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『矢野くんの普通の日々』天﨑滉平さん&貫井柚佳さんインタビュー|矢野くんと清子は二人とも“ボケ”!? 恋愛の行方だけでなく、二人の“関係性”を最後まで見届けてほしい

アニメイトタイムズ

写真:アニメイトタイムズ編集部

講談社「コミックDAYS」にて連載中の、田村結衣先生による漫画『矢野くんの普通の日々』。本作のTVアニメが2025年9月30日(火)より放送開始となります。

本作の主人公は、毎日ケガまみれで学校にやってくる「超・不運体質」の矢野くん。心配性なクラス委員の吉田さんは彼の手当てをしていくうちに、徐々に特別な想いが芽生えていって……? 個性的な友人たちに囲まれながら、変化していく二人の関係性を描いたピュアさあふれるラブコメディ作品となっています。

放送開始を記念し、矢野くん(矢野 剛)を演じる天﨑滉平さんと、清子(吉田清子)を演じる貫井柚佳さんにインタビューを実施!

オーディションでの思い出や、収録現場でのエピソード、キャラクターと物語の魅力などをたっぷり語っていただきました。

 

 

【写真】『矢野くんの普通の日々』天﨑滉平&貫井柚佳が語る矢野くんと清子の関係性/インタビュー

数あるオーディションの中でもセリフの記憶が残っている珍しい作品

──原作を読んだり、演じて感じた作品の魅力をお聞かせください。

天﨑滉平さん(以下、天﨑):本当に温かくて、優しさにあふれている作品だなと思いました。矢野くんの不運体質は少しファンタジーですが、作品の中で描かれている出来事は誰しもが思ったり、体験したことがあるようなリアリティーのある物語で、そのバランスが絶妙で魅力的に感じました。

 

 

──演じていて高校時代を思い出したのでは?

天﨑:矢野くんを見ていると「こんな高校生活を送れたら素敵だな」と思ったり、「自分の周りにもいい友達がいたな」と思い出させてくれました。

貫井柚佳さん(以下、貫井):元々、原作を読ませていただいていて、大好きでした。原作のコマのテンポの良さや描き方がとてもおもしろくて、1枚の絵としても美しいシーンも随所に出てくるんですよね。小さいコマの中で線数は少ないのに、清子ちゃんが口をポカンとしているところなど、コミカルだけど感情がとても繊細に描かれていて。笑ってしまったり、気持ちのいい涙がポロポロ流れてきたり、喜怒哀楽が詰まっているし、感情が引き出されました。

矢野くんの周りで起きる出来事はクスっと笑えるけど、どれも輝いて見えるので、すごく尊くて、「いいなあ」とうらやましかったです。清子ちゃんや矢野くんだけでなく、他のキャラクターもみんな個性的だけど、お互いを思いやっているし、尊重しながら仲良くしている様子を見ていると「これって青春だな」と思えたりして。『矢野くん』の世界のキャラクターたちと心が近くなったり、シンクロすることで私も感受性が豊かになった気がするし、みんなのように純粋な心で日々を過ごせたらいいなと思うようになりました。

──本作への出演はオーディションで決まったんでしょうか?

天﨑:最初はテープを送って、そこからスタジオオーディションの流れでした。オーディションを受けさせていただくにあたって、原作を読ませていただいたのですが、温かい空気感や繊細な心の機微を大切にしているのだろうなと思いました。

オーディションで演じたセリフは原作の前半部分のシーンが多くて、まだ矢野くんがどんな人なのかが詳しく描かれていなかったので、ミステリアスな雰囲気を醸し出しつつ、徐々に心を開いていく感じを大事に演じました。

僕は割とセリフの間を詰めて、ポンポン言葉を紡ぐキャラクターを演じることが多いのですが、矢野くんに関しては自分の中で流れる空気も大事にしたほうが良さそうな気がして、自分の心の中で整理がついたタイミングで、焦り過ぎずにゆっくりセリフを言った覚えがあります。

 

 

──矢野役に受かった時はいかがでしたか?

