切り方や調理のコツも!けんちん汁の定番具材とおすすめ変わり種
けんちん汁は「具だくさん」がおいしさのポイント
けんちん汁とは根菜類を中心に炒めてから煮込む、具材たっぷりのしょうゆやみそベースの汁物のことです。だし汁をベースにしょうゆかみそでシンプルに味付けするため、各具材のおいしさを活かす切り方や調理するタイミングでおいしさが決まります。
この記事では、けんちん汁の定番具材の調理のコツや、おすすめの変わり種具材をご紹介します。
けんちん汁の定番具材
大根
大根はけんちん汁に欠かせない具材で、やわらかい食感とすっきりした風味が特徴です。煮ることでだしや味噌の味がよく染み込み、全体の味をまとめてくれます。
切り方
切り方は、幅8mmほどのいちょう切りや短冊切りなど薄めにすると火が通りやすく、味もしみやすくなります。
下ごしらえ・加えるタイミング
基本的に下ごしらえは不要ですが、大きめに切った場合やえぐみが気になるときは、軽く下ゆですると口当たりが良くなります。煮えにくい根菜類のひとつなので、にんじんやごぼうと一緒に最初に入れるのがポイントです。
にんじん
にんじんの鮮やかな色はけんちん汁の見栄えをグッとアップさせてくれます。煮込むと甘くなってけんちん汁をやさしい味わいにしてくれるのも特徴。
切り方
火が通りにくいため厚さ6mmほどの薄切りにして使います。細いにんじんは半月切り、太めのにんじんはいちょう切り、もしくは短冊切りにしましょう。
下ごしらえ・加えるタイミング
大根より火が通りにくく煮崩れしにくいため、やや薄めに切るのがポイントです。食感を楽しみたい場合は大根と同様に小さな乱切りにする方法もあります。クセがないため下ごしらえ不要です。大根と一緒に最初から鍋に入れて調理しましょう。
ごぼう
ごぼう独特のやさしい香りが汁に溶け込み、絶妙な隠し味になります。香りが強い皮を落としすぎず、包丁の背でやさしく表面の土や汚れをこすぐ程度にするのがコツです。
切り方
ごぼうの存在感を出したい場合は2cm幅ほどの斜め切りに、ほかの具材となじみやすくしたい場合はささがきにしましょう。小さな乱切りにして食感をしっかり残す方法もあります。
下ごしらえ・加えるタイミング
切ったあと水に1分ほど浸すとアクが抜けて変色も防げます。ただし、浸水時間が長いと風味や旨味が抜けやすいため、水に浸すのは1分以内にし、変色を気にしない場合は下ごしらえを省略して調理しても問題ありません。火が通りにくいにんじんや大根などの根菜類と同じタイミングで鍋に入れましょう。
里芋
里芋はねっとり食感とやさしい甘さで、けんちん汁のおいしさを底上げしてくれる具材。
切り方
根菜類のなかでは火が通りやすく煮るとやわらかくなるので、にんじんより厚めの1cm前後幅に切るのがおすすめ。小サイズの里芋は輪切り、中・大サイズは半月切りにすると火の通りがちょうどいいです。
下ごしらえ・加えるタイミング
ぬめりが気になる場合は切ったあとにさっと水に浸して混ぜ、やさしくぬめりを取って使ってください。厚めに切った場合はほかの根菜類と同じタイミング、薄めに切った場合は汁をひと煮立ちさせてから加えましょう。
しいたけ
旨味の濃いしいたけは煮ることで風味が溶け出し、だし汁としての役割もしてくれます。
切り方
しいたけは、1cm程度の幅に切るか、半分から四つ割りにして使いましょう。軸は縦に切るか手で裂いて一緒に使ってください。大きめに切るとしいたけのぷりっとみずみずしい食感を楽しめますよ。
下ごしらえ・加えるタイミング
しいたけは下ごしらえ不要ですぐに使えます。水洗いすると旨味も一緒に流れてしまうのでご注意ください。根菜類より火が通りやすいため、汁をひと煮立ちさせてから加えます。
豆腐
けんちん汁に入れる豆腐は、水分量が少なく崩れにくい木綿豆腐がおすすめです。木綿豆腐はほろほろ崩れる食感で、味染みも良いのが特徴。
切り方
水切りしてから食べやすい大きさになるよう手でほぐすかヘラで粗くつぶして使うと、ギザギザの断面から味が染みやすくなります。見栄えを気にする場合は1.5cm角程度の角切りにしましょう。
下ごしらえ・加えるタイミング
味がぼやけるのを防ぎ、味染みを良くするため、水切りする下ごしらえが必須です。豆腐1丁をキッチンペーパーで包んで電子レンジ500Wで2分ほど加熱してから、重しをのせて30分ほど放置しておくとしっかり水分が抜けます。根菜類がやわらかく煮えてから鍋に加えてください。
こんにゃく
こんにゃくのプリプリ食感はけんちん汁のアクセントとして活躍してくれます。
切り方
ほかの具材となじみやすいよう、薄めか小さめに切って使います。見栄えを気にする場合は8mm幅ほどの短冊切りに、味をしっかりなじませたい場合はスプーンや手で小さくちぎりましょう。
下ごしらえ・加えるタイミング
こんにゃくは独特の臭みが少しあるため、切ってから塩でもみ込んで5分ほど置き、湯を沸かした鍋で3分ほどゆでて使うのがおすすめです。根菜類と一緒に炒めてから煮るとより臭みが軽減して味染みが良くなりますが、下ごしらえした場合は汁が煮立ったあとに加えてもおいしく仕上がります。
油揚げ
