「日本の発展途上国化が止まらないですよ」中小企業、最新設備導入の資金余力小さく
5月30日の「おはよう寺ちゃん」(文化放送)では、木曜コメンテーターで京都大学大学院教授の藤井聡氏と寺島尚正アナウンサーが、中小企業の資金余力に関するニュースについて意見を交わした。
藤井氏「デフレだから中小企業にしわが寄ってる」
日本企業の生産性を高めるには中小への支援が欠かせない。最新設備を導入して人手不足を解消しようにも、原料高や賃上げでコストがかさみ、資金を振り向けられない企業が多いといわれる。
日本政策金融公庫が取引先の中小に実施した調査によると、2023年度に設備投資をした企業は25.9%と4社に1社にとどまった。
寺島アナ「中小企業の資金余力が小さいとのことですが、藤井さん、これはどうお考えでしょうか?」
藤井氏「まぁ、そうなりますよね。中小企業の経営が厳しければ設備投資、要するに投資そのものを縮退するのは必然的な流れですからね。だから中小企業は儲かってないっていうことですよね」
寺島アナ「そういうことになりますねぇ」
藤井氏「まず最初に切るのは未来への投資であり、それと同時に削られるのが賃金を引き上げるということですから、だからそうなりますよね」
寺島アナ「設備投資の目的も既存設備の『補修・更新』が57%で最大でした。ということは、今ある機械を新しくしようということですから、新たに一歩踏み出すという、そういうものっていうのは半分以下になってるということのようですね」
藤井氏「そういうことですよね」
寺島アナ「ですから、生産性の向上につながる『省力化・合理化』は26.2%と少ない結果にもなっています。事業を効率化しようにも現状維持でいっぱいいっぱいという中小企業が、この数字を見ても多いんだなというのがわかってくるわけですが『じゃあどうしたらいいのか?』っていうことですね、藤井さん」
藤井氏「いまは表面的にはコストプッシュインフレでインフレになってるから、デフレではないと言いますけれども、コストプッシュインフレ部分や円安の影響等々を除けば、いまだに事実上デフレの状況なんですよ。デフレだから中小企業にしわが寄ってるわけであって、広い意味で言うところのデフレ脱却をすれば、こういう問題から脱却できるっていうことですからね。
だからアベノミクスはまだ全然完成してもないわけですから、アベノミクスっていうものが完成するまで成功するまでやればいいっていうだけの話ですよね。だから逆に言うと、こういうデータがまたアベノミクスの必要性を示しているということだから、ちゃんと内需拡大、要するに財政政策をちゃんとやれと。消費税減税なり公共投資の拡大なりをやりゃあええんだということなんですけど、岸田文雄さんは全くやる気がないじゃないかと」
建設業界は資本金1億円未満の中小企業が全体の99%を超える。物流業界はトラック運送会社のうち99%を従業員300人以下の中小が占める。
寺島アナ「中小企業は日本の労働者の約7割を雇用しているとも言われておりまして、ここに最新設備の導入が進めば、日本の競争力っていうのはかなりアップすると考えられますもんね?」
藤井氏「当たり前ですよ。日本の生産性、産業の生産性っていうのは大半が中小企業なんですから、そこで設備投資がされていなかったら、日本の発展途上国化が止まらないですよ」