オンワードの働き方改革、女性管理職比率が3割超に 広がる「カエル会議」と人的資本経営の深化
オンワードホールディングス(東京都中央区)は10月22日、同社が推進する働き方改革プロジェクト「働き方デザイン」における2024年度の進捗を発表した。
社員一人ひとりが自発的に取り組むこのプロジェクトでは、管理職級における女性比率が3割を超え、離職率は5.7%と国平均(12.1%)を大きく下回るなど、人的資本経営の深化とともに目に見える成果が表れている。
取り組みはグループ各社にも広がっており、「カエル会議」などの社内対話を通じて、働き方そのものを見直す動きが加速している。
オンワードグループの「働き方デザイン」とは?
「働き方デザイン」は、オンワードグループが2019年8月にスタートした独自の働き方改革プロジェクト。業務効率化とワーク・ライフ・バランスの両立を通じて生産性向上をはかることを目的とし、社員が自ら働き方を見直し、行動変容を促すことを重視している。
その象徴的な取り組みが、チーム単位で週に一度実施される「カエル会議」。「自分たちがより良く働くために何ができるか」を考えるこの対話の場を通じて、業務改善や組織風土の変革が着実に進んでいる。
2024年度の主なトピックス 管理職級の女性比率が3割超に
女性の活躍推進に向けた取り組みが成果を見せている。オンワード樫山において、2025年3月1日時点で管理職級の女性比率が31.1%に到達。前年の29.4%(2024年3月時点)から増加し、リーダー層における多様性が広がっている。
背景には、以下のような施策がある。
メンター制度の拡充
2022年度から導入された「メンター制度」は、先輩社員が後輩社員のキャリア形成をサポートするもの。オンワード樫山を皮切りに、2024年度はチャコット(渋谷区)、大和(中央区)、アイランド(世田谷区)などグループ各社にも拡大。
メンティは月2回程度の面談を通じて、キャリアの悩みや成長課題に向き合っている。
ダイアログセッション
2023年度より開始された、社長と管理職による対話形式の「ダイアログセッション」も好評だ。
2024年度は「イノベーションの促進に向けたダイバーシティ」をテーマに、性別を問わず36人の管理職が参加。新たな仕組みとして、社員からアイデアを集める「VOICE UP! ONWARD」も誕生している。
「カエル会議」がグループ各社に拡大 全社的な改革につながる
オンワードコーポレートデザインでは、2024年9月から2部署で「カエル会議」を導入。8か月にわたる取り組みの成果を社内で共有し、全社的な改革へとつなげている。
ユニフォームセールス1部1課
・課題:属人化、残業
・対策:業務の洗い出しと役割分担、「myノー残業Day」の導入
・成果:残業時間を約19%削減
インサイトセールス1部1課
・課題:ノウハウの属人化、業務効率
・対策:マニュアル整備と検索性の向上
・成果:若手とベテランの情報格差を是正、チーム内の対話促進
グループ会社でも改革が進行 「働き方デザイン」の取り組みが広がる
チャコット、大和、アイランドでもメンター制度の導入など、「働き方デザイン」の取り組みが広がっている。
企業ごとの特性に応じた実践が行われ、人的資本経営の深化につながっている。
これまでの進捗と外部評価
オンワードグループは、働き方改革と人的資本投資を段階的に進めてきた。
主な制度導入・改革
・2022年3月:出産・育児支援制度ガイドブックを制定
・2023年5月:勤務間インターバル制度など柔軟な勤務制度を導入
・2024年2月:人事制度を改定し、人的資本投資を強化
具体的な成果
・男性育休取得率(2022年):国平均の2倍超となる27.3%
・平均勤続年数(2024年):約4年増加し、働きやすさの定着が進行
・離職率(2024年):5.7%と、2018年度比で約5割減少(国平均12.1%)
受賞実績(2024年度)
・「D&I AWARD 2024」ベストワークプレイス(2年連続)
・「マイナビ転職BEST VALUE AWARD」アワード大賞
・「キャリアオーナーシップ経営 AWARD 2025」優秀賞
発表の詳細は、同社リリースで確認できる。また、2023年度の取り組みは当メディアの記事でも紹介している。