けんちん汁には油揚げも欠かせません。油揚げのコクがけんちん汁に染みわたり、ほかの具材の甘さや旨味を引き立てます。
切り方
油揚げの存在感を出したいときは短冊切りに、ほかの具材となじませたい場合は1~1.5cm程度の角切りにしましょう。
下ごしらえ・加えるタイミング
油揚げはそのまま使うと油っぽさが強く出てしまうため、多めの湯で2分ほどゆでてから冷まし、湯をしっかり切ってから使います。油っぽさがほどよく抜けて味が染みやすくなりますよ。汁が煮立ってから加えてください。
長ねぎ
長ねぎは特有の上品な風味と甘さで、けんちん汁の旨味をより深くしてくれる具材です。
切り方
長ねぎを隠し味として使いたい場合は薄い斜め切りかみじん切りにし、しんなりやわらかい食感を残したい場合は1cmほどの斜め切り、独特のぬめり食感を残したい場合は2cmほどのぶつ切りにして使いましょう。
下ごしらえ・加えるタイミング
長ねぎは下ごしらえ不要ですぐに使えます。食感を残したくない場合や、香ばしさを出したい場合は根菜類と一緒に炒めてから煮込むのがおすすめ。食感を残したい場合は、汁を煮立たせてから油揚げと同じタイミングで加えてください。
けんちん汁の変わり種具材
かぼちゃ
かぼちゃは甘みが強くほっくりねっとり食感が楽しめるのが特徴です。存在感があって甘さが溶け出しやすいため、甘口のけんちん汁を作りたいときにぴったり。とくに油揚げのコクとよく合います。
かぼちゃは煮崩れやすいため、にんじんや大根より大きめに切るのがポイント。ひと口大に切るか1cm幅の薄切りにし、下ごしらえなしで調理しましょう。だし汁と同じタイミングで加えて煮てください。
さつまいも
さつまいもも甘くてほっくり食感ですが、煮崩れしにくく甘さが溶け出しすぎないのが特徴。けんちん汁の塩気とほどよいさつまいもの甘さが絶妙に合います。1cmほどの厚さになるよう、小サイズのさつまいもは輪切りや乱切り、中サイズは半月切り、大サイズはいちょう切りにしましょう。
さつまいもの下ごしらえは必須ではありませんが、アクや変色が気になる場合は水に5~10分浸してから使ってください。里芋と同じタイミングで加えて調理します。
長芋
長芋はけんちん汁に入れるとほっくり食感が楽しめる具材です。加熱すると粘りがなくなって味が染みやすくなるので、けんちん汁に違和感なくなじみます。にんじんや大根より火が通りやすいため、少し厚めの1cm幅程度の半月切りやいちょう切り、もしくは小さな角切りにすると食べやすいです。
長芋は下ごしらえ不要で、すぐに使えます。だし汁と同じタイミングか、汁をひと煮立ちさせてから加えましょう。
れんこん
れんこんはほくほくシャキシャキの食感が特徴で、味が染みやすくだし汁ともよく合います。火が通りやすく煮崩れもしにくいため扱いやすい具材です。にんじんや大根と同じくらいの厚さの輪切り、もしくは半月切りかいちょう切りにして使いましょう。乱切りにしても食感が楽しめます。
下ごしらえは必須ではありませんが、水にさっと浸すと黒っぽくなる変色を防げます。にんじんや大根などの根菜類と同じタイミングで鍋に入れて調理しましょう。
けんちん汁の基本レシピ
材料(2〜3人分)
・木綿豆腐……1/2丁(150g)
・大根……100g
・にんじん……1/4本(50g)
・ごぼう……1/3本(50g)
・こんにゃく……1/2枚(100g)
・長ねぎ……1/2本(50g)
・油揚げ……1/2枚
・ごま油……大さじ1杯
・だし汁……600cc(だしの素:小さじ1と1/3杯、水600cc)
調味料
・酒……大さじ1杯
・みりん……小さじ1杯
・塩……小さじ1/3杯
・薄口しょうゆ……大さじ1杯
下ごしらえ
・豆腐はキッチンペーパーに包んで水気を切る
・大根とにんじんは皮をむいて5mm幅のいちょう切りにする
・ごぼうはささがきにして水にさらす
・長ねぎは1cm幅の斜め切りにする。
・油揚げは熱湯をかけて油抜きをし、1cm幅の短冊切りにする
作り方
1. こんにゃくはスプーンでちぎり、沸騰したお湯で2分下ゆでしてザルにあげ、水気を切ります
2. 鍋にごま油を引いて中火に熱し、大根、にんじん、ごぼう、こんにゃくを油がまわるまで炒めます
3. ②に木綿豆腐を手でちぎりながら加え、サッと炒めます。だし汁を加え、沸騰させて
アクを取り、フタをして弱火で10分ほど煮ます
4. 長ねぎ、油揚げ、調味料を加えて弱火で5分ほど煮て完成です
お好みの具だくさんの絶品けんちん汁を作りましょう
根菜類がメインのけんちん汁は、具材たっぷりで作るのがおいしさの秘訣。それぞれの具材の魅力を引き立てる切り方や調理するタイミングを意識すれば、自然の旨味あふれる絶品けんちん汁が作れますよ。
具材の種類や切り方、鍋に加えるタイミングの正解はひとつではないので、好みの食感や味わいをイメージしながら、ご紹介した方法を参考にして作ってみてください。
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ライター:Uli(フードコーディネーター/パンシェルジュ/薬膳アドバイザー/レシピライター)