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物を捨てられない高齢者の荷物を片付けるためのコツ

「みんなの介護」ニュース

中村 亜美

高齢者と一緒に暮らしていて、よく挙がるトラブルが「片付け問題」です。

「片付けたいのに、高齢者が嫌がる」という話はよく聞きます。

私の祖父も、「もったいない精神」が強く、物を捨てられない性格であったために、よく家族とトラブルになったものでした。

しかし、高齢者の意見ばかり聞いて、部屋の中が片付かないのは一緒に住む人にとっても辛いものです。

そこで、この記事では、大切にするあまり物をためがちだった祖父の事例を紹介しながら、高齢者と一緒に片付けを進めていく方法を解説していきます。

片づけたい家族と物を大切にしたい高齢者の衝突

祖父は今年94歳で他界してしまったのですが、生前はとにかく物を集める癖があり、いろいろな物を捨てられずためこんでいたために、よくきれい好きな祖母と衝突している場面を目にしておりました。

今回は、そのエピソードを紹介していきます。

物を捨てられない祖父のエピソード

祖父は、当時祖母とその娘夫婦(私の両親)との4人暮らしでした。

DIYや庭の手入れが好きであったため、草取りをしてくれたり、家庭で使うさまざまなものをつくってくれたりと、家族にとって助かる面も多くありました。

しかし、その一方で物が捨てられず、車庫には昔の物が多く残っていたのです。

例えば、40年前のもので使いにくくなっているホッチキスや壊れた時計など、「まだ使える」「直せば使える」となかなか捨てられず、残してあったようでした。

きれい好きな祖母は、いつも物であふれている車庫を嫌がり、捨てるように説得しましたが、祖父は聞く耳を持ちません。

聞く耳を持たないどころか物がどんどん増えていく状況に対して、ついに堪忍袋の緒が切れた祖母が祖父の前で勝手に物を処分。目の前で勝手に処分されたことで祖父は激怒し、一時期は夫婦の間に確執ができてしまうほどでした。

その後、お互いの気持ちが落ち着いた頃に祖父が体調を崩し、入退院を繰り返すようになりました。

祖母は、祖父の目の前で捨てることを辞め、入院をしていて本人が居ない時間に少しずつ物を処分するようにしたそうです。

祖父は知らない間に処分されたことに気づかなかったようで、片付けの件で揉めることはなくなりました。

上記のような対応がうまくいったのは、次のような理由が考えられます。

祖父は、捨てられない性格ではあるが実は一つひとつの物に執着があるわけではなかった
実際は捨てられても困る物がなかった

このように、祖父が物を捨てられない理由が「癖」であったからだと思います。

そのため、勝手に捨てられていても、気づかず新たなトラブルに発展することはありませんでした。

また、夫婦の長年の関係性の中で、祖母自身も「捨てたら祖父が本当に困る物」はなんとなくわかっていたため、適切に捨てる物ととっておく物を分別できたことも大きなポイントであったのかもしれません。

しかし、祖父の事例のようにいかないケースもあるでしょう。

高齢者が「なぜ物を大切にしているのか」「なぜ捨てられないのか」を理解しないまま、勝手に処分してしまうケースが多いからです。

高齢者の気持ちを理解しないまま、物を「勝手に捨てること」で新たなトラブルが起こる可能性もあるため、注意が必要です。

まずは、高齢者が物を捨てたくない心理から理解していきましょう。

高齢者が物を捨てたがらない背景

高齢者で物を捨てたがらない人は、実際によくいます。

私も介護施設でさまざまな高齢者と接してきましたが、物を大切にされる方が多かった記憶があります。

ティッシュ1枚でさえ捨てられずに大事そうにポケットにしまっていた方もいたほどでした。

高齢者の中には、戦前・戦後の物がない時代を生きてきた方が多いため、その名残で今でも物を大切にされているのだと思います。

昔、私が関わった高齢者はこんなことを仰っていました。

「この洋服一つもね、もう古いけど、捨てたら、他の人の洋服がなくなったときにあげられないでしょう?縫えばまた使えるんだから、とっておくの」

この方は認知症を患っており、会話をしていても、ときどき戦後の子育て真っ最中の頃の自分に戻ることがありました。

戦後、物がない頃の自分に戻っているため、自分が洋服を捨てたら誰かにあげることができなくなることを心配していたのでしょう。

私は、その話を聞いたときに「物を捨てたくないのはその人の思いやりだったのかもしれない」と感じました。

このように高齢者が物を捨てたがらない理由の多くは、その方が生きてきた時代背景や家庭環境による癖であると思います。

また、逆に、今まではきれい好きだったのに、急に部屋が散らかるようになった場合や冷蔵庫の中の物が処分できなくなった場合など、これまでとは違う行動が見られたら、認知症や他の疾患によるものの可能性もあります。

片付けを進めたい場合には、その理由をまずは考えてみることが大切です。

高齢者の行動を観察しながら、「もともとの性格であるのか」「疾患によるものなのか」または「高齢による体の機能の衰えで疲れやすく片付けが億劫になっているのか」など、片付けられない原因を探りましょう。

勝手に片づけるのではなく、一緒に生活環境を整えていく

片付けが進まない理由が、高齢者のもともとの性格によるものであった場合には、勝手に捨てるのではなく、一つひとつ確認しながら物を一緒に処分していくことをおすすめします。

しかし、人によっては、一つひとつ確認していては全ての物に対して「捨てたくない」となってしまい、余計に片付かないということもあると思います。

そういった場合には、期間を設けて少しずつ片づけることを提案してみてはいかがでしょうか?

例えば、1週間に1個だけ処分すると決めて、高齢者と相談しながら片付けを進めていく方法です。

捨てていい物と保留にしたい物を、高齢者に聞きながら片付けを進めて、保留したい物は期間を設けて再度高齢者に確認を取るようにします。

繰り返し行えば、「あのときは欲しいと思っていたけど、今はいらないかも」と高齢者が思うこともあるかもしれません。

早く物を処分して片付けをしたい家族の気持ちもわかりますが、本人は「大切な物」と思い込んでいる可能性も高く、それを勝手に捨てたり、処分を強行したりしたら、高齢者の心を傷つけてしまいます。

それがきっかけで、関係が悪くなってしまうのも辛いところです。

お互いの意見が違う場合には、無理にどちらかの意見を通すのではなく、譲り合って片付けを進めていけるのが理想的です。

高齢者の気持ちを考えたうえで、自分の意見も少しずつ伝えていけると良いでしょう。

それでも悩む場合には、他の人やサービスを頼ることも検討しよう

記事で紹介したように「話し合いで片付けを進めることが難しい」ということもあると思います。

その場合には、他の人に相談したり、地域包括支援センターで話を聞いてもらったりするのもおすすめです。

高齢者が家族の話を聞かない場合、近所の方や親戚、主治医など、その高齢者が信頼している人に諭してもらうのも手です。状況を説明して困っていることを伝えれば、協力してもらえるかもしれません。

また、介護サービスや民間のサービスを利用することで解決できる可能性もあるため、地域包括センターやケアプランセンターなどで話を聞いてもらうのも良いでしょう。

高齢者の性格や状況に合った方法で、お互いが気持ちよく過ごせる環境を整えていきましょう。

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