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波を作れても、うねりにならない。キングスが一度もリードを奪えず連勝ストップ…要所での「オフェンス停滞」を打破する鍵は?

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強度の高いディフェンスが持ち味の小野寺祥太主将©琉球ゴールデンキングス
開幕から試行錯誤が続くキングスのメンバー=10月12日、沖縄サントリーアリーナ(長嶺真輝撮影)

プロバスケットボールBリーグ1部(B1)西地区の琉球ゴールデンキングスは10月15日、滋賀ダイハツアリーナで2勝2敗同士である同地区の滋賀レイクスと今季5戦目を行い、86-92で敗れた。 開幕節で2連敗した後、ホームのアルバルク東京戦ではディフェンスで我慢する“らしさ”を取り戻して2連勝し、復調の兆しを見せた。が、早くも連勝ストップ。通算成績は2勝3敗となり、再び借金生活に戻った。 滋賀戦ではディフェンスで流れを引き寄せる時間帯こそあれど、40分間を通じて一度もリードを奪えず。86点というスコアは決して少なくはないが、追い上げる度に要所でのターンオーバーが相次ぎ、逆転に至ることができなかった。 開幕からチームを悩ませているオフェンスの課題を克服できない状況が続く。

「出だし」でセカンドチャンスポイント許す

ディフェンスでの貢献が目立つ松脇圭志=10月15日、滋賀ダイハツアリーナ©琉球ゴールデンキングス

試合後の記者会見、桶谷大HCが開口一番で敗因に挙げたのが「出だし」の出来だ。リバウンドからセカンドチャンスポイントをたびたび許し、第1クオーター(Q)で15-26と二桁点差をつけられた。 「本来は自分たちがファーストパンチを食らわさないといけないのに、連勝中のチームに対してアウェーでこういう入り方をしたら相手を乗せてしまいます。そういう展開に自分たちが持っていってしまったことが全てかなと思います」 第2Q序盤にはこの試合最大となる13点差までリードを広げられたが、ヴィック・ローの連続得点などでじわじわと追い上げる。このクオーター終盤には2点差まで詰め寄った。 しかし、そこからケヴェ・アルマがラインクロスをしたり、速攻で岸本隆一から小野寺祥太へのパスが通らずにイージーポイントのチャンスを逸したりして、逆に6点差に広げられて前半を折り返した。

要所でのターンオーバーで流れ断絶

滋賀戦でゲームハイの25得点を挙げたヴィック・ロー©琉球ゴールデンキングス

この場面のように、自分たちのターンオーバーやシュートミスでいい流れを断絶してしまう場面は後半でも見られた。 第4Qではアレックス・カークがゴール下で立て続けに得点を決め、一時は1点差まで追い上げたが、荒川颯の3ポイントシュートやローの速攻からのレイアップシュートがリングを捉え切れず。その間に素早いトランジションやルーズボールから連続3ポイントシュートで突き放された。 波を作れても、うねりにならない。指揮官も勝負所でのターンオーバーに対して課題感を口にした。 「いい時間帯で『あ、追い付くぞ』というところでターンオーバーが起き、ボールムーブメントがなくなってしまう。そこから簡単なファストブレイクポイントを取られたりしてしまいました。追い付けそうな時に自分たちの自滅で主導権をあげてしまう展開になりました」 最大の武器であるリバウンドでも42本対43本と互角の勝負に持ち込まれ、競り負けた。

いかに人とボールが動いて“ズレ”を作るか

キングスをけん引する桶谷大HC©琉球ゴールデンキングス

指揮官の言葉にあったボールムーブメントの停滞は、アシスト数が今シーズン最少の11本にとどまったことからもうかがえる。前節のA東京との連戦でもボールと人の連動性が低下して得点が伸び悩む時間帯があり、追い上げられる要因になっていた。 滋賀戦後、キャプテンの一人を務める小野寺は「出だしから僕たちのやりたいオフェンスが潰されていたと感じます。悪い流れの時にルーズボールを奪うことやボールムーブの部分がしっかりできていなかったので、そこが敗因かなと思います。点数が入っていればいいという話ではなく、チームとしてどういうオフェンスを作るかが大切になってくるので、しっかり修正したいです」と語った。 チーム全体として、今季はシュート精度に苦しんでいる面もある。 フィールドゴール成功率はここまでの5試合中3試合で40%を割り込んだ。昨シーズンは平均45.2%だったため、いかに低い確率かが分かる。中でも、チームの得点力を下支えする2ポイントシュートの成功率(昨シーズンは平均52.8%)が40%台に低迷した試合が3試合あり、接戦を勝ち切れない要因の一つとなっている。 ボールと人が動きながら、いかに相手ディフェンスのズレを作れるか——。シュート成功率を上げる上でポイントの一つになるだろう。

アウェー秋田戦へ、小野寺主将「チームで打開したい」

強度の高いディフェンスが持ち味の小野寺祥太主将©琉球ゴールデンキングス

ズレを作るためには、ピックプレー(スクリーンでディフェンダーの進路を塞ぐこと)以外にもオフボールスクリーンやカッティング、ビッグマンにパスしてそのままハンドオフでボールをもらいに行くゲットアクションなど様々な方法がある。 A東京との2戦目では、追い上げられた第4Q中盤、ミスマッチが起きたアルマが相手ディフェンダーを背にしながら縦に切れ込んだ瞬間に松脇圭志がパスを入れてレイアップシュートを決めた場面があった。直後の攻撃でもオフボールでアルマにスクリーンをかけたカークがスリップしてリング方向へ飛び込み、ローからフリーでパスを受けてダンクシュートを決めた。 いずれも人の動きに引っ張られるようにボールが動き、イージースコアを演出していた。この試合の後の記者会見、桶谷HCは「ボールムーブメントをしないでタフショットを打つ時間帯も多かった」と語った一方で、「いいスリップが二回くらいありました。ボールが回らなかった時にああいうプレーができたらいいなと思います」と振り返っていた。 10月18、19の両日には、高いプレッシャー強度で昨季の平均スティール数がリーグ最多だった秋田ノーザンハピネッツとアウェーで対戦する。古巣との対戦となる小野寺は「秋田はディフェンスが強いチームなので、そこをどう打開するか。個で打開するのではなくて、チームでしっかり打開して、いいバスケットができればと思っています」と見通した。 次節で不安定なオフェンスを立て直すことができるか。注目だ。

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