見過ごされがちな夏の体調不良「熱あたり」 睡眠や集中力の低下など 2024年夏は6割超が経験
ダイキン工業(大阪府大阪市)は、全国47都道府県に住む20歳以上の男女1万4100人を対象に、夏の暑さが健康的な暮らしに与える影響を探る「夏場の熱による体調不良に関する全国調査」を実施し、その結果を公表した。調査では、熱による体調不良を「熱あたり」と定義し、症状の実態などを調べた。
「疲労」「熱中症」も引き起こす 体の熱に潜む「熱あたり」
人体には、体内で生み出した「熱」を使って体温を維持しつつ、過剰な「熱」を体の外に逃がす仕組みがある。一方で、熱を逃がしづらい暑さの中では、体に熱がたまることで、疲労や熱中症などのさまざまな体調不良を引き起こす。この現象をダイキンは、「熱あたり」と名付けた。
調査によると、2024年夏(7月から8月の期間)に、熱中症と診断されるような症状から軽い不調までを含めた「熱あたり」の症状を感じた人は、64.6%に上った。
「熱あたり」経験者のうち、74.1%は、「熱中症に該当するような自覚症状があったが病院には行かなかった」と回答。23.7%は、「日頃のパフォーマンス低下につながるような軽い不調を感じた」と回答した。
なお、病院に行って熱中症と診断された人は2.2%とごく少数で、医療機関での診断などを通じて従来から明らかにされてきた熱中症患者の規模は、「熱あたり」のうちの氷山の一角であると、同社は指摘する。
最も多い症状は「睡眠の質の低下」
具体的な症状としては、「睡眠の質の低下」(51.4%)が最も多く、次いで「疲れがとれない」(46.0%)、「倦怠(けんたい)感」(30.8%)が続いた。このほか、「足がつる」「集中力や判断力の低下」、「大量の発汗」「頭痛」などの症状も挙げられたが、これらは「熱中症」と診断される可能性のある症状であると、注意喚起している。
年齢・地域を問わず 「熱あたり」は夏の共通課題
一般的に高齢者は熱中症になりやすいといわれるが、今回の調査では、世代による大きな差は確認されなかった。「熱あたり」症状経験者は全世代で6割を超えており、世代を超えた夏の共通課題となっていることが明らかになった。
また、各都道府県の「熱あたり」症状経験者の割合の差を調べたところ、いずれの都道府県においても60%を超え、最も高い大分県(71.0%)と最も低い青森県・静岡県・滋賀県(60.3%)の差も10.7ポイントと僅差だった。この結果を受け、同社は、「熱あたり」に大きな地域差はなく、自身も意識すべき熱の問題と捉えた方が良いと分析する。
調査の詳細は同社の公式リリースで確認できる。