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薬物療法が基本となる関節リウマチ。免疫力低下などの副作用は大丈夫?

「みんなの介護」ニュース

青島 周一

目次 関節リウマチの症状と発症年齢の変化
さまざまな種類があるリウマチの治療薬
リウマチ治療薬と感染症の副作用
関節リウマチの薬による副作用の対策

関節リウマチは免疫機能の異常によって、関節に痛みや腫れが起こる病気です。進行すると関節が変形したり、上手く動かせなくなったりすることもあります。

日本リウマチ学会の論文によると、国内には約120万人の患者さんがいると推定されています。一般的に50代の女性で発症しやすいと言われていますが、近年では80歳を超えるような高齢者でも発症する方が増えています。

そこで、関節リウマチとその治療法をご紹介し、治療による副作用と対策について紹介します。

関節リウマチの症状と発症年齢の変化

関節リウマチは長い年月を経て徐々に進行していきます。本来はウイルスや細菌などから体を守るために働く免疫の機能が、関節の周囲を取り囲んでいる滑膜(かつまく)に反応してしまうことで、痛みや腫れを引き起こします。炎症が長く続くと、関節周囲の骨が破壊され、関節が変形してしまうこともあります。

また、朝起きたときに関節が動かしにくく感じる「朝のこわばり」という特徴的な症状もあります。

こうした症状は、手足の指や手首の関節に多いですが、肘、肩、膝、足首などに現れることもあります。また、全身の倦怠感、微熱、食欲低下、皮膚のしこり、眼や口の渇き、咳や息切れなど、関節以外の場所で症状が出ることもあります。

関節リウマチの発症は50代の女性に多いと言われています。しかし、近年では、発症する年齢が高くなっていることが報告されています。

日本のリウマチ患者を調査した研究によれば、2002~2003年における関節リウマチの発症年齢は平均55.8歳でしたが、2007年~2008年では平均57.0歳、2012年~2013年では平均59.9歳と、徐々に上昇しています。

その調査では、発症年齢が高齢化している背景には、生活環境の変化も影響しているのではないかとも指摘されています。

さまざまな種類があるリウマチの治療薬

関節リウマチ治療に用いられる一般的な薬

関節リウマチの原因は、免疫機能の異常による炎症です。そのため、免疫の働きを調整したり、炎症を抑えるような薬が治療の中心となります。従来から用いられている主な薬に消炎鎮痛薬、抗リウマチ薬、ステロイド薬があります。

1.消炎鎮痛薬 腰痛などに用いられる一般的な鎮痛薬です。炎症や痛みを抑えることでリウマチの症状を和らげます。その一方、症状を抑えるだけで、関節の破壊を遅らせたり、病状の進行を抑えたりする効果は期待できません。また腎臓の悪い方や、胃腸の病気を治療中の方では副作用が出やすいため注意が必要です。 2.抗リウマチ薬 主に免疫の機能を抑えることでリウマチの症状を緩和します。効果が出るまでに時間がかかるとされていますが、薬の種類によっては関節の破壊や病状の進行を遅らせる効果も期待できます。ただし、長く使用していると、効きが悪くなることもあります。 3.ステロイド薬 免疫の働きや炎症を抑えることでリウマチの症状を和らげます。病状の進行を遅らせる効果も期待できますが、長く使い続けると、糖尿病や高血圧、骨粗鬆症の原因となることもあります。

新しく開発されたリウマチの治療薬

関節リウマチをはじめとした免疫機能の異常や、炎症反応がもたらす病気の発症について、近年ではさまざまなメカニズムが明らかになってきました。

特に、関節の炎症を引き起こしているサイトカインという物質の特徴がわかってきたことで、新しい治療薬が次々と登場しています。近年になって開発されたリウマチ治療薬は、生物学的製剤とヤヌスキナーゼ阻害薬に分けることができます。

生物学的製剤 遺伝子組換え技術や細胞培養技術といったバイオテクノロジーによって生み出された薬です。炎症を引き起こすサイトカインの働きを弱め、リウマチの症状を和らげるとともに、関節の破壊や病状の進行を抑える効果が期待できます。一般的に治療効果が高いといわれていますが、注射剤であること、そして薬の値段が高いといったデメリットがあります。 ヤヌスキナーゼ阻害薬 サイトカインの働きを調整している酵素のヤヌスキナーゼを阻害することで炎症反応を抑え、リウマチの症状を和らげます。飲み薬にも関わらずその効果は生物学的製剤に匹敵すると考えられています。

リウマチ治療薬と感染症の副作用

消炎鎮痛薬を除くリウマチの薬は、過剰になってしまった免疫の働きを抑えることで症状を緩和するため、一般的に感染症に対する抵抗力が弱まると考えられています。

ただ、従来から治療に用いられている抗リウマチ薬やステロイド薬についていえば、感染症の副作用は必ずしも多くはなく、適切な用法で治療されている限り安全性は高いといえます。

もちろん、抗リウマチ薬とステロイド薬を併用する場合などは注意が必要ですが、生物学的製剤やヤヌスキナーゼ阻害薬と比べると、その危険性は低いと言えるかもしれません。

過去に報告された106件の研究を分析した論文によれば、感染症の副作用は、従来のリウマチ薬と比較して生物学的製剤で1.3倍高いことが示されています。特に生物学的製剤の投与量が多い人は、感染症にかかる確率も1.9倍高くなることも報告されています。

生物学的製剤による感染症の副作用については、これまでに報告された70件の研究を分析した論文が報告されています。3万2 504人分の研究データを解析したところ、感染症の副作用は、プラセボ(薬剤成分の入っていない偽薬)治療と比べて、生物学的製剤による治療で1.79倍多いことがわかりました。

この解析結果は、生物学的製剤を582人に投与すると、そのうち1人が感染症を発症することを意味しています。

生物学的製剤とほぼ同等の有効性が期待できるヤヌスキナーゼ阻害薬でも感染症のリスクに注意しなくてはいけません。ただ、過去に報告された21件の研究を分析した論文によれば、プラセボ治療と比べて、感染症の副作用が多くなるということは示されませんでした。

一方で、帯状疱疹の発症を増加させることが複数の研究によって明らかにされています。その頻度はヤヌスキナーゼ阻害薬を服用している患者さん100人当たりで年間3.23人となっており、決して低い値ではないように思います。

関節リウマチの薬による副作用の対策

帯状疱疹は、水ぼうそうと同じウイルスによって発症する皮膚の感染症で、強い痛みを伴うことが特徴です。

感染症が治癒した後も、痛みが長く残ってしまうこともあります。帯状疱疹は、その発症を予防するためのワクチンがあります。リウマチの治療にかかわらず、ワクチン接種をしておくことが推奨されます。

また、免疫の機能は人によって個人差が大きいもの。感染の危険性が低いと報告されている薬であっても、患者さんの病状によっては感染を起こしやすいこともあります。

関節リウマチの治療薬を服用している方では、発熱、倦怠感、咳、のどの痛み、悪寒、痛みやかゆみを伴う赤い発疹や水疱、強い腹痛などの症状に注意が必要です。もし、感染症を疑うような症状が出た場合には、直ちに主治医に相談しましょう。

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