天﨑:すごく嬉しかったです。僕らは日々、いろいろなオーディションを受けさせていただいておりますが、「あの作品のこのセリフがまだ記憶に残っているな」とピンポイントに思うことはなかなかありません。でもこの作品のとあるセリフがすごく印象に残っていて、「受かったらまたこのセリフを言えるんだな」と思っていました。なので、受かったという連絡をいただいた時は、「またあのセリフを言えるんだ! 今度は他のキャストさんと一緒に作品作りができるんだ!」という喜びと、楽しみな気持ちでいっぱいでした。

貫井:私は元々、原作の愛読者だったので、「清子ちゃんを絶対にやりたい!」という気持ちが強かったし、私が思う清子ちゃんを全力で皆さんにお届けできたらという想いで臨みました。全身全霊でスタジオオーディションに挑んだので、その時の記憶がほとんどなくて。

オーディションのセリフの中に、第1話で矢野くんと初めてちゃんとしゃべるシーンがあって、その時の清子ちゃんはかなりテンパっていましたが、「もっとテンパって! 上下激しく!」と言われたのを覚えています。アニメでは原作の世界観をナチュラルに描いていくのか、それとも少しデフォルメして描くのか、まだつかめていませんでしたが、このシーンのディレクションで「思ったよりやってもいいんだ」と。なので私が思い描く清子ちゃんの声を詰め込んでオーディションに挑んだので、受かったと伝えられた時は本当に嬉しかったです。

どの作品でもそうですが、オーディションの時は「この役に受かるのは絶対私!」と自信満々な自分と「受ける人は魅力的な人が多いんだろうな」と不安な自分がいます。なのでたったひとりに選んでいただけることは、本当にありがたく嬉しく幸せです…!

 

 

──でも原作の愛読者だったということは、清子役に決まった瞬間、喜びと同時に大変だろうなという覚悟もあったのでは?

貫井:そうですね。「清子ちゃんは内と外でずっとしゃべっているんだよな」と思いつつ、やりがいを感じていました。受かってから最初の収録までかなり時間が空いていたので、未来への楽しみな気持ちが大きかったです。

天﨑:僕も「早くアフレコ始まらないかな」とワクワクしながら過ごしていました。

 

 

矢野くんは成長するにつれ普通失うはずのピュアさを持ち続けている男の子

──ご自身が演じるキャラクターの印象と、ご自身と似ている点をお聞かせください。

天﨑:この作品は読むと心が洗われて、清らかな気持ちになりますが、矢野くんはその象徴的な存在だと思っています。矢野くんが考えていることや想いを口にするたびに、「なんていい子なんだろう!?」という気持ちにさせてくれる素敵な男の子です。僕は矢野くんを演じる側の目線と、遠くから見守る親心みたいな目線があり、親心のほうが強すぎるとお芝居に影響しそうなので、現場にいる時は「自分は矢野くんなんだ」と言い聞かせながら演じています(笑)。

僕と比べてみると、自分の幼少期と似ていると思いました。僕がまだピュアだった頃……。

貫井:えっ!? もうピュアじゃないんですか?(笑)

天﨑:そこは否定したいところだけど、こんなにピュアなわけないでしょ! 今どきこんなピュアな子はなかなかいませんよ!

貫井:(外遊びなどで)ケガとかはよくしてましたか?

天﨑:ケガはしょっちゅうしていたかもしれません。毎日、外で遊び回っていたから矢野くんと同じように引っ付き虫や葉っぱとかよく付いていましたし、芝生にスライディングするからズボンも緑色になったり、水遊びをすれば服をびしょびしょにして帰ってきたりしてました。

 

 

──それは矢野と同じ不運体質じゃないんですか?

天﨑:僕は自分から積極的に遊びに行った結果なので(笑)。矢野くんと似ているところは子供の頃のピュア度はちょっとだけ……近いのかな……と思います……。

貫井:声がちっちゃくなっちゃった!(笑)

──では続いて、貫井さんお願いします。

貫井:私も心配性なところがありますが、清子ちゃんの場合は自分よりも周りの人のことを心配していることが多くて。私は自分のことで手一杯なことが多いので、清子ちゃんはしっかりしているなと思うし、相手を思いやる優しさが素敵だなと思います。

また表情が豊かで、思ったことがすぐに顔に出ちゃって、特に矢野くんのことになるとそれが顕著で、矢野くんの一挙手一投足に照れたり、あわあわしたりして。そういう意味で清子ちゃんもとてもピュアで、そこがかわいいなと思います。

でも家ではお姉ちゃんらしく、学校でも学級委員長をしていて、面倒見がいいからみんなから頼られる存在で。清子ちゃんが矢野くんを心配したり、何かとお世話を焼いていると、矢野くんがふと口にした言葉に動揺して、ときめいてしまって……このシーンにはぜひ注目してくださいね! そこから矢野くんのことが一層気になっていくわけですが、私から見てピッタリの二人だなと思うし、矢野くんと出会ったことに(両手を合わせながら)感謝!

