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薬局のオレンジ象、サトちゃんの造形とファッションを観察する

さんたつ

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街の薬局の店頭には、さまざまなキャラクターがいる。以前このコラムでも取り上げたパンダのニーハオシンシン、カエルのケロちゃん、赤いウサギのピョンちゃん……。その中でも最も有名なのが、佐藤製薬のキャラクターであるオレンジの象「サトちゃん」ではないだろうか。

1959年の誕生から店頭に立ち続けるサトちゃん

佐藤製薬のホームぺージ( https://www.satochan-studio.jp/house/album/ )によれば、店頭用ディスプレイとしてサトちゃんが誕生したのが1959年。以降、何度かモデルチェンジを繰り返しながら、現在も店頭に立ち続けている。

現在店頭ではめったにお目にかかれない、1970年登場の「サトちゃん繁栄号」。隣には54歳のピョンちゃんもいた(静岡)。

現在、店頭で主にお目にかかれるのは、1993年登場の「店頭サトちゃん21」、2000年登場の「店頭サトちゃんミレニアム」、2010年登場の「新サトちゃん」あたりである。

「サトちゃん21」は優しめの顔立ち。ここは居酒屋だが、店名が「居酒屋 佐藤」さんと聞けば納得(恵比寿)。
頭部が大きく破損してしまった、りりしい「サトちゃんミレニアム」。遠目には帽子に見える(渋谷)。
緑の目で現代風の顔立ちとなった「新サトちゃん」。帽子に全裸といういでたちではあるが、プラカードでうまいこと隠されている(聖蹟桜ヶ丘)。

たまに、異なる世代のサトちゃんが並んで飾られていることもある。

1996年登場のサトちゃんムーバー、ミレニアムサトちゃん、新サトちゃんと、サトちゃん盛りだくさん(高島平)。

サトちゃんの衣装はさまざま

サトちゃんが他の薬局キャラと少し異なる点、それは「オシャレな服を着ている」ことではないだろうか。どうやら公式のコスチュームもあるらしく、「Sマーク」のついたトレーナーや、ストライプのシャツ姿のサトちゃんは各地で見つけることができる。

赤いトレーナーに黄色のマフラーが印象的なサトちゃん。巾着袋がオシャレのポイントか(新大久保)。
マフラーとズボンを赤で統一していてオシャレ(長野)。

他にもジャケット、シャツなど、サトちゃんはいろいろな衣装を持っている。

青ジャケットにデニムズボン、顎マスクで、こういう格好の人は実際にいそう(荻窪)。
さわやかなグリーンのギンガムチェックシャツ(立川)。

さらに、サトちゃんの妹であるピンクの象「サトコちゃん」と2人(2頭?)で立っている時には、そのオシャレ度も増していく。

それぞれのボディーカラーによく似合うジャケットスタイル(長野)。

先ほどのトレーナーやストライプシャツも、お揃いで着ていればかわいさも倍増だ。

2人いるときは、サトちゃんが青、サトコちゃんが赤のトレーナーを着ることが多いようだ(蒲田)。
サトコちゃんの、髪飾りと同じ濃ピンクのズボンがオシャレ(長野)。

制服風、サンタの格好、カープ帽まで

店舗によって、独自のコスチュームを着ているサトちゃん・サトコちゃんもいる。南大沢で見かけた2人は制服風、小田原の2人はリゾートファッション、渋谷のサトちゃんはワンピースなど、個性豊かなファッションに身を包んでいる。

こちらももしかすると公式コスチュームかもしれない(南大沢)。
どこか湘南っぽさを感じるサトちゃん、サトコちゃんのファッション(小田原)。
一瞬浴衣かと思ったが、近づいてみたらやはりワンピースである(渋谷)。

季節により衣装替えをする店もある。店内に「サトちゃんミュージアム」として多数のサトちゃんグッズを展示している銀座の『清水薬局』では、チェックのシャツやストライプのシャツなど、季節によりサトちゃん・サトコちゃんの衣装が変わり、バラエティに富んだファッションの観察を楽しむことができる。

チェックシャツと緑のベレーがオシャレ上級者の雰囲気(銀座)。
また雰囲気がガラリと変わり、夏らしい細ストライプのコーディネート(銀座)。

そこまで頻繁に衣装替えを行わない店でも、クリスマスの季節になれば、サトちゃんにサンタの格好をさせる店も多い。

定番の赤トレーナーにサンタ帽をかぶれば、クリスマスコーデが完成(川崎)。

また、ご当地愛に満ちたサトちゃんもいる。広島ではカープ帽、カープTシャツを身につけたサトちゃんを見ることができた。

カープ帽もTシャツも手作りと思われ、熱量の高さがうかがえる。裸であることが多いケロちゃんもカープ仕様(広島)。

あなたの街のサトちゃんは、どのような服を着ているだろうか。まだ見ぬ奇抜なファッションのサトちゃんを探して、各地を巡ってみたいものだ。

イラスト・文・写真=オギリマサホ

オギリマサホ
イラストレータ―
1976年東京生まれ。シュールな人物画を中心に雑誌や書籍で活動する。趣味は特に目的を定めない街歩き。著書に『半径3メートルの倫理』(産業編集センター)、『斜め下からカープ論』(文春文庫)。

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