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バーチャルスニーカー「エアスモーク1」が指し示した、NFTが行き着くカルチャーとしての「DAO(自立分散型)」とは?

SEVENTIE

今年4月、ブロックチェーン技術を使ったNFT(Non-Fungible Token、非代替性トークン)を活用したバーチャルスニーカー「エアスモーク1(AIR SMOKE 1)」が、仮想通貨5イーサリアム(当時のレートで140万円)で取り引きされ、大きな話題になった。コロナ禍に見舞われ苦境に喘ぐファッション業界だが、新しい可能性を感じさせるニュースだった。「エアスモーク1」に使われたNFTとは、NFTとは「Non-Fungible Token(非代替性トークン)」の略で、データ管理にブロックチェーン技術を活用することで改ざんすることができない仕組みで、複製や偽造が難しいとされている。この技術を用いて世界に一足しか存在しない「エアスモーク1」をデザイン・開発したのは、バーチャルヒューマン事業やブロックチェーンコンテンツ事業などを手掛ける1SECだ。同社は、日本初のデジタルファッションレーベル「1 ブロック(1 Block)」を立ち上げ、NFTのマーケットプレイス「1 ブロックランド(1 Block Land)」をローンチ、さらには「アメリ ヴィンテージ(Ameri Vintage)」との協業でNFTを使った日本初となるドレスを10月下旬に販売する。

「エアスモーク1」は、煙を出す3Dアニメーションを使った世界初のバーチャルスニーカーで、表面は虹色に変化し、ソールからは煙が吹き出ている。「エアスモーク1」は、こうしたデザインのエッジ感が注目されたが、実は社会に変革をもたらす可能性を秘めていることを指し示した。まず、所有に対する概念だ。貨幣がそうだが、実物として存在するものに価値を置いてきたが、デジタル上でしか所有できないファッションアイテムに対しても価値があると認められた。そして、「DAO(ダオ)」呼ばれる、自律的な人が分散して国を動かしていく社会の到来だ。デジタルファッションは、「DAO」に行き着く入り口だと、1SECの創業者でCEOの宮地洋州氏は語る。「2019年に拠点を移した米国で、NFTを活用したビジネスが急激に拡大していくのを目の当たりにしました。そして、それは社会を変革していく有様の実体験でもありました」という。NFTがファッション業界にどのようなインパクトをもたらし、社会にどんな変革をもたらすのか、宮地氏がインタビューに応えた。

SEVENTIE TWO(以下、SVT):「エアフォース1」では、どういったことを伝えることができたでしょうか。
宮地洋州(以下、宮地):「エアフォース1」は、フィジカルでは作れないクリエイティブの幅を見せることができました。そして、新たなデジタルファッションは、世界でも戦っていけることを示すことができたと思います。虹が架かるスニーカーや鳥が飛び立つスニーカー、アイデアさえあればバーチャルスニーカーは永遠に作ることができます。日本のクリエイティビティは非常に高いですが、今まではこういったマーケットがありませんでした。クリエイティブの幅や形が増えれば、自ずとチャンスも広がります。しかも、NFTはクリエイターの権利やアイデンティティを守っていくことができます。1SECは、テクノロジーを使い、独自のプラットフォームを作り、瞬時にグローバルにプロダクトをディストリビューションすることができます。日本のファッション業界の見通しは暗いと言われていますが、デジタルファッションというフィルターを通す事によって新たなマネタイズの幅も広がっていっていますから、今こそチャンスだと思います。

SVT:デジタルのプロダクトにはどういった意義がありますか。
宮地:フィジカルのプロダクツは、一度販売したら、二次流通でどれだけ高値で売買されても製作者やクリエイターに収益はありません。メルカリのような非常に優れた二次流通のプラットフォームができましたが、クリエイターの権利はもっと守られるべきだと思います。NFTを活用すると二次流通、三次流通で転売されればされるほど最初に定めた売り上げ%がクリエイターに収益が入ります。またNFTは世界にひとつしかないアイデアを永遠に担保できるのです。それは、フィジカルではできません。「エアフォース1」は140万円で売れましたが、同じ仕組みです。インターネットはコピーし放題でしたから、フィジカルより下のものと思われていました。インターネットやデジタルを甘くみていたのかもしれません。

