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大盛況の “TOWER VINYL” にレコードを売る意義は?あなたの宝物を次世代の音楽ファンに!

Re:minder

2021年09月23日 TOWER VINYL SHIBUYA オープン日 

大盛況の「TOWER VINYL SHIBUYA」


タワーレコード渋谷店はボーダレスな音楽のテーマパークのような空間だ。エントランスにはMrs.GREEN APPLEやK-POPのディスプレイがあり、アニメキャラのパネルも置かれている。エスカレーターを上がっていくとオアシスのビジュアルが目に入り、廊下には小泉今日子や小田和正のポスターが並んでいるーー。そしていま、その6階にあるレコード専門ショップ『TOWER VINYL SHIBUYA』(タワー・ヴァイナル・シブヤ) が活況を呈している。

そう、配信によるサブスクリプションサービス全盛時代にアナログレコードの新たな波が起きているのだ。なかでも注目すべきは、同店がレコードの買取を積極的に進めていること。そして、買い取ったレコードは中古盤として店頭に並ぶやいなや、飛ぶように売れていく。まさに、レコードを所有する人にとっては、いまが絶好の売り時と言えそうだ。その最新事情を探るべく、タワーレコード株式会社 店舗事業本部 リユース事業部 部長・渡辺能文さん、同事業部の中谷哲さんに詳しいお話を伺った。

タワレコのレコード販売が爆発的人気に


── タワーレコードがアナログ盤の取扱いに力を入れるようになった経緯を教えてください。

渡辺能文さん(以下:渡辺):デジタル配信サービスの盛り上がりと共に、アナログへの需要が高まり、新譜であってもレコードで発売されることが増えていきました。一方で、“昔の音源をレコードで聴きたい” というお客様のニーズが高まっていることも実感していました。そこで、そういったニーズに対応するため、中古レコードを取り扱うことになり、2019年3月に新宿店のショップ・イン・ショップとして『TOWER VINYL』をオープンさせました。

その後、2021年9月に『TOWER VINYL』を渋谷店内に移転し、2024年2月末にはさらにフロアを拡大しました。また、2024年3月には大阪・梅田のNU茶屋町に『TOWER VINYL 梅田店』をオープンさせました。梅田店はショップ・イン・ショップではなく、初の独立店舗です。

── 新宿にオープンするまでは、“アナログレコードはマニアのもの” というイメージでしたが、今はかなり一般化したという認識でよろしいですか?

渡辺:おっしゃる通りだと思います。今は、音楽好きな人が様々なフォーマットで聴くようになったという実感があります。もちろん、サブスクで聴く方も多い一方で、レコードで聴く方も増えていますね。

中谷哲さん(以下:中谷):年齢層が広がり、若い方が増えてきました。レコードで音楽を聴くことが、マニアックな世界ではなくなってきているのは確かですね。

── 差し支えなければ、『TOWER VINYL』の絶好調ぶりを、数字で教えていただけますか?

渡辺:そうですね。弊社基準での2025年度上期(3月〜8月)、『TOWER VINYL』渋谷店は前年比130%以上で、中古に限定すれば前年比150%でした。梅田店の上期は180%以上、中古だけなら230%という数字です。梅田店の急成長は、大阪・関西万博の影響でインバウンドが増えたことも大きいです。

── 特に中古売上が伸びていて、インバウンド需要が高いのですね。確かに渋谷店も、店内を眺めると外国からのお客様が大変多いです。どの国・地域の方が多いでしょうか?

渡辺:タワーレコード渋谷店全体では中国をはじめ、東アジアの方が多いです。ただし、『TOWER VINYL』に限れば、欧米の方も多く、特にここ最近はアメリカのお客様が増えています。必ずしも音楽マニアやレコードコレクターといった雰囲気ではない方も多くいらっしゃいます。

世界の熱気と日本のレコード流通事情


── そうしたグローバルなレコード人気の高まりには、どのような背景があるとお考えですか?