天﨑:(貫井さんのマネをしながら)感謝!(笑)

貫井:私も心配性なので、いつも荷物が多いんですが、周りの人のことが気になった時、声をかけたいなと思っても人見知りの気持ちが強くて、ぐっと飲み込んでしまいます。友達になりたくても一歩を踏み出せないまま終わることも結構あって。LINEのアドレス交換をしようと声をかけても小さくか細く「ごめんなさい。キモかったですよね」と自分から引いてしまうんです。

清子ちゃんも矢野くんも人当たりが良くて、その後も波長が合って、どんどん距離が近づいていくのが素敵だなと思っています。心配性なところは似ているけど、相手を心配したり、素直に声をかけられるところ、一歩踏み出す勇気はうらやましいです。そして矢野くんのことを想い続ける健気さも素敵だなと思います。

 

 

──私の印象では、貫井さんは清子と似ているというか、そのもののような気がします。

貫井:本当ですか!? きっとバタバタしているところですよね(笑)。

天﨑:確かに似ていると思いますよ。

貫井:へへへ、嬉しい。

天﨑:今の感じも。喜んでいる時とかよくデヘデヘしている時があるじゃないですか?

貫井:デヘデヘします。

天﨑:清子ちゃんもメイちゃんとかのおかげで一歩踏み出せているところはありますよね。矢野くんにアプローチした後、「やりすぎたかも?」と不安になったり、落ち込んだりして。そういう感じは貫井さんと似ているかなと思いました。

貫井:清子ちゃんが私の中にもいるのかもしれません!(話しながらなぜか目の前に置かれた複数の台本を立てて整え始める)こんな感じで整えたくなる感じも似ているのかなと。あっ!? 「何、急に変なことしてるんだ!」という目で私を見ていますが、今後こういうシーンがあるのでお楽しみに。

──それにしても、話しながらやる必要はないのでは?(笑)

貫井:確かに(笑)……あと清子ちゃんはよく髪がボサボサになるんですが、私もさっきから汗をかいて、わちゃわちゃして、髪がぼさぼさになっていますね…。

天﨑:どんどん似ているところが見つかりますね。

貫井:デヘヘ。嬉しいです、はい。

 

清子は“かわいすぎない”のがかわいいキャラクター。主人公の二人はどっちも“ボケ”!?

──では次の質問を……

貫井:あわあわ。

天﨑:どうしたんですか?

貫井:アクセサリーの指輪の石を取ってしまいました。

天﨑:そそっかし過ぎるでしょ! なんか矢野くんと吉田さんの関係性が中の人では逆転しちゃってますね(笑)。

貫井:すみません……(笑)。

 

 

──では気を取り直して(笑)、お互いのキャラクターの印象とお芝居の感想をお聞かせください。

天﨑:吉田さんは“かわいすぎない”ところがかわいいと思っています。表情が豊かで「その顔、TVに映して大丈夫なの?」というくらい表情を崩すところも、髪の毛がボサボサなところも愛おしいなと。矢野くんは普通の人と少し違う感性を持っていて、それを周りからよくツッコまれるのですが、吉田さんも結構天然ボケのタイプで。真っ直ぐすぎるが故に、周りが一瞬見えなくなったり、想いがストレートだから周りが驚くようなことを無意識にしてしまったり。主人公が二人ともボケというのも珍しいですし、二人のやり取りもおもしろくて。

貫井:おかしいな。清子ちゃんもセリフやモノローグでよくツッコんでいるんだけど(笑)。

天﨑:羽柴も二人それぞれにモノローグでよくツッコんでいるし、他のキャラクターも。

貫井:メイの存在はありがたいですね。

天﨑:矢野くんと吉田さんの会話をずっと見ていたいなと思いますし、吉田さんはポンコツかわいいところがあるので好きです。

貫井さんのお芝居の感じは本当にピッタリ……いや、それ以上で、貫井さんの声が付いたことで吉田さん像がより鮮明になって、より魅力的にしてくれたと思います。

また、吉田さんがお話を引っ張っていかなくてはいけない存在だと思っていますが、貫井さんはけん引力がすごくあって、アフレコでもついていきやすかったです。矢野くんが感情をあまり出さない分、吉田さんが言葉と行動で話の盛り上がりやおもしろいきっかけを作ってくれるので、何でもできる貫井さんが吉田さん役に選ばれた理由もわかった気がします。

貫井:いやこちらこそですが…!嬉しいです…!

