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サラリーマン“アングラー”釣り五郎がゆく!#14 照りつく太陽の下で大物を狙う真夏の風物詩【マゴチ編】

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サラリーマン“アングラー”釣り五郎がゆく!#14 照りつく太陽の下で大物を狙う真夏の風物詩【マゴチ編】

人数制限を行い、一人ひとりが十分な距離をとることで、密にならない工夫をしている船宿が増えている。そのためアウトドアレジャーとして人気が高まる海釣り。魚種も豊富で、狙うターゲットによって、仕掛けや釣り方が変化する奥深さもリピーターが増える理由となっている。ちょっとした工夫や学びが釣果を大きく左右するのだ。そんなビジネスにも通じる気づきが得られる“釣り”の醍醐味をお届けする連載企画。

~登場人物たち~

うおつり ごろう。あだ名は“釣り五郎”。職場は海川商事。好きな寿司ネタはエンガワ。

ふぐた いっぺい。魚釣五郎の上司。休日は釣り三昧。好きな寿司ネタはヒカリモノ。

ふなやま とうじ。五郎が勝手に“師匠”と命名。神出鬼没のアングラー。好きな寿司ネタは赤貝。

今回のターゲットは【マゴチ】

マゴチ:ワニのようなワイルドな見た目とは裏腹に、非常に美味なため、古くから日本各地で愛されてきた白身の高級魚。内湾や河口付近といった浅海に生息しており、産卵期を迎える夏が旬で、大型の個体は60センチ近くまで成長する。60センチの大物は1尾5000円以上の値がつくことも。

仕掛けはシンプル。細長い形の15号のおもりの先にハリスを付けよう

前回の釣りでは、大きな白子をもつ型の良いショウサイフグを釣り上げた五郎だったが、内心はモヤモヤしていた。せっかく釣りが趣味の女子と出会えたというのに、自分の失態で距離を縮めることができなかったからだ。あっという間に終わってしまった夏の甘酸っぱい思い出を、五郎は何度も反芻していた。どこかうわの空で、仕事にも身が入らなかった。ボーッと、リモートワークで閑散とした職場フロアを眺めていると、課長の姿が見えた。反射的に顔を逸らす五郎。こんな日に限って、出勤してきているなんて…、最悪だ。案の定、満面の笑みを浮かべた課長がゆっくりと近づいてきた。

「あいかわらず覇気がないなぁ、魚釣!さては、また釣れなかったんだろう。隠してもわかるぞ、俺には」

「いやいや、このあいだ大きなショウサイフグを釣りましたよ。白子入りの!」

「じゃあ、なんでそんなに暗い顔をしているんだ!まだ釣り足りないんじゃないのか? “テリゴチ”でもやってこいよ。50センチ超えの大物があがっているらしいぞ。ひとつくらい夏の思い出がないとな、お前も」

高級魚のマゴチを


猛暑の中で狙う通称“照りゴチ”

課長もなかなか痛いところをついてくる。確かに、このままでは大した思い出もなく、夏が過ぎ去ってしまう。“秒”で終わった失恋だけでは悲しすぎるだろう。やはり釣りしか、心を癒してくれるものはないのかもしれない。そこで五郎は、課長が発した“テリゴチ”について調べてみることにした。“テリゴチ(=照りゴチ)”とは、真夏の猛暑の時期に、濁った浅場の海でキスやハゼを捕食しているマゴチを狙う釣りのことだ。マゴチは引きが強いため、手応えがあり、また高級魚で食べても美味しいことから、人気が高いという。運が良ければ50センチを超える大物に出会えるチャンスもあり、釣り人なら、心が踊らないわけがない。

照りゴチについて調べるうちに、釣りの熱が再び高まっていくのを感じた。そうだ、魚との駆け引きや試行錯誤の面白さから、釣りにハマったのだ。彼女を作るのが目的じゃなかったはずだ。そのうち良い子と巡り合えるに違いない。釣りも出会いも縁。よし、挑戦してみるか。五郎は神奈川県・根岸にある濱生丸に予約を入れた。

釣り=早朝とは限らない。


今回は午後船を選択

普段は早朝に出港する船で釣りに出かけるのだが、濱生丸の照りゴチは午後から出る船もある。そこで今回はそちらのプランを選択することにした。リモートワークが増えたことで、プライベートに使える時間が飛躍的に増えた。そのためゲームをしたり、動画配信でドラマを見るなど、夜更かしするのが習慣になってしまったのだ。早朝に出発するのは流石に辛く、午後からの船に乗ってみることにした。その分、日差しが厳しいため、日焼け対策をしっかりしておく必要があるのだが、照りゴチというだけに昼間のほうが釣れるのかもしれない。

