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渓流エサ釣りで使用する延べ竿(ノベザオ)の選び方 【長さ・調子・スペック】を詳しく解説

TSURINEWS

渓流釣りでキャッチ(提供:TSURINEWSライター荻野祐樹)

全国各地から、渓流釣り解禁の声が聞こえ始めた。あらゆる河川で解禁となる3月に備え、渓流竿の購入を検討している方も多いのではないだろうか。今回は、渓流餌釣りで使用する延べ竿の選び方についてみていこう。1本目は勿論、2本目以降を選ぶ際の参考にしてほしい。

渓流竿を選ぶ際のポイント

ではまず、著者が渓流餌釣りで使用する竿(以下渓流竿と表記)を選ぶ際に注目しているポイントを紹介しよう。

長さ

まずは竿そのものの長さ。渓流竿は、短いものは2.5m~3m程度、長いものになると10mクラスも存在する。この10mクラスの竿は「本流」と呼ばれる川幅が広い場所で使用するのが一般的なので、通常の「渓流」と呼ばれるフィールドで使用するのは4m~6m程度が多い。

調子

渓流竿として使用される延べ竿には、竿の硬さ(曲がり具合)を表す「調子」という言葉が存在する。メーカーによって多少表記は異なるが、柔らかい方から順に、軟調<中硬調<硬中硬<硬調<超硬調(硬硬調)という風に表記され、硬くなるにつれ先調子の様相が強くなっていく。調子は、自身が目指す釣り方・スタイルによって選びたいところだ。

スペック

ここで表記する「スペック」とは、竿本体の軽さ、製品やメーカー毎の特長・特色、穂先トップの種類、製品価格などが該当する。当然高性能な物ほど軽さや頑健さ・感度を追求しており高級になっていくので、この辺りは購入時のフトコロ事情と相談してほしい。

ハードケースが付属する竿もある(提供:TSURINEWSライター荻野祐樹)

竿の長さとズーム機構

ではここから、先に挙げたポイントについて一つずつフォーカスしていこう。今回は、仕掛け全長が1m程度になる「チョウチン釣り」は加味しておらず、スタンダードな渓流餌釣りとして考えている。

竿の長さの考え方

まずは、自身がメインフィールドとする河川の川幅をある程度把握しておきたい。渓流釣りでは、竿の長さ+-20cm程度で仕掛けを組む事が多いため、目安は「竿全長の倍程度の川幅までならある程度対応可能」と考えてよい。川幅が10mなら5m~6m程度、6~7mの場所なら4m程度の竿が扱いやすいだろう。川幅に適した長さをチョイスしてほしい。

川幅を考慮(提供:TSURINEWSライター荻野祐樹)

支流では

頭上に木が張り出しているような場所ならば、その木の高さも計算に入れておくと良い。立ち上がった成人男性が上に向かって腕を伸ばすと平均到達点は2m前後なので、そこに竿の長さが加わる……といった具合だ。実際には、体を伸ばして竿尻を持つ・体を屈めで竿のやや上部を持つ……といった対応で、1m程度前後することも加筆しておきたい。

取り込み時を考えておく(提供:TSURINEWSライター荻野祐樹)

ズーム機構を利用

渓流竿の多くは2段階・3段階に長さを調整できるズーム機構を搭載しているタイプが多い。メーカーによっては7段階調整が可能な製品もある。これらズームを活用することで、川幅がコロコロ変わる場所であっても1m程度竿の長さに幅を持たせることが出来る。購入の際は是非参考にしてほしい。

本流は別世界

川幅が20mを超す本流は別世界と言える。護岸化によって両岸から狙えない場所も多いだろう。こういった場所は流れの強さ、深さ、立ち位置、狙い方、対象魚のサイズ等が大きく変わるので、自身が安全かつ問題なく扱える長さの上限を知ってから挑むと良い。参考までに本流師の方々は、9mクラスの長尺竿(本流竿)を駆使している。

