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「車両感覚めちゃめちゃいい」ほめて伸ばす令和流の教習所 “ほめる達人”に聞いた3つのコツと言い換えとは 

Sitakke

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新入生、新社会人が多い春。「ほめて、やる気を伸ばすこと」が重要なんだそう!

そんななか、北海道内にある「ほめて伸ばす教習所」が、いま若い世代に人気なんです。

指導員は「車両感覚がめちゃくちゃいい。目の運びが上手い。常に進行方向を見るのは最高」とまさにほめまくり!

指導を受ける側の教習生からも「ほめられたらやっぱり気持ちいい」「できなくても否定するのではなく『大丈夫だよ』って優しく声をかけてくれる」と高評価です。

かつての厳しい指導も、時代とともに変化。

ほめてやる気にさせる今ドキの自動車学校に密着です。

北海道帯広市の帯広第一自動車学校です。

2023年10月から、道内で初めて「ほめて伸ばす教習」を取り入れています。

大事にしているのは「認める」こと。

佐藤元信指導部長は「上っ面だけをほめるとか、お世辞を言うとかではない。見逃してしまっていることに光を当てて、やる気を伸ばす教習です」とその意図を語ります。

笑顔のチェックをクリアしないと業務が進まない!

職員の1日は、カメラでの笑顔チェックから始まります。

笑顔度が90パーセントに達するまで、次の業務には進めません。

さらに、朝礼で取り組むのは、二人一組で「ほめる練習」です。

準備も整ったところで「ほめて伸ばす教習」がスタート。

通い始めて1か月、横山セナさん(18)の教習の様子をのぞかせてもらいました。

ミスをしても…

真っすぐに進み、カーブを曲がって停止する…。

指導員の牧野正義さんはさっそく「ちょっとずつアクセル踏んでいくの正解」と横山さんをほめます。

少し緊張気味の横山さん。停止線を越えてしまいましたが…そこでこんなやり取りが。

指導員・牧野正義さん「速度コントロールとブレーキは完璧。ただ1個だけ、どうしても気づいてほしいことがあった。たぶん気づいていたと思う。何か1個だけ失敗した。なんだ?」

教習生・横山セナさん「停止線を越えてしまいました」

指導員・牧野正義さん「そうだね。越えちゃったね。よく気づいたね。いま、一時停止があるなって気づいたけど、たぶん優しいブレーキを踏もうって意識したよね。これすごくいいから。この状態を維持しながら今度は停止線から越えないように止まってみよう」

ミスをしても叱るのではなく、励ますように指導します。

タイヤが溝に落ちても…。

指導員・牧野正義さん「いま何か発生した、なんだと思う?」

教習生・横山セナさん「後ろのタイヤが脱輪してしまった」

指導員・牧野正義さん「そう脱輪した。これを何と言うでしょうか?」

教習生・横山セナさん「内輪差」

指導員・牧野正義さん「そう内輪差、正解。よく覚えていた。いまもうちょいスピードが遅かったら、めちゃめちゃいいカーブを曲がれていたと思う」

指導員の優しい言葉に、ハンドルを握る横山さんの顔もほころびます。

「失敗してもほめてくれたりするので、自分としてもモチベーションが高くなって次も頑張ろうという気になる」と話してくれました。


少子化で入校者数は

生徒の評判も上々の「ほめて伸ばす」指導法。

導入のきっかけは、少子化による生徒数の減少です。

車の免許が取得できる18歳人口が減り続ける中、帯広第一自動車学校でも、ピーク時の1968年には2800人以上いた入校者数が3割以下にまで減少しました。

命にかかわる現場だからこそ、“厳しい指導”を続けてきましたが、いままでと同じ教え方では伝わらないことが多いといいます。

帯広第一自動車学校の佐藤元信指導部長も苦悩を語ります。

「伝えたいことがなかなか響かないというか、昔はそれで伝わったのに、いまの教習生にはなかなか伝わらない」

そこで、ほめることによって、教習生みずからがやる気を出してもらう今の指導にたどり着きました。

その結果、「いまは自分から率先して、乗りたいという気持ちが教習生に芽生えてきている」のだといいます。

「ほめる」ことでどんな効果があるのか、精神科の香山リカさんに聞きました。

ほめられることで行動の活性化につながり、意欲や自己肯定感が高まり、周囲との関係性も良くなるということです。


怒りたいときの代わりの言葉は…

ほめる達人に、ほめ上手になるコツを伺いました。

日本ほめる達人協会札幌支部の認定講師、棟安祐也さんによると、ポイントは「3S」だといいます。

3S=「すごい」「さすが」「すばらしい」

これを口癖することがポイントだそうです。

とは言え、どうしても「ほめられない時」があると思います。

「全然違う!」と言いたくなる場合もあるでしょう。

その場合も「コラ!」と、叱ってはいけないんですよね…。

どうしてもほめられない時は…「そうくるか」と言ってみましょう。

言われた相手は、「間違ったかもしれないけど努力は認めてくれている。もう一回やり直してみよう」などポジティブな気分になります。
 
もうひとつ、ほめるコツとして、ネガティブな言葉を前向きに変換する方法も効果的です。

[頼りない・優柔不断]→[慎重に物事を考える・繊細]

[落ち着きがない・うるさい]→[元気が良い・積極的]

[飽きっぽい]→[いろんな考え方ができる・変化に敏感]

[わがまま・頑固]→[自分を持っている・主張に自信がある]

いま一度、身近な人、家族のいいところに目を向けてみると、良好な関係を築けるだけではなく、自分自身も前向きになれるきっかけになりそうです。

文:HBC報道部
編集:Sitakke編集部あい

※掲載の内容は「今日ドキッ!」放送時(2024年4月2日)の情報に基づきます。

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