娘に強引に勧められた『プロセカ』も今や私の趣味に――『劇場版プロジェクトセカイ 壊れたセカイと歌えないミク』を娘と鑑賞して気付いたこと|「きっと届くはず」ミクの歌声と想い あなたはひとりじゃない
2025年1月17日(金)に全国公開された『劇場版プロジェクトセカイ 壊れたセカイと歌えないミク』。本作は大人気アプリゲーム『プロジェクトセカイ カラフルステージ! feat. 初音ミク』(略称『プロセカ』)初のアニメ化で、2025年2月18日(火)には興行収入10億円を突破し、人気を博しています。
何を隠そう、中学2年生の子を持つ母である私も『プロセカ』の大ファン。娘からの誘いでなんとなくはじめてみたのですが、今では私にとってなくてはならない存在に。
そして、私はついに娘と『劇場版プロジェクトセカイ 壊れたセカイと歌えないミク』を観に行くまでになったのです。
そんな私の『プロセカ』との出会いと、『劇場版プロジェクトセカイ 壊れたセカイと歌えないミク』までの不思議な旅路を僭越ながら書かせていただけることになりました。
『プロセカ』の多くは若い方がプレイしているとは思いますが、私のような年齢層の方たちにもおすすめできる作品になっています。また、『プロセカ』を遊んでいる若い方たちは、お母さんを仲間にする参考にしてみてくださいね!
【写真】『劇場版プロジェクトセカイ 壊れたセカイと歌えないミク』を娘と鑑賞して気付いたこと
母、『プロセカ』にハマる
現在、中学2年生の我が娘。中学生になってから彼女の世界も大きく広がったようで、学校の友達からいろいろなものを学んで帰ってきます。『プロセカ』もその中のひとつでした。
「可愛い女の子たちやキラキラした男の子が、歌って踊って綺麗で楽しそうで良いわねぇ」と見守っていた私は、娘にほぼ強引にプレイさせられることに……。そこまで気乗りしていなかった私。でも、あまりにキラキラした目でお願いされたもので、少しやってみれば満足してくれるかな、と思いプレイしてみました。
しかし、実は小さい頃からゲームが好きな私。睡眠不足になるので敢えてゲームから遠ざかっていましたが、音ゲーは娘とゲームセンターでmaimaiを楽しんでいたので、「思っていたより結構楽しい!」というのが最初の感想でした。しかし、画面が小さいので、私はiPadでプレイすることにしました。そして娘は「お母さん、こんなにParfect出してるよ!すごいじゃん!!」と、褒めて伸ばす戦法に出始めました。
そんなふうに最初は娘の強引な誘いによってゲームを遊んでいた私でしたが、遊んでいくにつれて『プロセカ』という作品に秘められた魅力に気づいていったのです。
最初はキャラクター1人1人の違いがよく分かりませんでしたが、イベントに参加したり、ストーリーを読んでいくと、個性が一人一人違い、仲間と協力して何かに夢中で頑張ったり、それぞれ悩みを抱えていたり……読んでいくうちに感動や気付きをたくさん与えてくれました。それと同時にキャラクター1人1人に愛着が湧き、いつの間にか応援している私がいました。
また、『プロセカ』といえば、キャラクター1人1人が可愛らしく、またかっこいい。そんな彼女・彼達に衣装を着せ替える機能があるんです! 自分が幼稚園生だった頃、お友達と紙の着せ替えで遊んでいたので、今では“ユーザーが選んだ衣装を着て好きなキャラクターがMVを踊ってくれる”ということに大変驚き、感激しました!
