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流山さんぽのおすすめ8スポット。そこはきらめくアーバンカントリー

さんたつ

【散歩の達人】流山さんぽ_0

つくばエクスプレス開通前の流山を知る筆者としては、ここ10年ほどの圧倒的進化に現実味がない。しかし、そこで営んでいる人々の懐っこさときたら、まるで農村のように牧歌的。半分都会で、半分田舎。そんな“ちょうどよすぎる街”に引き込まれていく。

扉の奥で、甘~い宝石たちが待っている『菓子ヒトトキ』

小夏のタルト680円、レモンのショートケーキ565円、ガトーショコラ740円。
「焼き菓子詰め合わせもおすすめです」。

薄茶の壁面に木の引き戸。ガラリと開ければ、煌(きら)めくショーケースに目を奪われる。「旬の食材を使っていて」と、店主の谷口伸吾さん。この日は小夏のタルトやレモンのショートケーキといった柑橘の爽やかな風味のケーキがズラリと並ぶ。また、定番のガトーショコラも外せない。口中に運べば、ミルクチョコレートやカラメルのしっとりとした甘みに頬がゆるむ。

11:00~18:00、日・月休(不定休あり)。
☎04-7186-7692
Instagram:kashi_hitotoki

みりんと醗酵で体が癒やされる~『Odaidoco ととのいごはんとおやつ』

Odaidoco御膳2200円。メインは鶏団子黒酢あん、鯖の麹揚げ黒酢あんから選べる。
「みりんってすごいポテンシャルあるんです!」。

店主の道脇みちよさんは、腸活をきっかけにみりんのポテンシャルに開眼。『白みりんミュージアム』でキッチンマネージャーも務め、2026年5月に開業した。「みりんや醗酵食材で体を整えて」。看板は彩り豊かな御膳だ。季節野菜の冷スープに主菜の鶏団子、こぼれ梅の甘酒、みりんシロップの白玉などの、優しい味わいが胃袋に染み渡る。

11:00~16:30LO(ランチは~14:30LO)、月・火・水休。
☎なし
Instagram:odaidoco_nagareyama

本物のアートはあふれる緑のその奥に『森の美術館』

「竹林や庭は自由に散歩してくださいね~」。

風に揺れてザワザワ音を立てる竹林に、武骨な建物。足を踏み入れれば、優美な展示に心を揺り動かされる。「子供たちに本物を見せてあげたくて」と、館長の森忠行さん。近隣の学校の授業のため、開放日も作っている。展示を観たら、喫茶室でコーヒー飲んでゆったり。なんて贅沢な時間!

入館料大人600円、中・高生300円、小学生以下無料。
10:00~16:00(入館は〜15:30)、月・火休。
☎04-7136-2207

選びがたし多種多様な魅惑のパン『Kushino no Panya』

「事前予約で取り置きもできます!」。
オーガニックビターショコラヘーゼルナッツ450円。
ブルギニョンバターとサバのピカタ風360円。
アルヴェアーレ330円。

「パンを買うその時間を、ちょっと特別にしたくて」と、店主の櫛野雅之さん。どんと構える大理石のテーブルに、白壁には木の設(しつら)え。そこに並ぶパンは多彩で、選ぶのにひと苦労だ。国産小麦が香る食パン、バゲット、総菜パン、どれもいいが、人気のアルヴェアーレは外せない。ハチミツを練り込んだフワ甘生地に、松の実がアクセント。食事にもおやつにも、やみ付きになる。

11:00~18:00、月・水休。
☎04-7156-8110

流山の新名物はハムとソーセージだ!『ハム・ソーセージ職人の店 Umami』

「ぜひ、大切な人へのギフトに!」。
ロースハム厚切りステーキ約650円、スモークチキン約1000円、みりんレバーペースト約650円(価格は1パックあたりの目安)。

「流山の手みやげになるものを」と、2021年に開業。長年、老舗ハムメーカーで腕を磨いた店主の武藤孝雄さんの謹製ハムやソーセージ、ベーコンが看板だ。妻・清子さんが「一番人気」と太鼓判を押すのは、ロースハム厚切りステーキ。これをフライパンにジュワ~。想像するだけで腹が鳴る。流山のみりんを使ったレバーペーストなど、地産食材を使った品も魅力。

10:00~17:00、日・月・火休。
☎04-7199-2877

部屋に加わる彩りを想起させる植物店『Tou+(トウタス) Plants』

「おうちの植物の手入れもご相談を!」。

暮らしに合わせたアイテムを提案する植物店として2022年に開業。観葉植物や多様な鉢が目に映るが、「最近、念願だったブックコーナーも作って」と、店主の佐藤康昭さん。店内の一角に設けられた本棚スペースには、流山の『図書出版みぎわ』が選書した本がズラリ。また、ボタニカルハーブティの販売も。店内を見回し、彩られた自分の部屋を妄想する。

