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【東広島】思いをつなぐ花壇ストーリー 32年続く黒瀬川沿いの花壇、地域住民が継承

東広島デジタル

4月2日撮影。土手に咲き誇る桜並木とともに春らんまん

  東広島市西条町田口の東橋(あずまばし)のたもとから黒瀬川左岸沿いで約32年にわたり地域を彩る約60㍍の花壇。長年、手入れを続けていた門前峰子(もんぜん・みねこ)さんから昨年、地域住民が結成したボランティア団体「東子(あずまこ)に花を育てる会」に引き継がれた。花を通じた笑顔の輪は、世代を超えた交流の場へと広がっている。 (文・山北直子、写真・井川良成)

門前さんから地域住民へバトン 

 門前さんは「殺風景な土手に彩りを」と、近くの川沿いを耕し季節ごとの花々を絶やさず育て、散歩を楽しむ地域住民などの心を癒やしてきた。しかし、昨年、長年活動を支えてくれた夫を亡くし体調不良も重なって、花壇の維持が難しくなった。「もう花を育てるのをやめようかと思う」と、さわやかサロン代表で民生委員の吉岡宗男(よしおか・むねお)さん(71)に話した。吉岡さんは、「こんなにきれいな花壇を絶やしてはいけない」と、同サロンの仲間に声をかけた、という。

「東子(あずまこ)に花を育てる会」結成

 門前さんの思いを受け継いだのは、地域で活動する同サロンの有志14人。同市の「市民協働のまちづくり活動応援補助金」を活用して、ボランティア団体「東子に花を育てる会」(吉岡代表)を2025年5月に発足した。合言葉は、花を通じて誰かを喜ばせ、その喜びがまた自分に返ってくるという「人生は喜ばせごっこ」。アンパンマンの作者、やなせたかし氏の言葉だ。その一節は、花壇の中に掲げられ、訪れる人にやさしく語りかけている。

メンバーは光り輝く高齢者

東子に花を育てる会のメンバー

 東子に花を育てる会のメンバーの多くは80~90代。活動は、1~2カ月に1回、1~2時間程度。無理のない範囲で草取りや苗植えを分担しながら行う。夏場は、川からポンプで水をくみ上げ、冬場はカヤなど根を張る雑草を掘り起こす。決して楽な作業ではないが「自分たちで育てた花がきれいに咲くのが何よりの喜び」と、吉岡さんは笑顔を見せる。

■安全第一で守る地域の花壇

 4月2日に行われた作業には、7人が参加。会話を楽しみながら、和やかに草取りに精を出していた。平均年齢が高いメンバーだけに、安全面にも十分配慮する。作業時には蛍光色のベストを着用し、パラソルで日陰を確保。こまめな休憩や水分補給を徹底する。特に夏場は、熱中症対策を最優先しメンバーの健康を守りながら活動を継続している。昨年12月、市立板城小学校に声をかけ、児童と一緒にパンジーの苗植えを行った。児童らは自分の名前を書いた札を苗のそばに立てて成長を見守るなどメンバーとの交流の輪が広がっている。

■門前さんから花壇を受け継いで1年

 春先の3月、水仙の開花を合図に、チューリップやムスカリ、パンジー、ヤグルマソウなどが次々と顔を出し4月初旬は、土手に咲き誇る桜並木とともに春爛漫だ。 5月になるとリナリア(ヒメキンギョソウ)やフクロナデシコが広がり、花壇は一層にぎやかになる。6月には高さ約1.5㍍のタチアオイが約40㍍にわたって咲き誇り、見応えのある風景が広がる。7月頃には、アラゲハンゴンソウ、9月頃にはセンニチコウ、10月頃にはマリーゴールドなどが秋まで楽しめる。冬場は、寒風の中で雑草の除去や肥料やりなど、次の季節に向け土づくりが続く。

今後は

 花壇を「東子ふるさと花壇」と命名し看板を設置する。情報発信については、すでにYouTube(ユーチューブ)や花壇内の看板に設けた二次元コードを活用しているが、今後は、さらにLINEや同小学校との連携を通じて旬の情報を届け、地域住民が足を運ぶきっかけを作っていく。一方で、メンバーの高齢化による体力負担や夏場の人手の確保が課題となっている。地域に広く協力を呼びかけ、新たな担い手の広がりに期待を寄せる。吉岡さんは「ふるさとの花壇として、みんなの憩いの場になればうれしい」と頬をほころばせる。

プレスネット編集部

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