そう。気が付いたら『プロセカ』にハマり、毎日ログインを欠かさないほどになったのです。
そんな経緯のもと、今ではメンバー1人1人に愛着が湧き、イベントごとに出る新カードのビジュアルを、娘と一緒に見て2人で騒いでいます。また週末には、「期末試験頑張ったね」など何かと頑張った後はアニメイトに『プロセカ』グッズを一緒に買いに行きます。ランダム商品が多いので、買った後2人で開封の儀をする時は、それはそれは盛り上がります。そんなことをしているうちに、いつの間にか『プロセカ』や推し活を通して“話しかけやすいお母さん”になっていたようで、親子の絆まで深まりました。
実は我が家の娘は小学生の時に反抗期が来て、何を考えているか分からず私も厳しい母をしていました。しかし、小学校を卒業し、色々と頑張ってきたことを認めて、子どもではあるけれど、1人の人として認め歩み寄るようになってから、良好な関係が築けてきたように思います。
もちろん、何でも話す我が娘にも私の知らない秘密はあると思いますが、日ごろのコミュニケーションがあるからこそ、信頼して見守れています。そんな歩み寄りの1つが子どもの趣味へ興味を持ってみることなのかな、と考えています。
子どもが何を好きで、何に感動しているのかを知る機会のひとつになったのも『プロセカ』ですし、無理して娘に付き合うのではなく、自分も楽しめる趣味になっている事は、私にとっても嬉しい誤算であったのです。
ちなみに、我が家の推しは……
娘の最推しは「25時ナイトコードで」(通称ニーゴ)の暁山瑞希ちゃん。最初に娘から紹介されたニーゴは落ち着いていて、衣装もシックなレースや黒のフリルで、アラフォーの私も目を惹かれました。
またニーゴは、ネット上(ナイトコード)で連絡を取り合いセカイ(現実の世界とは異なる、人々の“本当の想い”を映し出した不思議な世界)で合流する、という現代ならではの楽曲制作をする高校生。
その姿にカルチャーショックを受けました。実際、今は息子の通っている公立小学校でも小学1年生の頃から1人1人にパソコンが配られ、パソコンを使うことが当たり前の世の中である事を身に染みて感じます。
そんなニーゴの瑞希ちゃんが、昨年のイベントで東雲絵名ちゃんに自分の悩みを上手く伝えられず、しばらく“現実の世界”から姿を消してしまった時、娘は「瑞希がいない!会えない!」と悲しそうにしていました。
その後瑞希が戻ってきて、より一層ニーゴの絆が深まったようで娘も安心していましたが、瑞希ちゃんは娘にとって中学生になってからの特別な推しで、服装も真似してみたりショートカットだった髪も伸ばし始め、グッズも集めて机に飾ってみたりと憧れになっているようです。
一方、私の推しはLeo/needの天馬咲希ちゃん。彼女は以前、身体が弱く、入院をしていてなかなか学校に通えなかった、という過去があります。しかし、友達や兄の司くんに励まされ、今ではそんな大変な事があった様子など見せずに、あんなに元気な可愛らしい女の子になっていることに胸を打たれました。
また、Vivid BAD SQUADを見ていると、自分も学生時代の仲間と男子2人女子2人でカルテットを組んで活動していたので、自分の学生時代を思い出して胸が熱くなります。
『劇場版プロジェクトセカイ 壊れたセカイと歌えないミク』公開が発表!
娘とともに豊かな『プロセカ』ライフを送っていた私に、突如嬉しい知らせが舞い降ります。
『劇場版プロジェクトセカイ 壊れたセカイと歌えないミク』公開!
もちろん絶対観に行こう! と娘と意気投合! あの大好きな『プロセカ』のみんなが動く! 大スクリーンで観る事・聴く事ができるだなんて楽しみで仕方ない……と、年内から楽しみにしていました。
そして、一緒に観に行こう! と誘ってくれる娘。お友達の前では泣くのも恥ずかしいから……と言っていました。中学生女子なりにお友達や周りに気を遣う中、私という存在が、気を遣ったりせず心地いい、と思ってもらえているようで、そんな娘の気持ちがとても嬉しく思いました。
また、手がかかった小さい頃の娘ではなく、一緒に映画に行けるようになって、ポップコーン売り場では率先して並び、車庫出しも手伝ってくれる娘。本当に頼もしくなったなと、嬉しくなったものです。
いざ、映画公開!!
年も明け、『プロセカ』の映画公開が近づく中、娘は「今月は楽しみがいっぱいあるから学校や勉強頑張れるよ。『プロセカ』の映画はもちろん何回か一緒に観に行きたいし、その後も『地縛少年花子くん』の花子くんミュージアムに連れて行ってもらえるし! お母さんいつもありがとう!」と、週末まで自分は学業、お母さんは仕事を頑張ろう! と励ましてくれました。そんな前向きな姿に、私も見習おうと思うほどでした。
2025年1月17日金曜日、遂に『劇場版プロジェクトセカイ 壊れたセカイと歌えないミク』が公開! 私たち親子は学校等の都合で、2日目の土曜日に観に行きました。
実際に劇場に足を運び見てきて感じた事
まずはチケット提示と共にもらえる週によって入れ替わる入場特典! 映画が始まる前に席で開封し、本当は全部揃えたいね、と映画が始まるまでの時間をワクワク過ごしました。
そして遂に上映開始! 公開2日目だったので、ミクちゃんの舞台挨拶がありました。ひたすら可愛くて、写真オーケーの時間に何度もシャッターを切りました。
いざ上映が始まると、DECO*27さんとボカロPさん達が作り上げた最高の音楽を高音質の大音量で聴ける喜び! 更にゲームで慣れ親しんだキャラクター・ボーカロイド達がアニメとして動き喋って、ユニットの垣根を超えた交流・プロジェクトセカイの世界を見る事ができる! もう最高でニコニコしながらスクリーンに釘付けになっていました。