──セリフ数も多く、感情も忙しい清子を貫井さんが演じているのをどう見られていましたか?

天﨑:微笑ましく見ていました。まるでマンガを読んでいるような気分で(笑)。なんかキャラクターっぽいですよね。

貫井:私だけじゃなくて、他のキャストさんもキャラっぽい方がいますよね? (羽柴役の)坂(泰斗)さんとか。

天﨑:そうですね(笑)。そういう意味で、それぞれのキャラクターにピッタリのキャスティングになっていると思いますし、休憩中などでも話題に事欠かない、おもしろい方々が揃ったと思います。

いつかみんなで座談会とかできたらいいなと思っていましたが、僕がパーソナリティを務める『矢野くんと〇〇の普通のラジオ』の第1回(9月30日配信)に、貫井さん、メイ役の種﨑敦美さん、羽柴役の坂 泰斗さん、泉役の高橋李依さん、田中役の岩崎諒太さんをお迎えすることが決定しました! そこでも楽しくみんなでおしゃべりできたらいいなと思っています。

貫井:楽しみ!

 

 

──次は、貫井さんから見た矢野の印象と、天﨑さんのお芝居の感想をお聞かせください。

貫井:矢野くんみたいにピュアな人は現実にはそうそういないだろうなと思っていましたが、「矢野くんって本当にこの世にいるんだな」と思ったくらい、天﨑さんのお芝居がピッタリでした。矢野くんを演じるのはすごく難しいと思っていて、もし発言と違う心情が少しでも透けて見えてしまったら別人になってしまいますが、見事に演じられていました。

あと矢野くんの絶妙なリアクションがすごくおもしろくて、アフレコ中に声を押し殺しながら笑った音が乗ってしまったこともあり、その節は皆さんに大変ご迷惑をおかけしました(笑)。でも作品がそもそもおもしろい上に、各キャラクターに声とお芝居が付いたことで、自分が『矢野くん』の世界の中にいるような感覚になりました。

収録ではほぼ絵ができている話数が多かったこともあり、清子ちゃんとしている私と、マイクワークを考える声優としての私、そしていち視聴者としての私の3人がその場にいて、視聴者の私が笑うのを止められなくて。キャラクター紹介PVのショート動画で、机の脚につま先をぶつけた後、回りながら壁にぶつかるシーンの声が絶妙で。あんなクルクル回ったらもっと声を入れたくなっちゃうはずなのに。

天﨑:実はもっと入れたかった(笑)。

貫井:その抜き方がまさに矢野くんらしくて。

天﨑:ありがとうございます。

貫井:視聴者の私が大興奮していました(笑)。

──矢野は最初の頃は感情の変化があまり見られなかったのに、徐々に心を開いていくことで感情を表すようになりました。

貫井:最初に矢野くんを見守るシーンで何かにぶつかったり、アクシデントが起きた時の声と比べると、話数が進んでいった後は段々声が大きくなっていくのも感じました。矢野くんは最初、一人だったけど、清子ちゃんや周りの人と接するようになって、友達がたくさんできたことで、いろんな表情を見せるようになって。私も親のように「(泣き声っぽく)よかったね、矢野くん」という気持ちになりました。

天﨑:(笑)

貫井:ピュアで素敵な心や優しさは持ち続けた上で、人と接することで更に人間的な優しさが膨らんでいるのが愛おしく感じるキャラクターだなと思いました。

 

 

貫井さんのかわいらしい一面が見えた、収録現場でのある事件とは?

──作品の雰囲気もあり、収録は楽しく盛り上がったのでは?