竿の調子

長さが決まったら、次に考えるべきは竿の調子だ。詳しくみていこう。

軟調~硬中硬

胴調子に該当する軟調竿は、よりナチュラルに流して違和感なく食い込ませる釣りに特化している。竿が柔らかくクッション性が高い為、1ランク細いラインを扱えるのも大きなメリットだ。これらはスレた渓魚達に抜群の効果を発揮する反面、竿が柔らかい分、振り込み時の竿のコントロールやアワセの入れ方・タイミングは難しくなると言えるだろう。

硬調~超硬調

先調子気味になる硬調竿は、竿本体をある程度操作して自身が意図した流し方を演出し、竿の反発を利用した手首の返しのみで、素早くフッキングさせることが可能だ。これは場を荒らさず素早く抜き上げたい時などに重宝する。その反面、魚がエサを咥えた際に違和感を感じさせないような工夫が必要となる。竿がしなると取り込みが難しくなるような源流部では、9:1の先調子を使用する方もいる。

困ったら硬調を

一般的な渓流竿の調子とされている7:3(~8:2)を体現しているのが「硬調」だ。これはある程度の柔らかさ・しなりがありつつ、胴が強いのでアワセも決まりやすい。最初の1本に困ったら硬調を選んでおくと失敗が無い。

1本目は硬調がオススメ(提供:TSURINEWSライター荻野祐樹)

注視したいスペック

最後はスペックだ。お気に入りのメーカーがあったり先進技術に詳しい場合は特に迷うことはないだろうが、「竿の値段が上がるとどうなるのか」をみていこう。

長尺でも軽量

長い竿になればなるほど、その重量は増していく。6mクラスなら130g~150gが一般的だが、この重さであっても伸ばし切った竿を片腕で振るのは結構な重労働。一方、高級竿はズームがあっても6mクラスで110g~120g程度。竿を伸ばした際には風の抵抗も手元に乗ってくるため、この数十グラムの違いはとんでもなく大きい。

竿本体の重さは大変重要(提供:TSURINEWSライター荻野祐樹)

渓流釣りは1日に何度も竿を振る事になるため、軽い竿はやはり魅力的だ。ただし、軽い竿は非常に繊細なので、扱いには注意したい。

穂先の素材

安価な物はトップがリリアン直結となっており、穂先が回転しないため糸絡みが多い。

リリアン直結タイプ(提供:TSURINEWSライター荻野祐樹)

すこし値が上がるとリリアン+回転トップとなり、糸絡みが激減する。

リリアン+回転トップタイプ(提供:TSURINEWSライター荻野祐樹)

高級モデルになると穂先部が金属質な回転素材になり、手元への感度が劇的にアップする。

こちらが高級モデルのトップ(提供:TSURINEWSライター荻野祐樹)

メーカーによる特色

その他、各メーカーが創意工夫を凝らした製品を取り扱っている。振り込み時の穂先のネジレを軽減させたり、独自の「調子」を打ち出しているメーカーもある。

また、材質の違う穂先が2タイプついてくる物や、極端に穂先部が短いものもある。この辺りは好みの部分が大きいが、慎重に選んでみてほしい。

釣り方やポイントに合わせて選ぼう

以上の事から、著者が1本目にオススメしたいのが、初心者でも(釣りやすい支流で)扱いやすい3WAYズーム機構が搭載された5~6mの硬調竿だ。予算が許すなら回転トップタイプが望ましい。

2本目以降は通うフィールドにもよるが、より狭い川を訪れるなら3.4~5mの硬調竿、川幅が広い場所に行くなら6~7mのやや柔らか目を用意すると良いだろう。調子は変えず長さ違いを用意するのもオススメだ。

いずれにせよ、タイプや長さ、釣り方を追求していくとどんどん新しい竿が欲しくなるのが釣り人の性。家族やフトコロ事情と相談し、楽しい渓流ライフを送ってほしい。

<荻野祐樹/TSURINEWSライター>

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