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おいしい栗を食べて笠間を知る。秋は茨城県、「栗づくし」の『道の駅かさま』へ。

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おいしい栗を食べて笠間を知る。秋は茨城県、「栗づくし」の『道の駅かさま』へ。

TOP写真:『道の駅かさま』の至る所で「栗」を目にする。フードコートには、座面が栗の形をしたかわいい椅子が。もちろん栗の木でつくられている。敷地にはたくさんの栗の木が植えられている。テラス席のフェンスには栗と、『笠間稲荷神社』にちなんだ狐がデザインされている。駐車場の車止めも栗の形。「秋になると、遠方からも栗好きな方が新鮮でおいしい笠間の栗を求めて大勢いらっしゃいます」と話す、駅長の菅井さん。

茨城県笠間市は、明治時代から栗を栽培する日本一の栗の産地。『道の駅かさま』にも、栗のメニューやお土産がいっぱい。この季節、栗づくしになる道の駅でおいしい栗を満喫しよう!

『楽栗(La Kuri)』のガラス越しに見られる「楽栗filo」のモンブランを搾るシーン。

おいしい秋を食べに行こう!「栗づくし」の『道の駅かさま』へ。

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「栗を食べて笠間を知って」と、『道の駅かさま』をオープン!

栗の生産量日本一を誇る茨城県で、栽培面積が最も広いのが笠間市だ。ただ、栗の知名度は、兵庫県の丹波栗や長野県の小布施の栗のほうが高いかもしれない。

そこで笠間市は、笠間の栗を多くの人に食べてもらいつつ、笠間のゲートウェイとなることを目的に、2021年9月に『道の駅かさま』をオープンした。

エントランスでは実が生った栗の木がお出迎え。まさに、栗づくしの道の駅。

「生栗、焼き栗、栗のスイーツなど多彩な栗商品を用意してお待ちしています」と笠間の栗をアピールするのは、駅長の菅井敏幸さんだ。「栗の収穫は9〜10月が最盛期。ぜひ、遊びに来てください」。

車で来られない人には、JR友部駅から出発し、観光スポットを巡る周遊バスが便利だ。『笠間工芸の丘』で笠間焼の陶芸体験を楽しみ、『笠間稲荷神社』で手を合わせ、『道の駅かさま』で栗を味わうなど笠間を満喫できそうだ。

栗がつくられ、加工され、道の駅の店舗のメニューに!

「笠間は水はけのいい火山灰土が広がるので栗づくりに向いているのでしょう」と話すのは、2町歩の栗林に800本ほどの栗の木を育てる国谷博隆さん。長く農業団体に勤め、本格的に栗栽培を始めたのは60歳の定年後から。「今、70歳だから10年経ちました」とのこと。「『道の駅かさま』や『笠間栗ファクトリー』ができたことで、笠間の栗の販売や加工量が増えたので、私たち栗農家も生産量を増やそうと力を入れています」。

『JA常陸笠間地区栗部会』会長の国谷さん。取材時の8月初旬の栗は青かったが、秋になると色づく。「満遍なく太陽光が当たるように剪定することが大事」
栗の収穫と選別を実演。「高いところの栗は、この電動剪定バサミで剪定します」。「落ちた栗のイガを足で挟んで剝き、トングで実を取り出し、カゴに」。カゴの持ち手はビニールパイプで手づくり。
竹でつくった選果台に栗を広げ、虫食いや割れた栗を取り除く。「このシートの穴を通らないSサイズ以上の栗を『JA』に出荷します」。

『JA常陸笠間地区栗部会』の会員は去年から7名増え、215名になった。農業者が減少するなか、増加に転じるのは珍しいこと。「それだけ笠間の栗が期待されている証拠」と国谷さんは話す。

国谷さんは『道の駅かさま』に栗は出さず、全量『JA』に出荷し、そこから東京の市場、飲食店、『笠間栗ファクトリー』などに販売される。「道の駅には、『JA常陸』の栗選果場から冷蔵したものが出荷されます。新しく道の駅ができたことで笠間の栗の評判は高まり、県外からも栗を買い求めに来られる方が増え、うれしいです」と笑顔で話す。ちなみに、『道の駅かさま』に登録している栗農家は100名以上。生栗の売り上げは以前の直売所の1.7倍ほどに増えている。

道の駅の向かいにある『笠間栗ファクトリー』は、栗のペーストや甘露煮などを製造し、広く販売する施設だ。笠間の栗に付加価値をつけ、ブランド化することで、栗農家の所得向上や、観光コンテンツとして人の行き来を生むための魅力づくりに取り組んでいる。

笠間市、『JR東日本』、『JA常陸』が出資し、2022年9月から稼働する『笠間栗ファクトリー』と、常務取締役の石井さん。右は栗ペーストの加工室。
選別された生栗をラインに投入。出来上がった栗ペーストは、さまざまな栗の食品に用いられる。

栗はサイズによって値段が決まる。大きい栗は市場に出荷され、ペーストに向く小さめの栗は『笠間栗ファクトリー』が仕入れている。「小さな栗は値段が安いので、当社が少し高めに買い取ることで栗農家さんの所得向上に貢献できればと考えています」と話すのは、常務取締役の石井克佳さん。これまでのキロ当たりの栗の値段が、『笠間栗ファクトリー』の稼働後に上がったという話も栗農家から聞かれるそうだ。

そんな『笠間栗ファクトリー』の栗ペーストを使ったメニューが、『活龍 道の駅かさま店』でも味わえる。担々麺に栗ペーストをモンブランにして載せた「モンブラン担々麺」だ。栗の甘みがスープに溶け、口にしたことのない絶妙の味わいが楽しめるので、ぜひ、食べてみて!