しかし、映画が進むにつれて“歌えないミクちゃん”とその世界の住人(となる人)に不穏な兆しが。心配で可哀想で苦しくて、時々娘と顔を見合わせました。
ついに負の感情に潰されてしまったミク。そこで、そんなミクと壁にぶつかり絶望・失望した人たちを救おう、励まそう、と各ユニットのメンバー達が奮起し、曲・パフォーマンスを作りだします。そんな仲間を想う懸命な姿に希望を見出し感動しました。
そして皆の想いのこもった曲が完成し、披露された各ユニット達のメドレー曲は圧巻! 各ユニットの想いの詰まった歌から力をもらった人たち。そして目覚めたミク。ミクも失意のどん底にいる人たちも、そしてあなたも、「ひとりなんかじゃない」。
感動の渦に包まれた会場では、更に、メドレー曲の最後にミクが披露する『ハローセカイ』に『プロセカ』で皆に愛されている『セカイ』『Journey』のフレーズが入っている、というサプライズに感激で会場がざわつきました! 皆の想い、そして楽曲の素晴らしさに、鳥肌と涙が止まりませんでした。
また、この最後にミクが歌う『ハローセカイ』。この楽曲は、アップテンポな明るい曲調で素敵ですが、その中にある歌詞の優しさにぜひ注目していただきたいと思います。
「未来にいる理想の君を 今の君に押し付け過ぎないで」や「ハロー、セカイ 僕の声はちゃんと届いてるかい 思ったよりも大丈夫 君はひとりなんかじゃない」の歌詞があたたかくて、私は大好きです。
「押し続けすぎないで」や「大丈夫」「ひとりなんかじゃない」、という言葉。明るい曲調の中に、相手の心を気遣う言葉。何か壁にぶつかり、落ち込み、未来が見えなくなる時……きっとみんな一度は経験していると思います。そんな時に、励ましもありがたいけれど、このように寄り添ってくれるあたたかい言葉が一番心に届き、救ってくれるのではないでしょうか。だから、一人でも多くの人にこの作品と曲が届いてほしいと思ってしまいます。
映画が終わり胸いっぱいのファンに、ここで更に嬉しいアフターライブ! 臨場感溢れるアフターライブはずっと見ていたいほど。映画の余韻を楽しむには豪華すぎるライブでした。
娘とのやり取り
終演後は映画からもらった色んな感情に、2人ともへとへとになって顔を見合わせました。
夕方の回だったので、帰りに食事をして帰ったのですが、2人とももう胸がいっぱいで、席に着くなり感想が止まりませんでした。
とにかく“歌えないミク”がどうなってしまうのかハラハラドキドキしたし、負の感情が暴走した時は本当に怖かった、という娘。あの黒い渦のようなものはホラー映画を見ているような怖ささえあったと印象的だったようです。
そこから一転、ミクと希望を失い絶望しかけている人たちへ、皆が想いを込めた歌を作る後半。「誰かのために仲間と力を合わせて懸命に頑張る姿に胸を打たれた。私も励まされたし、この映画を観に来てよかった!」という娘。実際に隣の席で、ミクと希望を失いかけている人を救いたい、勇気づけたい、という『プロセカ』メンバー達の純粋な願いが奇跡を起こすシーンに感動し、娘も私も気付いた時には涙が溢れていました。
沢山の感動をくれた『劇場版プロジェクトセカイ 壊れたセカイと歌えないミク』。家に帰ってからも余韻で胸がいっぱいな中、更に嬉しいプレゼントが。なんと入場特典に、ゲームの『プロセカ』で使える豪華特典のコードが同封されていたのです! 映画の内容はもちろんのこと、帰ってからのお楽しみまでプレゼントしてくれる『プロセカ』に脱帽です。
特典の一つに、映画のミクがセカイに現れて、映画で交流した各キャラクターとの出来事や想いを話してくれるのですが、映画を観終わった後の独特の寂しさも消してしまう『プロセカ』。またこの入場特典ももらいたくなりますし、また『プロセカ』のみんなに会いに、感動をもらいに、何度でも劇場に足を運びたくなる素敵な素敵な作品でした。
あとがき
どうしてプロセカが人気なのか……もちろんビジュアルや音楽、ゲームとしての楽しさがあることが入り口になると思います。ただ、それだけではなく、各ユニット・イベントのストーリーから、同じことで悩んでいた人は励まされ勇気をもらい、「そうだよねこれ楽しい!可愛い!かっこいい!」と元気をもらう。スマホを開けたら推しをはじめみんながいる。第2のマイホームのような、ユーザー1人1人を明るく優しく照らすようなあたたかい存在なのでは……? と考えました。
『プロセカ』は年齢関係なく楽しめ、元気や勇気、そして感動をもらえるエンターテンメントだと思っています。
――私の座右の銘は「not too late」――
私も最初『プロセカ』をプレイした際は、スマホで音ゲーだなんて細かい事私には無理、と思っていましたが、数回プレイするうちにいつの間にか気分転換に。そして心地よい音楽に癒され、今日は疲れてるから『blender』を、今日は元気が欲しいから『ハローセカイ』や『Neo』を……など、今ではなくてはならない癒しになっています。
もう歳だから、と思うことも少なくない中、強引にプレイさせてきてくれた娘には感謝しています。『プロセカ』だけでなくファッションやスイーツも。なんだって好きになること、楽しむことに遅いことは無いはず。自分が楽しみたいものを楽しみ、自分が頑張りたいことを頑張る! そんなことを思いながら日々過ごしています。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。1人でも多くの人が『プロセカ』やエンターテインメントを通して笑顔になれますように。
[文/西澤あさこ]