台詞が忘れられなくて(笑)。
梅原:鍛えているから……。
渕上:そんな馬鹿な……(笑)。
一同:(爆笑)。
渕上:でも、それだけ嘘のないまっすぐな想い。アクア様は本当に信頼に値する存在だということを最初から見せつけているということなんだなと、最終回までを振り返ると感じますね。
──アクアのシーンがあがりましたが、ティアラの好きなシーンはどうですか?
梅原:キースとアクアが一悶着あって、バトル的な展開になった時にちょうど綺麗に穴に入っていくティアラ。
渕上:あああ〜!ってね(笑)。
梅原:そして落ちながらも、またアクアと二人でいちゃいちゃしているんですよね(笑)。ああいうところとか、ティアラもティアラで面白い要素を持っている部分がありますし、全体としてはいわゆるSDキャラ的な描写というか、ちょっとデフォルメされた姿で少しコメディタッチになるところの演じ方も面白いです。特に語尾が面白いなと第1話から感じていたので、そこは皆さんにも楽しんでいただけるんじゃないかなと思います。
渕上:アニメならではですものね。
梅原:そうですね。ティアラの本来の感情というか、素の部分が出ているので良いですね。
渕上:キースとアクアの対決にティアラが割って入るシーンは、当時のアフレコブースでもかなり盛り上がりました(笑)。
──キースのほかにもキャラクターで印象的だったシーンがあれば教えてください。
渕上:それはもう、エリオットじゃないですか!
梅原:エリオットですね。
渕上:ティアラがキースに攫われたというかキースのところに行っていて、アクア様とエリオットが二人でティアラを探しに森の道をかき分けながら進んでいくのですが、エリオットが従者として使えるのか使えないのかみたいな動きをして。
梅原:いつの間にかいなくなってしまって(笑)。従者なのにあまり使えない、みたいなところがあったり、「アイシラが作ったものと、どらちのケーキが美味しいですか?」なんていらない一言を言ったり。そういうところも含めて愛すべきキャラクターなんですよね。
でも、エリオットの話がないと物語が進んでいかない部分もあるので、どのキャラクターもきちんと役割があるんだなって。
渕上:キーになる台詞を落としていってくれるんですよね。
──視聴者の方に「ここはぜひ注目ほしい」というポイントがあれば教えてください。
渕上:物語の主軸からは少し外れてしまうかもしれませんが、ティアラはお菓子作りが好きで、甘いものが好き、という設定があります。
お菓子作りのシーンがあるのですが、キースのところに行った際に、広い厨房が用意されていて、現実世界とは異なる「これはお砂糖?」「これはお塩?」みたいな、「調味料に使えるかも!」みたいなシーンがあって、それがこの世界独特の設定だなと思いました。
収録時点ではまだ色がついていなかったので、どういう映像になっているんだろうというのは個人的にとても楽しみにしていたポイントです。お菓子もきっと美味しく、可愛く描かれると思うので、ストーリーだけでなく、そういったビジュアル面も含めて楽しんでいただきたいですね。
──梅原さんはいかがですか?
梅原:アカリはなかなか面白いキャラクターですよね。最初は本当に嫌なやつというか、いわゆるティアラのライバルキャラのような立ち位置で登場しますが、最終的にはすっかりお馴染みの存在になっていて、親友のような関係になっている。
少しメタ的なキャラクターでもあるので、そういう部分も物語の中で面白いですし、最終話で久しぶりにアカリが登場したときは懐かしい気持ちにもなりました。アカリはアカリで、この世界をめちゃくちゃ楽しんでいるのが伝わってくるので、そこにも注目してほしいですね。
──アカリといえば、第4話まではティアラといろいろありました。アカリ役・花守さんのインタビューでも「最後に手紙を送るなんて普通はしないですよね」というようにおっしゃっていたのですが、ティアラ的にアカリの印象はいかがでしたか?
渕上:やっぱり最初は、自分に攻撃してくるキャラクターでもありますし、「可愛い」「好き」といったポジティブな印象では見られないなという印象ではありましたね。
でも、お話が進むにつれて味方になっていきますし、ライバルではあったけれど今では良き友人のような存在になっている。自分のことをあけすけに話してくれたりするように変わっていってからは、アカリがいることで心強い、頼もしいキャラクターだなと思えるようになりました。今では、すごく好きなキャラクターの一人です。
良い意味で“王道”で、清々しい気持ちで楽しめる作品
──それではタラレバで、今後もし描かれるとしたら見てみたいアクアとティアラのシーン、あるいは他のキャラクターのシーンはありますか?
