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世界が誇るデニムの街・岡山が生んだクラフト志向のチョコレート「Bean to Bar」の魅力

saita

世界が誇るデニムの街・岡山が生んだクラフト志向のチョコレート「Bean to Bar」の魅力

ショコラティエ―ル(女性チョコレート職人)が作るチョコレートは、どこもで出会ってもアイデアが自由で、おいしさが無限なことに驚きます。今回も例にもれず「全部の工程を私の手で」と、徹底したクラフト志向から生まれたBean to Barと出会いました。

alfer Chocolateへの道

今回は岡山へ…久しぶりに乗った新幹線こだま号では車内販売が無いことを除けば快適です。駅まで迎えに来てくれた友人R嬢と大阪から同行したK嬢とともに、ひとまず県道沿いの珈琲店でお茶をすることに。Google mapで調べると、そこからBen to Barチョコレートが自慢のalferまでは「徒歩11分」。ご機嫌な様子でパフェやゆず茶を楽しむR嬢&K嬢に手を振って、秋深まる田園地帯を、私はひとり歩き始めました。

のどかな田園地帯に潜む、本格Bean to Bar

いけどもいけども、田んぼと用水路と住宅ばかり…心細くなってきたところにやっと見つけました。疑って悪かったGoogleよ!そしてHPの記載通り、道路を挟んで向かい側にはセブンイレブンがありました。

出迎えてくれたのは、オーナー自作のBGM

入口を入ると、心地よい音楽が!ご挨拶もそこそこに「この音楽は?」とお聞きすると「はい、オリジナルなんですよ。アプリで私がちょこちょこっと…。」と笑顔で迎えてくれたのはオーナーシェフの阿地由季子(あちゆきこ)さん。ポコポコと心地よい響きが楽しくて「これはカカオを割っている音かな?」と、ちょっと意味不明なことをつぶやいていると「ああ、そんな感じですね~!」と応じてくださいました。(や、優しい!)

人生、懸けていますから!

オーナーの阿地さんは「お菓子はしょっぱい系の駄菓子が大好きで、コンビニでもまずはそちらの棚に行っちゃいますね(笑)。でも、チョコレートはとにかく面白いんです。普通、食べ物っておいしいかおいしくないか、でしょう?でもチョコレートはそれ以上に魅力があるんですよ。カカオとお砂糖だけしか使わないのに、試行錯誤を繰り返すとそれが味の奥行きになって表れてくれるのが、本当に楽しくて…。もう、人生懸けてるんで(笑)」

うまい棒が大好きだと言いながら、チョコレートの話をしだすと阿地さんの瞳はキラキラと輝きだして、どんどんお話に引き込まれました。

今、食べちゃっていいですか?

取材中に「ちょっといただいてもいいですか?」と、ひとかけ口に入れると…最初に輪郭のハッキリしたベリー系のような酸味が。次にローストの火を感じさせる煙のような香りがして、スパイスのような刺激が舌先に残りました。舌触りはとても繊細で滑らかなのに、味はとてもダイレクト!おそらくチョコレート好きの人でなくても「えっ?なにこれ?なにこれ?」と驚く美味しさに違いありません。

クラフトの中で自分を表現していきたい。

alferのチョコレートはコンチングと言われる、チョコレートをなめらかに練り上げる工程以外は、全て手作業で行われています。「一番好きな作業は?」とお聞きすると、「カカオ豆の皮をむいている時です」と即答。とにもかくにもいつも素材に触れていたい、自分の手から生み出すことが大好き!というのは、デニムを扱っていた時から変わらない、のだそう。「どうすればカッコいいダメージができるのか、どの薬品をどう使えば…と実験を繰り返すことは全く苦にならなくて、だんだん自分のイメージに近づいていくのを感じながら考えを深めるのが楽しいんですよ」。

おいしさの秘密は?

皮を丁寧にむく作業を見せてもらいながら、よりクリアにカカオの味を響かせるために胚芽を取り除くということにも驚きましたが、もう1つ。ローストについてもこだわりがあるようです。「Bean to Barはカカオの味で勝負をするので、個性が出しにくいんですが、どうしても味に奥行きを出したくて…よりわかりやすく各産地のカカオの個性を立たせたいというのもあって、ローストの加減にわざとムラを出しています」。なんでも通常は均等にローストをして、コーヒーと同じように、深め、中間、浅め、と分けるところを、阿地さんはまだらにカカオをローストするのだそうです。

そして、素敵なコラボも…

私が楽しみにしていたのが、この「あんチョコサンド」。alferの商品は、ほぼ阿地さんおひとりで作られているため、特に手間のかかるこちらは限定商品とお聞きしていました。なので、アポを取る際に思い切って「あんチョコサンドを買って帰りたいんですが…」と図々しいお願いをしたほどです。カカオの味がクリアに響くalferのチョコレートと、キメの細かい藤戸まんぢゅうのこしあんが合わさるとどうなるか?…いやもう絶対おいしいに決まってる!そう信じていましたが、素人チョコレート愛好家の予測はズバリ正解パーフェクト!でした。

あんチョコサンドは「藤戸まんぢゅう」さんと。

カカオニブの香ばしさがサクサクおいしいクッキーに、少しだけこしあん寄りのチョコレートクリームがサンドされていて、その複雑で絶妙なおいしさは格別!コーヒーととても良く合い、ボリュームもあり、最高のおやつです…と言っても取材中に食べてはいけませんね(汗)。

カカオ豆の皮むき作業は、「オレンジの会」さんと。

膨大な数のカカオ豆の皮むきが「一番好き」とはいえ、全てひとりでやっていては、チョコレート作りには辿りつきません…そこで、alferでは、ひきこもりや・障害・貧困をはじめとする社会的孤立状態に置かれた人たちを支援するオレンジの会の協力を得ています。まずローストしたカカオ豆をオレンジの会へ送り、作業を終えたものがまた送り返されて来るのです。貴重な就業を支援することにもなり、ここにも心がふれあうコラボレーションがもうひとつありました。

alferの魅力は、ゆるやかなグラデーション!

ファッション業界を志した女の子が、自分の生まれ育った土地の産業の素晴らしさに気づき、デニム加工に没頭していた時…彼女が目指していたのは「カッコいいダメージと色ムラ」でした。そして、いつしかチョコレートの「面白さ」に魅せられ、この道を進み始めたときに、再びデニムの作業に没頭していたあの頃に目指した、色ムラ…すなわち、ローストのグラデーションが、味に奥行きを出す、ということに気づいたのです。
alferのチョコレートのおいしさ、楽しさ、面白さは、これまでの彼女の足跡が全てが消えることなく、まろやかに溶け合い、独自のBean to Barとなっています。

そういえば、ご自身がデザインしたカワイイネイビーのパーカー…いやフーディーというのね、多分…あのロゴもキレイな虹色のグラデーションでした。思わず「売ってないんですか?」と聞いちゃいましたが、こちらは残念ながら非売品。そして、阿地さんの次なる目標は「カフェ」とのこと。その時には、おしゃれなグッズやアパレルもぜひ展開してもらいたい…と、密かに楽しみにしています。

次回は、スーパー・コンビニチョコの冬の名物と言えば…のアレ!をピックアップします。

みやむらけいこ/ライター

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