ひとり暮らし高齢者の終活支援始まる、10月には終活情報登録事業も、四日市市
もしもの時の備えにと、ひとり暮らし高齢者の終活支援を三重県の四日市市が始めた。市役所3階の健康福祉部高齢福祉課に6月から窓口が設けられ、財産整理、遺言書作成、葬儀や墓などについての相談に応じている。終活に関する個人の希望などを情報ファイルにして保管し、いざという場合に本人の望みに沿った身辺整理ができるように活用する「終活情報登録事業」も10月から始める方針だ。
〇自分の最後を考えるきっかけにも
終活相談窓口には、すでに市民が訪れている。初の試みのため、市側は、どんなニーズが高齢者側にあるかを把握しながら進めたいと考えている。一方、相談に訪れる高齢者も、はっきり何がしたいと分かっている人は少ないようで、漠然とした自分の最後を具体的に考え始めるきっかけの場にもなっているようだ。
窓口を利用できるのは市内在住で身寄りがない、または、頼れる親族がいないひとり暮らしの高齢者など。エンディングノートの作成、財産、所持品の整理、遺言書の作成、相続や贈与に関すること、葬儀や墓に関すること、などについて実質4人の職員が交替で対応している。
〇身寄りの分からない死が増える傾向
少子高齢化の進行とともに、ひとり暮らしの高齢者が亡くなって長い間気づかれないなど、悲しい出来事も全国で起きている。終活支援については市議会でも要望が多く、市への提言も出されていた。身寄りの分からない高齢者の火葬などは最終的に市が行うが、その件数も増える傾向で、亡くなってから関係者探しなどを始めると、遺体のその後を決めるまでの時間が長引き、死者にとってもつらい状況になるほか、その間の市の負担も無視できない状況になるという。
〇高齢者の意思を登録し、いざの場合に備える
こうした背景で始まった相談窓口だが、10月からの終活情報登録事業では、一歩進めて、高齢者が亡くなり意思表示ができない状態になった場合に備え、あらかじめ遺言書の保管場所、連絡したい先、ドナーカードの扱いなどについて本人の意思確認などの情報を取っておき、市が保管しておく。これだと、亡くなったあとから調査を始めるよりもずっと確実で、必要な連絡なども速やかに進められるという。
市は、これらの事業と並行し、終活に関する啓発資料を作成したり、関係のセミナーを開催したりする計画だ。将来に備え、医療やケアについて患者の意思決定を支援するアドバンスケアプランニング(ACP)や、エンディングノートに関する情報も提供していくという。