渕上:この世界観からは少し離れてしまうんですけれど、『あくでき』はティアラが現代から転生してこの世界で生きているじゃないですか。なので逆に、アクア様が現代社会に転生したらどうなるのか、というのを見てみたいです(笑)。
現代でティアラ……とはまた違う名前かもしれませんが、“ティアラのような存在”と出会ったら、どういう生活をして、どういう行動をするのか。このファンタジー世界とは違って魔法も馬車もありませんし、風の魔法も使えないですし(笑)。そういう中でのアクア様を、ちょっと見てみたいなと思います。
梅原:それ面白いですね。
渕上:名前は「水野さん」みたいな感じで(笑)。
梅原:水野さんとして(笑)。
僕はお話に出てきた“惚れ薬”を、もしティアラが飲んでしまって、違う人を好きになってしまったらアクアは一体どうなるのかなと。キースとかに行っちゃったらとんでもないことになるんだろうな。
渕上:いや、キースだと面白くないからエリオットで!
梅原:ここに来て、エリオット(笑)。心が乱れたアクア様をみたいですね。
──今だから話せる裏話や、収録時のエピソードがあれば教えてください。
梅原:あるシーンで結構重要な愛の告白の台詞があったんです。プロポーズというか、結婚式の一番重要なところでしたが、僕が噛んでしまって。
アフレコって、基本的にはミスをしても止めずに進めることが多いんです。自分がミスしたと思っても、ほかの方の邪魔にならないように続けるのがベースなんですけど、その時も「あっ」と思いつつ続けようとしたら、さすがに「ストップ!」と(笑)。重要な台詞だったので、「やり直しましょう」となりました。
集中していなかったわけではないんですが、それすら笑えるくらい、和気あいあいとした空気の現場だったなと思います。
渕上:穏やかでしたよね。はしゃぎすぎず、ピリピリもしすぎず。
私は大きなエピソードというよりは、スタジオの温度調節が難しかったことですね。収録が秋頃で、暑かったり寒かったり、人の多さで空調がうまくいかなかったり。「エアコンが壊れた?」なんて話もありましたけど、実際は壊れていなくて(笑)。
そんな些細なことでも笑い合える、自由で穏やかな現場だったなと思います。大きく盛り上がるというよりは、「エリオット、ここおかしいよね」と軽く笑い合ったり、それぞれが他愛もない話をしていたり。本当に心地よい空間でした。
──改めて、ご自身が演じるキャラクターの魅力、そして作品の魅力を教えてください。
渕上:ティアラローズは物語のヒロインとしてお話を引っ張っていく存在ですが、ヒロインでありながら前に出すぎないところが魅力だなと思います。アクア様やキースといった魅力的な男性陣を、より魅力的に見せる立ち回りができているんですよね。
それでいて、女性から見ても嫌な印象を与えない。愛されつつも芯が強く、ブレない女性なので、いろいろな男性に言い寄られるような状況でも、嫉妬の対象になりにくいキャラクターになっているのかなと思います。華やかでありながら一歩引き、芯の強さを持つ女性であること。それがティアラの大きな魅力だと思います。
梅原:アクアは本当に純粋ですよね。純粋ゆえに盲信的な部分もあって。恋愛ものでは日常会話は少し抑えて、ここぞという時に甘くする、という演じ方を意識することもあるのですが、この作品ではアクアが常にティアラに対して甘い台詞を言っているので、遠慮せずにとことん甘くいこうと意識しました。そこが作品の魅力のひとつだと思います。
全体としても、とてもストレートなキャラクター造形で、いい意味で王道。見ていてキュンとしますし、清々しい気持ちで楽しめる作品です。
渕上:二人のまっすぐさが、作品全体の雰囲気を作っているのかなと思います。いちゃいちゃぶりも含めて、安心して見られるんですよね。
もちろん物語としてトラブルはありますが、この二人が決定的にすれ違ってしまうことはきっとない。ハッピーエンドに向かうだろうという安心感のもとで見られる。ハラハラドキドキを楽しむ作品も素敵ですが、結末を信じながら安心して見られる部分も魅力のひとつだと思います。
──たくさんのお話しありがとうございました! 最後に、最終話をご覧になった皆さまへメッセージをお願いします。
渕上:ティアラとアクアの結末を見届けていただき、本当にありがとうございました。きっと皆さんも、こうなるだろうと予想はしていたと思いますが、それでも二人がさまざまなトラブルを乗り越え、さらに愛を深めていく姿を楽しんでいただけたら嬉しいです。
原作はまだまだ続きがありますので、これからも『悪役令嬢は隣国の王太子に溺愛される』の世界を楽しんでいただけたら幸いです。アニメをご覧いただき、本当にありがとうございました!
梅原:最終話までご覧いただき、ありがとうございました。この作品に関わらせていただいてから長い年月が経ちましたが、こうしてアニメとして皆さまにお届けできたことを本当に嬉しく思っています。
アニメで初めて触れた方は、ぜひ原作も読んでいただきたいですし、ゲームもありますので、主人公になったつもりで楽しんでいただけたらと思います。何度見ても楽しい作品ですし、お友達と一緒にツッコミながら見るのもまた面白いと思います。ぜひ何度でも、この世界を楽しんでください。
[取材・文/笹本千尋]