天﨑:にぎやかでしたね。

貫井:まるで学校みたいでした。

天﨑:確かに。駄菓子が出てくるエピソードの収録では、僕が駄菓子を差し入れて、休憩中にみんなで食べました。「こんな味があるんだね」とか「今、この値段なんだ」など、童心に返ったように、にぎやかにはしゃいで、音響監督が「収録、始めるよ」と知らせに来たら「わっ、先生が来たっ!」とか言ったりして。

その時、貫井さんの意外な一面を発見したんです。貫井さんとはこれまでにも共演をしたことはありましたが、がっつり掛け合いする役柄ではなかったので、「貫井さんってどんな人なのかな?」と思っていました。

作中にも登場したあの棒状の駄菓子をみんなで食べていた時、普通に取り出して食べたり、割って細長くして食べたり、いろいろな食べ方をしている中、坂くんから「膝に底が当たるように真っすぐに勢いよく振り下ろすと、中身が上に飛び出してくる」という話を聞いて、みんなで挑戦したのですが、なかなかうまくいかなくて。「もうそろそろいいかな」とみんなあきらめて他の食べ方を考えている中で、貫井さんだけ「できない! もう1回!」とずっと膝に振り下ろし続けていて。「貫井さん、もうそろそろいいんじゃないですか?」と声をかけても、「できるまでやる!」と続けた結果、パンッと勢いよく中身が飛び出したんですけど、それと一緒に中の粉まで飛散して。

 

 
貫井:続けているうちに袋の中で駄菓子が粉々になっていたみたいで……。

天﨑:床が一面、うまい棒の粉まみれになってしまって、みんなで掃除し始めることに。

貫井:それって、本当に私でしたっけ?

天﨑:貫井さんですよ!(笑) 

貫井:そうでした。申し訳ございませんでした……。

天﨑:あの時に貫井さんのかわいらしい一面が見られて嬉しかったです。

──まるで子供じゃないですか!?

貫井:でも駄菓子をみんなで食べるのって楽しくないですか? それにうまい棒にそんな開け方があるなんて知らなかったんです。私は今まで(手で袋の側面を持って、上の切り口から切って出す仕草をしながら)このやり方しか知らなかったんです。それにはしゃいでも許される空気があった本当にあったかい現場だったんです。

天﨑:みんなで貫井さんの様子を微笑ましく見ていましたし、みんなもはしゃいで、学生時代を思い出すような楽しい空気感がありました。

貫井:私だって、そういう空気じゃないなと思ったらやめていますから。

天﨑:そうですよね。空気が悪くなっていたら気付きますよね。

貫井:そうです! きっと!

 

 

──貫井さんはみんなに愛されるマスコットということで(笑)。

天﨑:本当にチャーミングです。

貫井:うまく言葉を選んでいただいて……!(笑)。でも天﨑さんが座長としてしっかり引っ張ってくれたから私も少し調子に乗ってしまったのかもしれません。ねっ?

天﨑:はい(笑)。

──ご自身の演じるキャラ以外で、お気に入りのキャラを教えてください。

天﨑:(性格が)一番近いのは、泉ちゃん。

貫井:おおっ!

天﨑:言いたいことがあっても飲み込みがちで、でも外見的には努めて明るくしているところが自分とちょっと近いかなと思っていました。想いを秘めがちというか。

貫井:泉ちゃんはかわいいですよね。私は羽柴くん推しで、羽柴くんに幸せになってほしくて。坂さんの声が乗ったことで、よりリアルさが増して、「クラスにこういう子いたかも?」という気持ちになりました。羽柴くんはモテそうなのに自分では気付かず、クラスメイトに分け隔てなく接するところがいいんですよね。

天﨑:いい子ですよね。

貫井:だから彼の切ないシーンがあると「羽柴くん……」と心の中でつぶやいています。

天﨑:共感できますか?

貫井:全然できません。羽柴くんもピュア過ぎて、私だったら矢野くんにヤキモキしちゃうし、言葉に出してしまうかも。共感できるのは清子ちゃんです。

──でも男性は羽柴に共感できると思いますよ。好きな子になかなか告白できなかったり、例え報われなくても好きな子の幸せを考えてしまうし。

天﨑:確かに。でも普通の男性だったらあんなに清らかな気持ちではいられない気がして。どちらかといえば、共感というよりも理想の男性像かなと。あんなにカッコよくいられたらいいですけど、実際はもっと心の中がぐちゃぐちゃになっちゃうと思います。恋の仕方も美しいですし、その後の行動も清々しくて、嫌なところがまったくなくて。ああなれたらカッコいいですよね。