10:00~18:00(土・日・祝は12:00〜)、木休。
☎04-7114-2980

甘みとスパイスの融合した風味に、ハマる『キミとティラミス(Work & Kitchen AZ CAFE)』

キミティラセット1500円。+400円で季節のティラミス(ハーフ)追加もできる。
「僕の渾身のティラミスで元気出して!」。

「辛いことがあった時、ティラミスで元気をもらえた」とは、店主の加藤直哉さん。自身も誰かに元気を与えようと、シェアキッチン『AZ CAFE』で開業した。国産とイタリア産のマスカルポーネを独自配合したティラミスは、トロリとなめらか。自家製スポンジの甘みも加わり、うっとり。もう一つの看板・チャイを啜れば、ガツンと香るスパイスで、次のひと口に誘われる。

11:00~17:00、木・金・土のみ営業。
☎080-4006-1046

腕利きシェフの激ウマフレンチ『bistro 5ans(サンカン)』

パテ・ド・カンパーニュ1000円、鴨のローストと季節野菜のバスク風パエリア仕立て3000円、グラスワイン1000円~。
「ご家族でゆっくり食事を楽しんでね」。

店主の我妻英雄さんは「肩ひじ張らずに、フレンチを楽しんでほしくて」と、品書きはアラカルトのみ。パテ・ド・カンパーニュを口中に運べば、舌の上でほろりと崩れ、頬がゆるむ。メインのパエリアは、ご飯に染みたカモ出汁の風味がブワッ。柔らかな鴨肉とアーティチョークがうまみを引き出し、掻き込む手も、酒も止まらない。

18:30~翌2:00(土は~翌1:00、日は18:00~22:00)、木休。
☎なし
メール:bistro5ans@gmail.com

現在進行形で未来をつくっている

松戸出身の僕にとって、隣町の流山は「陸の孤島」だった。10代の頃、バイクで流山街道を流していたら、明かりがほとんどない農道に出て、満天の星空に驚いたことがある。だから、10年ほど前、初恋の女性から「結婚して、流山に移住した」と聞いて「なんでそんなところに」と、首を傾げた。今となって街の進化を目の当たりにし、彼女に「すごい先見の明だ」とLINEを送ると、「まさかここまでになるとは」と、返って来た。

「私も埼玉県の農村育ちでね」とは、『森の美術館』館長の森さん。「この場所を見つけた2012年頃はマンションもなくて、懐かしい田園風景が広がっていたんですよ」。その景色に心奪われた森さんは、4年がかりで美術館を作り、2016年に開館。そこから10年で風景は変わったが、「来館者の方々に、裏の竹林で採れたタケノコをお裾分けしたら、後日、タケノコごはんにしてお返ししてくれて」と、農村よろしく、微笑ましいご近所付き合いが残っているらしい。

坂川を渡る流鉄流山線は豊かなカラーバリエーションが特徴。

同じく2016年に開業した『Kushino no Panya』の櫛野さんは、「これから街ができていく、その予感にワクワクして」と、直感に従って、店を構えた。「今でも人が増えていて、子供も多い。子供が多いということは、未来がある街だと思うんです」。言われてみれば、街の至る所で子供たちの歓声が聞こえる。

「開業前、タイに住んでいたので、子供が野生児に育っちゃって」と、はにかむ『Umami』の武藤孝雄さん。「そんな野生児も、のびのび過ごせるほど自然豊かなんですよねえ」。

それを聞いた妻・清子さんは「春が好きなんですって。冬眠明けのヘビを捕まえるのが楽しいから」と笑う。「この令和の世に?」と、思ったが、店舗のすぐ横を流れる運河の河川敷を見ていて納得。あふれるような草の匂い! これは、全力で駆け回りたくなっちゃうよな~。

大堀川水辺公園に、子供たちの楽し気な声が響き渡る。

穏やかな風情の中に熱いチャレンジ精神

江戸川台の商店街や流鉄流山駅近辺の蔵造りの街並み。昔ながらの風情にホッとひと息つく。

「所縁(ゆかり)はなかったんですが、自分が研究していたみりんを追っていたら、流山にたどり着きました」とは、『Odaidoco』の道脇さん。みりんの老舗『かごや』で話を聞いて感銘を受け「みりんツアー」を開いていたら、『白みりんミュージアム』の代表の目に留まり、キッチンマネージャーに。2026年、2階に流山所縁の切り絵が並ぶ自店舗を開業した。

もしや、流山はチャレンジ精神を刺激する街なのかもしれない。「起業したいという、機運は高いです」とは、『キミとティラミス』のある『AZCAFE』代表の福田有紀さん。行政書士としての知見を生かして、コワーキング、飲食店、菓子キッチンの3種のシェアスペースを提供。利用者や客同士がつながり、新たな動きが生まれることも多いという。

暮らしを想像しても、何かを始めることを想像しても、明るい予感を抱かせる。迂闊にも、「僕も何か始めようか」と、思ってしまうほどに。きっと、流山の進化はまだ終わらない。

取材・文=どてらい堂(高橋健太) 撮影=井上洋平
『散歩の達人』2026年7月号より

どてらい堂
熱血物書き
インタビュー記事を得意とするが、街頭調査やルポルタージュなど、体当たりな企画はより嬉々として勤しむ1984年生まれのB型男。主に『散歩の達人』で執筆。漫画・アニメ・格闘技オタクで、少年漫画脳な気質が文章にちらほら。たこ焼きの腕だけはプロ以上。

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