1SECの創業者でCEOの宮地洋州氏

SVT:どういったことでNFTを使ったデジタルファッションに思い至りましたか。
宮地:ファッション業界の大量廃棄問題がグローバルで拡大していく中で、環境に配慮しながら、着るだけではないファッションの楽しみ方をずっと探していました。バーチャル上で今までにないデジタルアセットを作ることで、新しいチャンスを与えることができる武器を提供できないだろうかと。そう考えているうちに、NFT、そしてデジタルファッションに行き着きました。

SVT:NFTの可能性をどのように感じていますか。
宮地:例えば、ニューヨークの地下鉄の構内で絵を描いている無名のアーティストがいました。たまたまその前を通りがかったデジタルに長けた人が、彼の作品をNFTに出店したら3秒で売れました。そのアーティストは一躍有名になったのですが、同じ現象はファッション業界でも起きていて、米国のバーチャルファッションブランド「RTFKT」のスニーカーが約3億円で売れました。クリエーターが評価され始め、再定義されている証左です。デジタルであれば、わざわざニューヨークやロサンゼルスに行かなくても、日本にいながら世界で勝負できます。有名だからといって売れるわけではありません。無名か有名かは関係なく、アイデンティティだけで勝負できるのです。また、ビープルズというアーティストは5000日間、毎日書いてきたアートを1枚にしたデジタルアート作品が約75億円で売れました。そういうアイデアやストーリーに価値が認められて、お金が動き始めています。NFTのマーケットプレイスの月額の取引額は、この1年で約3000億円に成長しました。あのアマゾンが3000億円まで成長するのに10年かかりましたから、NFTのマーケットプレイスは、アマゾンを超えるものすごい速度で成長しているわけです。「1BLOCK」は、こういった動きを牽引していきたいと考えています。

SVT:「1BLOCK」はファッションレーベルというより社会に影響を与えていくような存在ですね
宮地:その通りです。社会の物差しでなにができるかを考え尽くして始めましたので、ファッションというひとつの括りではありません。NFTの行き着くカルチャーとして、ブロックチェーンの用語で「DAO」という考えがあります。日本語では自律分散型組織といいますが、個人がより強くなっていきます。ブロックチェーンはクリエイティブの発信力を後押ししていくので、あらゆる人へ平等にチャンスを与えます。このデジタルファッションは、DAO化に行き着く入り口になっていくと感じています。ひとりひとりが輝く時代を後押ししたいですし、そういう未来になっていくことが面白いと思います。今後、1セックはDAO化な動きを強めていきたいと思います。

SVT:ファッション業界以外ではいかがでしょうか。
2022年の初頭までに、海外のゲーム会社との連携を発表する予定です。ゲームの市場は非常に大きく、Z世代でいえばゲームの中に居る時間が圧倒的に多く、そこがメインストリームと言っても過言ではありません。オンラインゲームの「フォートナイト(Fortnite)」だけでも少なくても3億人はプレーヤーがいるわけですから。昔はおたくと言われていましたが、今は明らかにイメージが逆転しています。

米国でマーケットリサーチをすると、10代の10人に7人はフィジカルに価値はないと言い出しています。「フィジカルは汚れるし、劣化していくよね。デジタルは劣化もしないし、永遠に価値を保てる」と。ここまではまだ時間がかかると思っていましたが、今後さらに加速していくのではないでしょうか。僕たちはこうした声に耳を傾け、ゲーム業界と融合していくことで新たなファッションのニーズを生み出し、新しい経済圏を作っていくことを目指しています。僕らが目指すビジョンを通して、みなさんにオポチュニティを与えていきたいと考えています。

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