貫井:羽柴くんはカッコいいですから登場を楽しみに待っていてください。

 

恋愛の行方だけでなく、二人の“関係性”を最後まで見届けてほしい

──アニメの全体的な見どころとご自身のキャラ的な見どころ、それぞれご紹介をお願いします。

天﨑:まずアニメの映像がとてもきれいです。原作の絵のタッチをそのままアニメにした時の最適解かなと思えたほどです。その絵の美しさを感じてほしいですし、すぐに作品の世界に入れるような音作りも素敵だなと思いました。そこに僕らのお芝居も加わることで、、誰でも楽しめるアニメになっていると思います。

僕が演じる矢野くんは、世の中では珍しいくらいピュアな子ですが、毎回彼の素直さと喜んだ時の表情、そしてクラスメイトとの交流で少しずつ変わっていく吉田さんとの距離感や関係性の変化、独特な会話の雰囲気やモノローグなど、語り尽くせないほどの魅力がたくさんあるキャラクターです。皆さんの目に矢野くんがどう映るのか楽しみですし、感じた良さや感想などはラジオに送っていただけると嬉しいです。

貫井:原作を初めて読んだ時、「もしアニメ化するとしたら、この世界をちゃんと再現できるのかな?」と思っていました。そんな作品が実際にアニメ化したこと、そして自分が清子ちゃんのお声を担当させていただいたことがとても嬉しいです。

アニメになると線数や彩色なども変わるものですが、アニメの映像を観たら「さすが亜細亜堂さんだな」と感動するほど、そのまま美しく再現されていて、キャラクターたちもいきいき動いていました。松尾(晋平)監督とお話しさせていただいて、すごくこだわっているのがわかって。例えばビューラーを使ってまつ毛にマスカラを塗るシーンなんかもすごく細かいんです。

 

 
天﨑:女子高生のマスカラを塗るシーンもマンガでは1コマですが、実際に動かすとなるとギザギザにするのか、真っ直ぐ引くのか、やり方もいろいろあるかと思いますが、男性はわからないじゃないですか。それを女性の方に詳しく教えてもらったそうです。

貫井:マンガでは1コマでも、映像にするということは1コマの中での動きを補てんしないといけないんですよね。矢野くんが少し上を向くシーンなど、何気ない仕草であっても突き詰めて、スタッフの皆さんが深夜に及ぶまで話し合っていると聞いて、スタッフの皆さんの作品への愛情の深さも感じました。そして、だからこそどこを切り取っても絵画のように美しく見られるんだなと思いました。『矢野くん』ファンの方にはマンガ独自の魅力とアニメならではの魅力、それぞれ一緒に楽しんでいただきたいです。

私が演じる清子ちゃんは、美人で何事にも一生懸命で、いろいろな感情に振り回されながら高校生活と青春を送っています。矢野くんに恋して、彼の一挙手一投足から目が離せなかったり、心が絶えず揺れ動いていたりする様子を温かく見守ったり、応援してもらえたら嬉しいです。

──吉田の矢野への片思いが成就するのか、目が離せませんね。そしてその先は……

天﨑:どこまで話してよいのやら(笑)。恋愛ゲームでは恋が成就したらハッピーエンドで終わりますが、この作品は恋だけではなく関係性のお話でもあるので、二人の関係性を最後まで見届けていただけたらと思います。

──第1話は、吉田の本線とモノローグがたっぷりなので、原作の吉田ファンと貫井さんファンは注目ですね。

天﨑:第1話は吉田さんがずっとしゃべっていた記憶があります。

貫井:私は自分のセリフがあるページの端っこを折るようにしているんですが、第1話の台本でやったら「あっ、全部だ!?」とビックリしました(笑)。

原作ファンの方もアニメで初めて触れる方も、矢野くんと清子ちゃんを見ているとクスっと笑ってしまうし、キュンとしたり、ホロッとしてじんわりするシーンもあるので、気持ちよく感情や心を動かされてください。放送が夜ということで、部屋着でリラックスした状態で、まったりしながら観てほしいです。

天﨑:僕たちもまだ第1話の完成版を観ていないので、オンエアをぜひリアタイしてください。

貫井:そしておもしろかったら、ぜひSNSなどで感想をつぶやいてください。

 
衣装協力:
an another angelus
Mon Amie
Raffia
RANDA

 

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