瀧田昌孝ソムリエが解説! ドイツは理想的な栽培地、多様なスタイルが魅力のシュペートブルグンダー(ピノ・ノワール)~「進化するドイツワインとモダンインディアンキュイジーヌのハーモニー」レポート⑥
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シュペートブルグンダーとはドイツのシュペートブルグンダーの特徴多様性が強み
Wines of Germany日本オフィスは2024年6月27日、SPICE LAB TOKYO(東京都中央区)にて「進化するドイツワインとモダンインディアンキュイジーヌのハーモニー」を開催した。
当日は、パレスホテル東京グランドキッチンのアシスタントマネジャー&ソムリエの瀧田昌孝氏を講師に迎え、ドイツワインとインド料理とのペアリングとともに、ドイツワインの最新情報について解説があった。
今回の記事では、ドイツワインの“今”を知るキーワード「シュペートブルグンダー(Spätburgunder)」について紹介する。
シュペートブルグンダーとは
「今ドイツで最も熱いぶどう品種」と瀧田氏が紹介したのが、シュペートブルグンダーだ。シュペートブルグンダーはピノ・ノワールのドイツ名で、2006年からは、フランス、アメリカに続いて、ドイツが栽培面積で世界第3位となった。
ドイツのシュペートブルグンダーの特徴
シュペートブルグンダーの最大の特徴は、軽やかなアルコール度数だという。瀧田氏が生産者から聞いた話によると、ブルゴーニュなどで栽培しているピノ・ノワールと比べて、ドイツでは糖度が上がりづらいクローンを使っているそうだ。糖分はアルコール発酵に使われるため、糖度が高いとアルコール度数が高くなりやすい。
温暖化により、ぶどうの糖度は上がりやすくなっているが、果皮に含まれているフェノールという成分も非常に重要で、糖度と同じくらいフェノールを成熟させることも重要だ。
糖度が上がってもフェノールが熟していないとやぼったいワインになってしまうため、糖度を抑えながらフェノール値を上げていく必要がある。それを実現するのが、夜に冷たい風が吹くこと、1日の寒暖差があるといった条件だ。バーデン地域やファルツ地域はその条件に恵まれており、糖度が上がりづらい傾向にあるという。
多様性が強み
シュペートブルグンダーにとって、ドイツは理想の栽培地だという。冷涼な気候でありながらも、暖かくて日照に恵まれている。それだけではなく、「ドイツのワイン栽培地が持つ多様性は強み」と、Wines of Germanyは強調する。
シュペートブルグンダーはドイツで長い歴史を持ち、ドイツ国内の全ての産地で栽培が可能だ。異なる気候や土壌、栽培、醸造方法により、多彩なスタイルのワインが生まれている。
▼イベントで提供されたシュペートブルグンダー
【ワイン詳細】
グンダースハイマー シュペートブルグンダー エアステ・ラーゲ 2020
Gundersheimer Spätburgunder Erste Lage 2020
生産地:ラインヘッセン
生産者:グッツラー
品種:シュペートブルグンダー
アルコール度数:12.5%
参考小売価格:7500円(税込)
アルコール度数は12.5%と低めだが、濃密さのあるワインだ。「最近ではブルゴーニュのグラン・クリュ(特級畑)のワインが、一般的に14%ぐらいのアルコール度数であることを考えると、いかにこのワインの密度が濃いかが分かります」と瀧田氏は解説していた。
<登壇者:瀧田昌孝ソムリエ>
2019年にGerman Wine Instituteが主催する「Sommelier Summer Class」に参加。ドイツの醸造学で最も権威のあるガイゼンハイム大学にて、世界14カ国から集まった50人のソムリエと共に1週間の研修を受けた。現在はGerman Wine Academy(ジャーマン・ワイン・アカデミー)の公認講師としても活動している。