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浜松南がジャイアントキリングで14年ぶりベスト8。浜松開誠館との準々決勝に向け監督「こんなに幸せなことない」<静岡県高校総体サッカー>

アットエス


<静岡県高校総体サッカー3回戦・5/24 浜松南 2−1 富士市立>

静岡県高校総体サッカー3回戦で、浜松南(西部地区5位)が2−1で富士市立(プリンスリーグ・シード校)に逆転勝ちし、14年ぶりのベスト8進出を決めた。5月31日の準々決勝は浜松開誠館(プリンスリーグ・シード校)と対戦する。

番狂わせを呼び込んだ約束事

県西部1部リーグ所属の浜松南が4つ上のカテゴリー(プリンスリーグ東海)で戦う富士市立を撃破した。ジャイアントキリングを告げる笛が鳴り響くと、頼母木勇太監督はベンチから飛び出してきた選手たちを次々に抱きしめて喜びを分かち合った。

「相手は格上。しっかりリスペクトして、自分たちは謙虚にやるべきことをやろうとミーティングでは話していた。選手たちが本当によく頑張ってくれた」

相手は県内屈指のテクニシャン集団。とりわけ日本高校選抜にも名を連ねるエース山﨑絢心(FCFuji)の高速ドリブルは脅威だった。

浜松南イレブンが共有していた決まり事は「相手に一発で食いつかないこと」「むやみに足を出さないこと」「一人かわされても、次から次にアタックにいくこと」

そして最後は「カウンターのチャンスが来たら、自信を持って発動すること」

先制されても慌てず

同点ゴールを決めたMF村瀬弥空斗(11)


試合前に描いた戦略をほぼ完璧に遂行した80分間だった。山﨑に対しては常にボランチと最終ラインが挟み打ちに。相手がスピードに乗る前に数人で囲い込み、集団でボールを絡め取った。

この試合唯一の誤算だったのは後半6分に最終ラインの背後を狙われて先制を許したこと。しかし、頼母木監督によると、失点してもチームが慌てることはなかったという。「追いつけばPK戦もある。連続失点だけはしないように注意していた」

主導権を譲ることなく一進一退の攻防を続けていると、徐々に流れは浜松南に傾き始めた。裏で密かに牙を研いでいた浜松南に同点ゴールが転がり込んだのは後半24分だった。

敵陣に放り込まれたロングボール目掛けて、スピードスターのMF村瀬弥空斗(浜松南部中)が突進。エリアの外で浮き球を処理しようとした相手GKに猛然とプレスを掛けてミスを誘った。

「前線からハメていこうという狙いでした。技術では相手が上。自分たちが上回ることができるのは気持ちだと思っていました」。気迫でボールを奪い、無人のゴールに蹴り込んだ。

MF太田喜が勝ち越し弾

これで試合を振り出しに戻すと、一気に押せ押せムードに。勝ち越しゴールが生まれたのは後半35分。相手の攻撃をはね返した後、すかさず敵陣へと放り込まれたロングボールがドラマを呼び込んだ。

快足を生かして最終ラインの背後に飛び出したのが、サイドアタッカーの太田喜(オイスカFC)。エリア内にドリブルで進入し、GKの動きを見極めて得意の左足で流し込んだ。

「自分はこの大会で引退。後悔しないようにと練習から声を掛け合ってきました。僕らがやってきたことは絶対に正しい。だから、それを出せば絶対に勝てると思っていました」

最後の勝負どころで狙い通りにロングカウンターを発動し、勝ち越しに成功。ヒーローは歓喜の輪の中心でひとしきり手荒い祝福を受けた後、しばらく芝生に仰向けになって喜びに浸った。「人生で一番気持ち良かったです」

準々決勝は地元の遠州灘海浜公園球技場で、浜松開誠館に挑む。村瀬は「相手には小学時代(浜松龍禅寺FC)に一緒だった川合亜門(主将)がいる。本当にうまいけど、一矢報いることができればと思う」と話し、太田は「素晴らしいグラウンドでたくさんの人に応援されて今は感謝しかない。次もその思いに応えるようなプレーがしたい」と意気込んだ。

頼母木勇太監督は浜名高1年時に全国総体に

浜松南を率いる頼母木監督は就任3年目。浜名高1年だった26年前、静岡県総体を制してインターハイに出場している。富士市立戦の後、話を聞いた。

【たのもぎ・ゆうた】42歳。浜松東部中出身。選手時代はフォワード。浜名高1年時、1999年度の県総体で優勝して岩手総体に出場。浜名高では1学年下に元日本代表FW矢野貴章がいた。中央大サッカー部を経て教員に。富士宮北高で6年、浜松湖北で8年間指揮し、浜松南は3校目。

ー富士市立相手にどんな狙いを持っていましたか。
相手はプリンスリーグ所属で力があるチームなので、まずはしっかり守備から入ろうと意識していました。ただ、守備から入るけれど「引かないよ」と。80分間、ある程度の高さでプレスを掛け続けた上で、僕たちはカウンターには自信を持っていたのでチャンスを待っていました。

ーサイドの選手から見事な2ゴールでした。
両サイドはシンプルに速いので、相手が一枚だったら絶対にはがせると思っていました。西部予選から、みんなが彼らに信頼してボールを預けてきました。チームの戦術の一つになっていたので、そこがうまく機能してくれてよかったです。ただ、全員が最後まで集中して頑張っていたので、ゴールは「全員攻撃、全員守備」の結果だと思います。

ー点を取った村瀬選手、太田選手の良さは?
2人ともスピードがあって、その中でもしっかりとボールコントロールができて決定機で仕留められる。タレント性は高いと思います。

ー相手の映像をかなり分析していましたか。
ビデオはポイントだけ。自分たちがやらなければいけないことを整理しました。それでやられたら仕方がないよねと。相手は格上なので、しっかりリスペクトして、自分たちは謙虚にやるべきことをやろうと話していました。

ーどんなコンセプトでチーム作りをしてきましたか。
「全員攻撃、全員守備」とハードワーク、球際と切り替えが僕たちのテーマです。基本的にハイサイドを攻略してクロスから点を取る形を理想にしています。

ー今年のチームは戦力が整っている?
今年はいい戦力がそろっているので、なんとか1試合でも多くと思っていました。今大会で引退の選手も多いので、懸ける思いはあると思います。

ー今大会の目標は?
今大会は県大会1勝、ベスト16を目指していたので、ここからは彼らの思うがままに、彼らがやりきれるようにサポートしていきたいと思います。

ー準々決勝の相手は浜松開誠館。難敵です。
僕らが本当に目指している地元のチームと、地元の会場で戦える。こんなに幸せなことはないと思います。今日と同じように相手をリスペクトして、精一杯自分たちのやるべきことをやりたいと思います。

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