「光の画家」に没入する26分 ― 「モネ イマーシブ・ジャーニー 僕が見た光」(読者レポート)
名古屋市の金山南ビル美術館棟(旧名古屋ボストン美術館)で、「モネ イマーシブ・ジャーニー 僕が見た光」展が始まりました。本展は絵画の展覧会ではなく、印象派を代表する画家のひとり、クロード・モネの見た19世紀末フランス各地の景色を追体験するデジタルアート(映像)の展覧会です。昨年7月から、角川武蔵野ミュージアムで開催された人気の展覧会が、ようやく名古屋初上陸となりました。
駅前広場の看板
映像以外に、第1回印象派展から第8回印象派展までの印象派を代表する作品の一部も、原寸大レプリカで展示されています。また、モネの「睡蓮の池」をイメージしたフォトスポットもあり、普段の展覧会とは違った楽しみ方ができます。それでは順番に、展示を見ていきましょう。
「印象」の世界を体験する
本展の映像は、ジャンフランコ・イアヌッツィ氏と角川武蔵野ミュージアムが完全新作として制作し、ワールドプレミア作品として日本から世界に向けて発信するものです。 映像は15章で構成され、モネ、ルノワール、ドガ等の作品が、音楽と共に壁面360度に映し出されます。会場入口にQRコードによる音声ガイドも用意されていますが、最初は音声ガイドなしで鑑賞することをおすすめします。
展示風景
映像は印象派の名前の由来になった≪印象 日の出≫から始まり、パリの街並みや、人々の生活の様子が次々と壁面に展開されます。床にも映像が投影され、来場者の衣服が様々な色に変わり、とてもおもしろいです。その床には大きなクッションが置かれ、「歩き、立ち止まり、時には座り」作品を楽しむことができます。作品の上映時間は約26分、30分ごとに繰り返し上映されます。ただし、動画撮影、フラッシュ撮影、自撮り棒などは禁止となっているので、注意しましょう。
展示風景
フォトスポットと印象派の画家たち
モネが晩年を過ごし、「睡蓮」の連作を制作したジヴェルニーの「睡蓮の池」をイメージしたスペースには太鼓橋も再現されています。白い日傘を借りられるので、思い思いのポーズで写真撮影を楽しめます。
フォトスポット
展示の後半では、印象派に関する解説資料を見ることができます。展示されている絵画や浮世絵はレプリカですが、そのキャプションには作家名、作品名、制作年、所蔵先名が表示され、本物そっくりに作られています。
展示風景
印象派展の説明パネルに、その回の参加作家数と出品作品数が記載されています。それを読むと、一人当たり、かなり多くの点数の作品を制作・出品していたことがわかります。また、作家間の人間関係も読み取れて、おもしろいです。
展示風景
おわりに
さて、モネは風景や人物など、様々な対象を描きましたが、それらの作品に共通するテーマは何でしょう。その答えは、皆さんが会場で探してください。 もうひとつ、会場のパネルに「本展には正しい鑑賞方法はありません。」と説明があります。皆さん、それぞれの鑑賞スタイルで「イマーシブ」(没入感のある)な展示を楽しみましょう。
[ 取材・撮影・文:ひろ.すぎやま / 2025年4月8日 ]
Design and creative direction: GIANFRANCO IANNUZZI
Multimedia content production: KARMACHINA.
©角川武蔵野ミュージアム