渡辺:レコード文化を知らない世代の人たちにとって、自分で針を落として音楽を聴くという、未知のカルチャーに魅力を感じた人が多かったのだと思います。2010年代にアメリカでアナログ盤が流行し始めた頃には、ミュージックビデオや映画のワンシーンでレコードがさりげなく描かれるようになっていきました。その後、InstagramやTikTokなどSNSでも、レコードショップで撮影したような写真や動画が増えていきました。レコードショップが映える場所として認知され、レコードで音楽を聴くことにカッコよさを感じる人が増えたというのもあると思います。

── 日本独自の理由もあるのでは?

渡辺:日本は今でもCDが売れる国ですから、ショップがいまだに残っていて、レコードが流通する場があることが大きいと思います。また、海外の流れを追うように、日本でもメジャーなアーティストがアナログレコードを出すケースが増えて、そうしたものを求める人が増えたということでしょうね。

── 世界的にレコードが流行っているということは、各国でレコードが流通しているはずです。そのなかで、日本の渋谷や梅田にある『TOWER VINYL』にインバウンドが多いのは、どんな理由だと思われますか?

渡辺:円安の影響はもちろんありますが、新品から中古までこれだけの品揃えがある大型店は珍しいということでしょうね。また、海外での日本の音楽の認知度が上がって、日本のアーティストのレコードを買いに来る方もいらっしゃいます。

また、90年代以降、CDが主流となるなかで世界的にアナログレコードの新譜は扱いが少なくなっていたのですが、日本はDJ人気もあってか、海外の正規盤が数多く流れてきていたんです。つまり、自分の国では当時手に入れにくかったものが日本にはあるという状況もあるようです。

── 新品、中古併せて、在庫数とジャンルの内訳について教えてください。

渡辺:フロアを拡張した2024年2月末の時点で在庫は10万枚で、新品が6割、中古が4割という比率です。ジャンルでいえば、洋楽ロックが4割、ソウルとジャズが3割、邦楽が3割といったところですね。

── 在庫は新品の方が割合が高いのですね。

渡辺:新品で出たものは極力入荷するようにしているので種類が豊富なのもありますが、たとえば、テイラー・スウィフトのような人気アーティストになると『TOWER VINYL』ではアナログ盤も大量に仕入れています。

── その一方で、中古盤も飛ぶように売れていますね。

渡辺:サブスクの時代になって、古いか新しいかは関係なく、自分の感覚にフィットする音楽を自由に聴ける環境になりました。うちには “角松敏生さんが一番好きだ” という20代のスタッフがいます。新進気鋭の若いアーティストよりも、角松さんの音楽のほうがいいって言うんですよね。それを最もいい形で聴くならアナログだと。そういう感覚なんです。

中谷:レコードにはアート的な価値もありますね。ジャケ買いというか、レコードプレーヤーを持っていなくても、レコードを買って飾っている方がいらっしゃいます。音だけではなく、ジャケットから想像してその世界をふくらませる。たとえば、ジャケットに写っている服に注目して掘り下げるとか。レコードにはいろんな要素が含まれているので、まったくレコードに触れてこなかった若い方が、その場のノリで買ったりします。入り方はいろいろですね。

TOWER VINYLだからできる適正な査定



── さて、ここからが本題です。アナログレコードの買取について詳しく聞かせてください。1枚1枚を丁寧に査定されていると聞きました。具体的に査定はどのように行うのですか?

中谷:検品をして、そのレコードの今の相場を調べたり、在庫の状況を確認したりします。そのうえで、まず売価を決め、次に買取価格を算出します。

── 売価を決めるのが先なのですね。今、レコードを売りたいという方はどんな層ですか?