道の駅でしか食べられない「モンブラン担々麺」。
『活龍 道の駅かさま店』店長の篠本美紀さん。「先にモンブランだけで栗本来のおいしさを味わい、少しずつ麺に巻き込みながら召し上がってください」と、おいしい食べ方を教えてくれる。

まさに、栗づくしの道の駅。笠間産の野菜も品揃え豊富!

楽栗filo」のほかにも、濃厚な味わいの「テリーヌリッコ」、マロングラッセをトッピングした「栗のbudino」もおいしい。

扉ページの写真で、マシンからモンブランを搾るのは『楽栗(La Kuri)』副店長の成田朝子さん。栗ペーストに発酵バターを練り合わせた、直径1ミリの細い糸状のモンブランが美しい「楽栗filo」という人気メニューだ。「filoはイタリア語で糸のこと。なめらかな口溶けを楽しんでください」と成田さん。シーソルトで「味変」も楽しもう。

『楽栗(La Kuri)』副店長の成田さん。

また、『直売所 みどりの風』には、いろいろな栗のお菓子が並び、どれを買おうか目移りしてしまう。ここにいくつかピックアップしたので、ご参考に。

ぜーんぶ、栗の商品です!

「おちぼ栗」は、笠間の栗をパウダー状にして焼いた、栗の形をしたチョコクッキー。一口サイズで食べやすい。
焼き菓子の「すいーとまろん」は、地元の菓子メーカーと『道の駅かさま』がコラボレーションした限定商品。
『笠間栗ファクトリー』の栗ペーストを使った、ほっくりとした食感の味わい深い栗きんとん「くりとん」。
笠間市内の菓子店『くりーむ』がつくった焼きドーナツ「栗の輪」。砕いた栗の甘露煮がアクセントに。
『笠間栗ファクトリー』の栗ペーストをふんだんに使った「超濃厚栗プリン」。栗の味がしっかりと味わえる。
地元食材と暮らしをテーマにする『ポーターハウス』の栗の「焼きメレンゲ」。
水戸市の高校生が、加工で廃棄される渋皮を「もったいない!」と考えてつくった「栗の渋皮ほうじ茶」。

冷蔵庫には栗のビールが冷えている。『道の駅かさま』と『うまい栗焼酎をつくる研究会』代表の鈴木要一さんとのコラボレーションから生まれた2種類のクラフトビールで、『笠間栗ファクトリー』の栗ペーストを使っている。「試作品を市民に配り、アンケートの意見を反映し、栗の風味とコクを強めて醸造しました」と、鈴木さんはビールの特徴を語った。

ほどよい栗の甘みを引き出した「笠間の栗アンバーエール」と、栗ペーストを2倍使用した贅沢な味わいの「笠間の栗リッチエール」。2本のエールをつくった鈴木さん(右)と駅長の菅井さん(左)。

生栗や栗のスイーツ、ビール、お土産だけでなく、『直売所 みどりの風』には笠間産の農産物が所狭しと並んでいる。「野菜に限ると、笠間の農家さんがつくったものは全体の9割以上。バナナなど地元でつくれないものは『JA』が仕入れて販売しますが1割に満たない割合です」と話すのは、店長の大山一樹さん。約450人の農家が登録しているので野菜の種類も多く、「地元率」は高い。特に栗は品薄になりそうなくらいよく売れる。

たくみ農園』代表で、『JA常陸笠間地区直売所生産部会』会長の菅谷さん(右)と『直売所 みどりの風』店長の大山さん(左)。登録農家には使用した農薬を記す「栽培日誌」の提出を義務づけるなど安全・安心に力を入れている。
ぼっちゃんカボチャに、瑞々しい梨。盆や正月に供える小菊も生産。

「売り場におすすめの食べ方を書き、農家が対面で野菜の特徴やつくり方、おいしい食べ方をお伝えしながら販売しています」と『たくみ農園』代表の菅谷巧さんは話す。安全・安心に対しても徹底して取り組む『道の駅かさま』の栗や野菜を買って、食欲の秋を満喫しよう!

左/県内唯一の3人制プロバスケットチームがある笠間市。ユースの大会を道の駅で開催。中央/栗に関する食べ物や商品が販売される「かさマロン市」。右/子どもと、子どもの心を持つ大人を対象に開かれた「図工の日」。アクセサリーや陶琴をつくった。

『道の駅かさま』・菅井敏幸さんの、道の駅を楽しむコンテンツ。

X(旧・Twitter):

道の駅制覇の旅、現在1196か所

SNS全般に目を通していますが、特にキャンピングカーで車中泊をしながら道の駅を巡るライターの浅井佑一さんのX(旧・Twitter)「道の駅制覇の旅、現在1196か所」は、いろいろな道の駅の情報が得られるのでチェックしています。

TV:すゑひろがりずのあっぱれふるさと珍道中

道の駅を特集したテレビ番組はチェックします。当道の駅も取材を受けた「すゑひろがりずのあっぱれふるさと珍道中」という『BSよしもと』の番組も見ています。全国の道の駅やサービスエリアを訪れながら、地域の魅力を発見する番組です。

Book:2023関東「道の駅」スタンプブック

道の駅ブームもあって、道の駅を特集した書籍が多く見られるなか、『関東道の駅連絡会』が発行している『関東「道の駅」スタンプブック』は、スタンプを集めるだけでなく、各道の駅のおすすめなども掲載していて、楽しく活用できます。

photographs by Hiroshi Takaoka text by Kentaro Matsui

記事は雑誌ソトコト2023年11月号の内容を本ウェブサイト用に調整したものです。記載されている内容は発刊当時の情報であり、本日時点での状況と異なる可能性があります。あらかじめご了承ください。

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