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スマホやテレビに頼らない! 雨の日の「おうち時間」が充実する絵本ギフト3選[絵本専門店の書店員が選出]

コクリコ

スマホやテレビに頼らない! 雨の日の「おうち時間」が充実する絵本ギフト3選[絵本専門店の書店員が選出]

絵本は、子どもへの贈りものに最適なアイテム。とはいえ、ぴったりな1冊を選ぶのは、なかなか難しいもの。連載【子どもの本のプロが選ぶギフト絵本】では、絵本の専門家が、プレゼントにふさわしい絵本をセレクトします。第19回は、子どもの本専門店「ブックハウスカフェ」店長の茅野由紀(ちの・ゆき)さんが、「雨の日が楽しくなる」おすすめの絵本をご紹介。

【画像を見る➡】パリ在住の著者が描く、ふしぎでうつくしいファンタジー絵本

傘に導かれるファンタジーの世界

「雨で外に遊びに行けない……」と退屈そうにしている子どもを見て、困った経験はありませんか? 体力を持て余す子どもと家でどう過ごすか、雨が続く時期は親にとっても悩ましいもの。

でも、そんなときこそ絵本の出番! 太陽を待ちわびながら、雨の日を楽しく過ごせるような3冊を選んでみました。

最初にご紹介するのは、『ふしぎなかさやさん』(講談社)。作者はファンタジーの名手、絵本作家のたなか鮎子さんです。

たなかさんの作品は、唯一無二の洗練された世界観が魅力。かわいらしいだけでない、どこか謎めいた不思議な空気感が、絵本の中いっぱいに広がっています。

『ふしぎなかさやさん』(作:たなか鮎子/講談社)

ある日、主人公のレミが遊びに出かけようとすると、雨が降り出しました。急に強くなる雨。傘を持たずに家を飛び出したレミは、大声で言いました。

「もう! あめなんて、だいきらいだ」

すると、お店の奥から声が聞こえてきます。

「あめ、おきらいですか?」
「それなら、かさを おひとつ いかがです?」

レミがお店の中に入ると、そこは色とりどりの傘が並んだ傘屋さん。不思議な声の主は、なんと1匹の黒ネコでした。驚くレミに、ネコは鮮やかな緑色の傘を差し出します。

「こちらの しんさくは いかがですか? きっと あめが すきに なりますよ」

言われるがままにその傘を開くと、レミは、緑のしずくが飛び散る、深い森の中に入り込んでいたのです。

傘に導かれるようにして始まるレミの大冒険。現実から異世界に入り込んでいく展開が見事で、どのページも躍動感があり、その美しさに目を奪われます。

この作品の絵を色で例えるなら、レインボーカラー。カラフルなのに、しっとりと落ち着いた色使いで、銅版画家でもあるたなかさんならではの表現が魅力です。

ミュージカルや映画にもなった児童文学の傑作『メアリー・ポピンズ』にも傘が登場しますが、傘にはどこか“魔法”につながるイメージがありますよね。雨の日に「こんなことが起きたらいいな」と、想像をふくらませながら読んでいただきたい一冊です。

*読み聞かせ 3さいくらいから
*ひとり読み 5・6さいくらいから

雨の日におつかいを頼まれたら……

次にご紹介するのは、絵本作家・さとうわきこさんの大ベストセラー絵本『おつかい』(福音館書店)。1974年にペーパーバック(カバーがないソフトカバーの本)版が刊行されてから、50年以上も愛され続けている名作です。

私は子どものころから、この絵本が大好き。自分の子どもにも読み聞かせ、もう何度読んだかわかりません。子どもたちも目をキラキラさせながら読んでいたので、いつの時代も楽しめる一冊なのだと思います。

『おつかい』(作:さとうわきこ/福音館書店)

ある雨の日、女の子はお母さんにおつかいを頼まれました。

「おつかい いってきてちょうだい」
「いやあよ、あめが ふってるんだもの」
「あしが ぬれちゃうんだもの」
「ふくが ぬれちゃうよ」

……などと、女の子はあれこれ言い訳を並べながら、なかなかおつかいに出かけようとしません。ついには「はやく いきなさい!!」と、お母さんに𠮟られてしまいます。

しかし、「おおみずになったら、どうする?」「ボートが ひっくりかえったら?」と、女の子の想像はどんどん膨らんでいきます。

そうしてお供のネコやネズミを巻き込みながら、大騒ぎの末、ようやくおつかいに出かけるのですが──。

最後にはマンガのようなオチが待っていて、思わずクスッと笑ってしまいます。雨が続くと、たしかにゆううつですよね。「わかるよ~」「おつかい、行きたくないよね~」と、女の子に共感しながら親子で楽しんでほしい一冊です。

絵もまた素晴らしく、かわいくて、ちょっと生意気な等身大の女の子をユーモアたっぷりに描いています。

それにしても、絵本にお母さんの顔は一度も描かれていませんが、一体どんな表情をしているのでしょう? 呆れているのか、それとも、優しく見守っているのか。想像をめぐらせながら読むのもおもしろいと思いますよ。

*読み聞かせ 3さいくらいから
*ひとり読み 5さいくらいから

雨の日のしっとりと美しい情景を描く

最後にご紹介するのは、『あめがふるとき ちょうちょうはどこへ』(金の星社)。先ほどご紹介した『おつかい』と同じ、こちらも1974年に日本で発行されたロングセラー絵本です。

絵は、私の大好きな絵本作家のひとり、L・ワイスガード。アメリカの権威ある児童文学賞・コールデコット賞を受賞した『ちいさな島』(童話館出版)をはじめ、数々の名作を残しています。

『あめがふるとき ちょうちょうはどこへ』(文:M・ゲアリック、絵:L・ワイスガード、訳:岡部うた子/金の星社)

「あめ、あめ、あめ、あめ。」
「あめが ふるとき、ちょうちょうは、どこへ いくのかしら。」

情緒豊かな絵と詩のような心地よい言葉で、雨の中の小さな生きものたちの様子を描いた本作。静かで淡々としていて、何か特別な出来事が起こるわけではないのですが、しっとりとした雨の日の情景が思い浮かんできます。

素晴らしいのが、翻訳・岡部うた子さんの綴る美しい言葉。品格があり、現代の日常生活では得られない、すっきりとした日本語を浴びたような爽快感があります。たまにはこうした絵本を読んで、心を洗濯するのもいいですね。

雨が降るとき、チョウはどこへ行くのでしょうか。

その答えは、絵本の中には書かれていません。最後まで疑問は疑問のままなのですが、ひたすら問いかけがあり、読み手はひたすら考えて、味わう。それがこの絵本の醍醐味だと思います。

雨の日、親子で窓辺に並んで、一緒に読むのにおすすめの一冊。「チョウはどこにいるのかな?」「どう思った?」などと、ゆっくり語り合えたら「雨も悪くないな」と思えるのではないでしょうか。

*読み聞かせ 4さいくらいから
*ひとり読み 6さいくらいから

取材・文/星野早百合

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