サトウキビ畑を復活させ世界に誇るラム造りBOSO Rhum(房総ラム)【南房総市】
南房総市の気候と風土から生まれた房総半島発のラムに注目です。
「房総ラム」の始まりは飲み屋での話から
冬でも花摘みが楽しめる温暖な地、南房総市。その気候と風土を利用してサトウキビ栽培が行われていたのは戦後から昭和50年代にかけて。その後は時代と共に衰退していき、サトウキビ畑は姿を消していきました。そんなサトウキビ栽培を復活させ、それを原料にした房総半島発のラム酒「房総ラム」が南房総市千倉町で造られています。手掛けるのは、ペナシュール房総株式会社の代表・青木大成さん。
房総ラムの誕生は「飲み屋の席での話から」と青木さん。現在ともに働く仲間2人とラム酒造りについて話していたことが地元で広がり、事業として本格的に動き出したのは2021年。1年後には古民家を改装した「房総大井倉蒸溜所」が開設され、ラム製造から熟成までをワンストップで行っています。
糖度の高い良質なサトウキビが育つ地
現在ここで造られているラムは3種類。サトウキビの搾り汁をそのまま使用し、発酵・蒸留して造られる希少なアグリコールラム「BOSO Rhum Agricole blanc Soleil-太陽-」、日本独自の製法による特別な糖蜜/モラセス(サトウキビから砂糖を作る際にできる副産物)を使用して造られるトラディショナルラム「BOSO Rhum blanc Fleur-花-」と「BOSO Rhum Fleur-花-Contient de la melasse」です。「冬でも霜が降りない、ちょうど良い寒暖差のある土地だからこそ糖度の高い良質なサトウキビが育ち、それが結果的に特徴のあるラム造りにつながっています」。
ラムと一口に言っても国によって特徴があるそうで「イギリスの植民地系のラムはRUM、フランス系だとRHUM、スペインはRONと呼び方が違います。さらに、イギリスはウイスキー、フランスはブランデー、スペインはシェリーと蒸留技術も異なります」。サトウキビを栽培し、それをそのままラムに生かす、というストーリーが青木さんの中にあったことから、フランスのカルチャーから生まれたアグリコールラムをフラッグシップに、表記も「RHUM」とし、フランスの海外県であるカリブ諸島のようなラム造りを行っています。
海外も視野に入れ、地域での連携も拡大
国際的な酒類コンペティションの審査員から「日本で初めて世界に通用するラムができた」と称賛を受けたアグリコールラム。青木さんは「世界にも誇れるクオリティの高さです。今後はそれをより高めていく…といってもどうしたら高まっていくか分からないんですけど(笑)、そこをみんなで話しながら模索していくのが面白いですね」。今後は海外市場も視野に入れつつ「地元のレストランや飲食店などでライトに飲む地元のお酒として、またラム酒を使った房総半島ならではのスイーツなど、地域商品としての連携も広げていきたいです」と展望を語ってくれました。新商品の開発や体験コンテンツの企画・運営など、南房総に根付くサトウキビを介してさまざまな展開を考えているという青木さん。その原動力は「生まれ育ったこの地で、地元の人たちと関わりながら造れることが一番の支えです」と笑顔で話してくれました。
アグリコールラムの次の入荷は来年夏ごろ。「サトウキビの出来によって味わいも違うので、そういったクラフト感も楽しんでいただけると嬉しいです」
房総大井倉蒸溜所/ペナシュール房総株式会社住所/千葉県南房総市千倉町南朝夷1019 ホームページ/https://rhumboso.com/ Instagram/@rhumboso X(旧Twitter)/@RhumBOSO ※房総ラムに関するお問い合わせはHP内のお問い合わせフォームから