中谷:幅は広いのですが、お店に売りに来るのは30〜40代が多いですね。若い方でも “買ってはみたけど、あまり好きじゃなかったので手放す” というケースもあります。宅配買取の場合は、当時リアルタイムでレコードを聴いていた世代が主流で、大量のレコードを何とかしたいけど、お店に持っていくのが大変で… なんて方たちが多いですね。

── “売ってみたいけど、これ売れるのかな?” と疑問に思っている方も少なくないと思います。そのあたりを詳しく教えてください。まずは状態から。ジャケットの角が少し丸っこくなっている、帯や歌詞カードが折れている、中の半透明のビニールがシワになっている、盤面に微妙な傷がついている。何らかのネガティブ要素があるとNGでしょうか?

中谷:国内盤では、レコードそのものより帯のほうが高いというケースがあります。これはかなり極端な例ですが、帯が50万円で、盤が1,000円ということもありました。

── 50万円!帯をぞんざいに扱っていた遠い過去を後悔している人もいるでしょう。

中谷: “帯を中心で見る” と言っても過言ではないほどで、盤に多少傷があっても、あまり査定に関係ないこともあります。そうした完全にコレクターの世界もありますし、盤に傷があっても、重要度が低い曲だったら、そんなにマイナス査定にならないこともある。一概には言えないんです。ですから、多少の傷や汚れなら諦めずに持ってきていただきたいですね。

渡辺:買う人によって重視する点は違うんです。DJの方なら “ジャケットがボロボロでも盤が使えればOK" ですよね。売りたい方はまずは査定に出すことをおすすめします。

今こそがレコードの売り時である


── 次に、ジャンルやバージョンについて教えてください。洋楽の場合、輸入盤と日本盤の価値の違いはあるものですか?

中谷:日本の方はオリジナル盤、初回プレスを求める傾向が強いですね。逆に海外の方は帯がついている日本盤に価値を感じている。帯は欧米のレコードにはありませんから。

── ちなみに、帯がきれいだとしても、例えばマイケル・ジャクソンの『スリラー』のような大ヒットアルバムは、数が多いので買い取ってもらえないということはありますか?

渡辺:そもそもが優れたアルバムですし、売れたレコードにはニーズがありますので、買い取れないということはありません。逆に、世界最大流通枚数を誇る『スリラー』ですら、今は高値が付くほどに需要が高まっているんです。

── 逆にB級アイドルとか、知る人ぞ知るインディーズバンドとか、マイナー過ぎる、マニアック過ぎるアーティストのレコードはいかがでしょう?

渡辺:そうした枚数が少ないものでも、求めているマニアの方がいるんですよ。だから、ものすごく高くなることがあるんです。アイドルでも、本人の人気があるかないかだけではなく、誰がアレンジをしているとか、誰がプロデュースをしているとか、そうした付加価値もあります。それによって人気の盤が出てきたりしますね。

── サウンドトラックやアニメの企画盤などは?

渡辺:サントラは人気があります。『ブルース・ブラザーズ』や『フットルース』『トップガン』など、もともとサントラとして人気が高かったものは流通数が多いので、買取で入ってくる確率も高いですが、確実に売れますよね。

中谷:サントラといっても、それは音楽のジャンルではありませんからね。映画音楽はクラシックもジャズもロックもあります。全ジャンル対応ですよね。

渡辺:アニメ関連も人気です。先日も海外からいらして、『うる星やつら』のサントラをまとめ買いされた方がいらっしゃいました。

── お店では、歌謡曲のなかでも、演歌のボリュームはさほど大きくない印象です。

中谷:現状ではそうかもしれませんが、“新しいジャンルを開拓しよう” みたいな流れが出てくる可能性もありますから、取り扱いをしない、買い取らないということはないですね。

渡辺:どこから火が付くかわからないですからね。サンプリングをきっかけに、人気が出ることがあるんですよ。海外アーティストが日本の歌謡曲をサンプリングするとか、そうしたことがあると、一気にネタ元として人気が上がるので。また、サンプリングする側からしても、いかに他人が使っていない面白いものを見つけてくるかというのがありますし。

── そのほか、サンプリングに関係なく、査定額が上がりがちなレコードというのはどんなものですか?

