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JR東日本の 赤字路線ランキング2024年度版!利用の少ない線区を公表、100円稼ぐのに2万円超の費用の路線も「営業係数」を解説

鉄道チャンネル

JR東日本が2025年10月27日、利用者の少ない線区(平均通過人員2,000人/日未満が中心)の2024年度経営情報を公表しました。
鉄道チャンネル編集部では、この公表データを元に、営業係数によるランキング表を作成しました。この記事では、路線の採算性を測る重要な指標である「営業係数」に着目し、特に経営状況が厳しいワースト10区間をランキング形式で解説します。豪雨災害による影響も出た最新のJR赤字路線の現状と、地域交通が抱える課題についてをお伝えします。

鉄道「営業係数」ランキング(2024年度)— JR東日本が明らかにしたご利用の少ない線区の現状

JR東日本は、持続可能な交通体系のあり方について地域の方々にご理解いただき、建設的な議論を進めることを目的として、ご利用の少ない線区の経営情報(2024年度分)を取りまとめ、公表しました。開示対象となったのは、2024年度の平均通過人員が2,000人/日未満の線区を中心とした36路線71区間です。公表されたデータの中でも、路線の採算性、すなわち「儲かっているか」を示す指標として特に注目されるのが「営業係数」です。

JR東日本のリリースから(2025年10月27日)

「営業係数」とは?

営業係数とは、100円の運輸収入を得るために、いくらの営業費用がかかったかを示す指標です。

・営業係数が100円未満: 採算が取れている(黒字)

・営業係数が100円を大きく超える: 運輸収入に対して営業費用が大幅に上回っており、採算が非常に厳しい(赤字が大きい)状態を示します。

たとえば、営業係数が5,000円であれば、100円の収入を得るために5,000円の費用がかかっており、4,900円の赤字が生じていることを意味します。

営業係数ワースト10(2024年度)、災害による代行輸送の影響も色濃く反映

2024年度の経営情報で、営業係数が特に高かった(=採算が厳しかった)ワースト10区間は以下の通りです。

2024年度の最悪区間となったのは、陸羽東線の鳴子温泉~最上区間で、その営業係数は驚異の22,360円でした。これは、100円の収入に対して22,360円の費用がかかっていることを意味します。この極端な数値は、2024年7月の豪雨災害に伴い、同年8月以降バスによる代行輸送を実施している影響が大きく反映されたものです。

ワースト2位には津軽線の中小国~三厩区間が10,649円で続き、3位は飯山線の戸狩野沢温泉~津南区間の10,460円、4位は花輪線の荒屋新町~鹿角花輪区間の10,080円と、上位4区間はすべて10,000円を超えています。

ワースト5位以降は、磐越西線(野沢~津川)の7,505円、只見線(只見~小出)の6,741円、久留里線(久留里~上総亀山)の6,694円、山田線(上米内~宮古)の5,437円と続きます。また、ワースト9位の奥羽本線(新庄~湯沢)(5,399円)、ワースト10位の陸羽西線(新庄~余目)(5,356円)も、豪雨被災や工事に伴う代行輸送の影響が収支に大きく影響しています。

これらの結果は、単に利用者が少ないだけでなく、災害復旧や代行輸送といった巨額の費用が、地方鉄道の経営をいかに圧迫しているかを示しています。

JR東日本「営業係数」ランキング(2024年度)一覧表(1位~71位)

JR東日本の発表データを元に、鉄道チャンネル編集部独自で、営業係数で並べ替えた表を作成しました。

JR東日本「営業係数」ランキング(2024年度)その1

注目点:代行輸送の影響(※印)
特に1位の陸羽東線(鳴子温泉~最上)は、100円の収入に対して22,360円の費用がかかるという極めて厳しい数値となりました。これは、2024年7月の豪雨災害に伴い、2024年8月以降バスによる代行輸送を行っている影響が大きく反映されたものです。
同様に、津軽線(2位)、陸羽西線(10位)、奥羽本線(9位)も豪雨被災や工事に伴う代行輸送を実施しており、その期間の収支が大きく悪化している点に注意が必要です。

JR東日本「営業係数」ランキング(2024年度)その2
JR東日本「営業係数」ランキング(2024年度)その3

※70位にある「羽越本線、羽後本荘~秋田間」は、平均通過人数2000人/日を上回る線区の収支データですが、過去開示をした線区のため、参考として表内に記載しています。

地図で見るとどの路線かわかりやすい!開示線区の利用状況!

開示線区の利用状況2(参考)

JR東日本が開示した経営情報は、地域の生活を支える交通インフラが抱える厳しい現実を改めて浮き彫りにしました。特に、営業係数が数千円に達する区間においては、鉄道事業者の自助努力だけでは存続が極めて困難な状況でだといえます。今後は、地域と鉄道事業者がこの厳しい数値を共有し、鉄道以外のバスやデマンド交通などを含めた、持続可能な「地域交通体系」のあり方について、建設的な議論を進めることが不可欠となるでしょう。
(写真:PIXTA、図:JR東日本、表はJR発表を元に鉄道チャンネルで作成)

鉄道チャンネル編集部
(旅と週末おでかけ!鉄道チャンネル)

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