殺人犯の脳は他の人とは違う?41人の殺人犯と同数の非犯罪者に対して、脳にどんな違いがあるか実験した結果?【図解 犯罪心理学】
殺人と関連する前頭前皮質
近年、脳機能と犯罪の関係についての研究が注目されています。これは、脳の作りや障害によって、暴力的になるなどの影響が見られないかを調べたものです。
レインは、41人の殺人犯と同数の非犯罪者に対して、脳にどのような違いがあるかの実験を行いました。これは、見ている画面に◯印が現れると反応ボタンを押すという単純なもので、これを32分間行い、その間の脳の活動を調査したのです。その結果、殺人犯は脳の前頭前皮質と言われる部位の働きが弱いことがわかりました。
前頭前皮質は、脳の前側にある部位で、事前に計画を立て、行動を調整し、衝動を抑制。さらには集中力を維持する機能のある部分です。この部位が十分に働かないことによって、怒りがコントロールできなくなり、衝動的な暴力、ひいては殺人に発展していくメカニズムがあるのではないかと考えられます。
この前頭前皮質の障害については、事故でこの部位を損傷した人が、その後、攻撃的で衝動的な性格に変わってしまったという事例も見られます。
なお、冷静沈着で計画的に犯罪を遂行する連続殺人犯の中には、前頭前皮質に損傷や異常が見られないケースもあります。
出典:『図解 眠れなくなるほど面白い 犯罪心理学』