濱生丸ではマゴチのエサは、エビかハゼを選択することができる。聞けば、初心者は針にひっかけやすいハゼのほうがオススメだという。また、手作りの仕掛けも販売していたため、今回はそれを使ってみることにした。郷に入れば、郷に従え。初めての釣り場では自己流ではなく、必要なものは極力、現地で調達するのが、間違いないのだ。仕掛けはシンプルなもので、細長い形の15号のおもりの先にハリスを付けるというもの。料金を支払い、停泊する釣り船に向かう。午前から引き続き乗船する釣り人も多く、盛況だ。人気の高さがうかがえる。準備をしながら、出港を待っていると、船長のアナウンスが響いた。

「すぐ着きますから、始められる準備をしておいてくださいね」

浅場での釣りなので、目指すポイントも近いという。船が走り出すと、しばらくして、アシスタントの男性が様子を見に来た。「マゴチは初めてですか?」と聞かれたので、素直に「初めてです!」と答えた。釣ったことがある魚でも釣るポイントや、潮の流れ、魚の活性によっても仕掛けや誘い方が異なる。初めて挑戦するターゲットなら、素直に釣り方を聞いたほうが得策なのだ。自分から教えてくださいと尋ねるのは気が引けるので、これは助かる。

船がポイントに着くと、すぐにさきほどの男性が戻ってきた。

「ハゼは針を下アゴから刺して、上アゴまで貫通させてください。仕掛けが底まで落ちたら、糸ふけを取って、竿が水平にする。そのまま10秒くらい待ったら、また底まで落とす。これを繰り返してください。もし当たりがあったら、竿を立てて、針がしっかりとかかるようにしてくださ…」

説明の最中に、あちこちから「キタ!」という声があがり、一気に船上が活気づく。気づけば、男性もタモを持って、駆けずり回っていた。よし、俺も。五郎は期待に胸を膨らませ、釣りに集中し始めた。

あたりを感じたら


竿を立てて合わせる

水深が浅いため、すぐにおもりが着底する。それを確認し、糸のたるみを巻き取る。そして、竿を水平にする。マゴチは海底にへばりつき、エサがくるのをじっと待っているため、常に仕掛けを海底近くに漂わせておくことが大切なのだ。五郎はこれまでの経験で棚(深さ)を間違えると、釣れないことを知っていた。そのため、愚直に言われたことを守りながら、当たりを待つが、なかなかチャンスが訪れなかった。

ときどき竿から伝わる違和感のようなものを察知するが、気のせいなのか、糸を巻いても何もかかっていない。何が正解かわからぬまま、今回も時間だけが過ぎていく。その間も続々と船上にマゴチがあがり、大漁のムードが漂っていた。ひとり取り残された五郎の焦りは尋常ではなかった。もう一度、釣り方を確認したいが、男性はあいかわらずタモを片手に忙しそうだ。

仕方がない。もう少し、このまま続けよう。ただ、五郎はひとつアレンジを加えることにした。手元に違和感を感じたら、勢いよく竿を立ててみよう。待つだけでは何も変わらない気がしたのだ。そんな折、小さな小さな振動が竿から伝わってきた。えい! 五郎は思い切って竿を立てる。すると、竿が大きくしなり、ググっと強い力で引っ張られたのだ。「マジか!」思いがけない出来事に目を丸くする五郎の背中に、船長の声が響いた。

「そのまま、巻いて! 緩めないよ!」

船長も五郎が一人まだ釣れていないことをしっかり把握していたのだ。慌てて、糸を巻く五郎。水深が浅いため、すぐに魚影が見えてきた。そして背後からタモが伸びてきて、魚をすくっていった。30センチほどの小さなマゴチだったが、それでも五郎は嬉しかった。しばらくしても、心臓がバクバクしている。ここぞと思ったら、ときには自分を信じてみる。それも大事なのだと五郎は学んだのだった。

~釣ったら食べよう! レシピ紹介【マゴチのカルパッチョ】~

材料/マゴチ、オリーブオイル、酢、ニンニク、レモン汁、黒胡椒

①マゴチを薄造りにする
②切り身をお皿に並べる
③オリーブオイル、酢、レモン汁をよく混ぜ合わせる
④マゴチの薄造りに③をかける
⑤黒胡椒を全体的に振る
⑥スライスしたニンニクをちりばめたら完成

(インフォメーション)
濱生丸
神奈川県横浜市磯子区原町11-9
TEL:080-8876-8512

オススメのマゴチ釣りタックル

ダイワ(Daiwa) メタリア マゴチ

がまかつ(Gamakatsu) 照リゴチ仕掛

フジワラ バランスシンカー 15号 ブラック

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