中谷:CDとの切り替え時期だった1990年前後のレコードですね。枚数が少ないので、そのあたりのアナログ盤は価値が飛び抜けています。

── もう一点、買取について気になるのがシングルレコードの扱いです。店内にはシングルのコーナーもありますが、安いものでは110円で販売されています。シングルはあまり価値がないということですか?

渡辺:そんなことは全くありません。モノによってはアルバムより高いこともありますよ。リリース時に売れたかどうかは問わず、のちに再評価されたようなものは高くなります。ですから、今はシティポップものの需要が大きいです。

── こうしてレコードの人気が高まっている今がレコードの “売り時” だと考えてよろしいですか?

渡辺:それは間違いないですね。アメリカではレコードの販売枚数が3年連続でCDを上回っていて、レコードの需要はどんどん高まっています。

思い入れのあるレコードを未来に託す価値


── レコード需要の高まりを受けて、同業他社さんも参入して、さらには古物商的な業者さんも中古レコードを扱うようになっています。その状況で、タワーレコードに大切なレコードを売る意義について伺います。何より、渋谷店全体の賑わいがその裏打ちになっているとも思いますが。

渡辺:コロナ禍を経て、リアルに体験することの価値が増した感じがします。今はライブも活況ですし、会場に行くと以前よりも物販コーナーが賑わっています。アーティストのTシャツを着てライブを楽しむという体験を皆さんが満喫しています。そうした時代に、タワーレコード渋谷店は “世界最大級のミュージックストア” として、サブスクでは味わえない体験ができるから賑わっているように思います。

── 具体的にはどんなことでしょう?

渡辺:多様なジャンルの音楽を集約し、そのなかからピックアップしたCDやレコードを購入してもらうということが第一ですが、ディスプレイ、イベント、特典物など、リアルでしか得られない価値を作ることにも力を入れています。例えば、ディスプレイの前で写真を撮ってもらえるようにするなど、ファンが集まる場所、いわば “推し活の聖地” みたいな。もちろん、スタッフがレコメンドするタワーレコードならではのスタイルも大切にしています。

── “タワーレコード渋谷店でアーティストのイベントが行われた” というニュースに接する機会が多い気がします。

渡辺:はい、ありがとうございます。最近だと、ビヨンセやビリー・アイリッシュといった、海外の超VIPアーティストも来てくれました。アーティストサイドにとってもファンとの交流の場として、貴重な体験になっているようです。

── アーティストから信頼されるタワーレコードのブランドがあるからこそ、レコードを誠実に買い取ってくれるということですね。

渡辺:お店が賑わっていて、レコードがほしいという方がいらっしゃる。だから、我々も買取を強化し、品揃えを切らさないように頑張っています。安く買い取ろうとすると “他に売ったほうがいい” となるので、皆さんにご納得いただける査定を心がけています。

── “安心してレコードを売れる” という体験も提供していると。

渡辺:うちはその名の通り、レコードを販売して音楽を伝えていくことがビジネスです。レコードを大切に保管していた方も多いと思いますが、その宝物を、次の世代の音楽ファンにしっかりと託すことができます。そこに価値を感じていただけましたら、ぜひ、タワーレコードにお売りいただきたいです。レコードだけではなく、中古のミュージックテープも買い取っています。

中谷:かつて、タワーレコードでレコードを買った体験をされている方に、時間を経て、そのレコードを売っていただく。それを私たちが販売して、未来につないでいく。それができるのはとても嬉しいことだと思っています。

── レコードの買取を検討中で、まだ『TOWER VINYL』を体験していない人は、可能ならば渋谷と梅田にある店舗に足を運んでみてほしい。また、持ち込みが難しいほどのコレクションがある人、あるいは渋谷や梅田まで行きづらい人なら、送料無料の宅配買取システムを活用しよう。自宅から申し込み、段ボールに詰めて送るだけで手続きは完了。思い立ったその日が、ベストのタイミングだ!

TOWER VINYL
レコード・CD買取サービス
https://tower.jp/kaitori

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