2024年9月21日からの「秋の全国交通安全運動」で知っておくべき重点ポイントを解説
2024(令和6)年9月21日(土)から9月30日(月)の10日間に実施される「秋の全国交通安全運動」は、広く交通安全思想の普及・浸透を図り、交通ルールの遵守と正しい交通マナーの実践を習慣付けるとともに、道路交通環境の改善に向けた取り組みを推進することにより、交通事故防止の徹底を図ることを目的としています。近年は「モペッド(ペダル付き原付)」「電動キックボード(原付及び特定小型原付いずれも)」といった新しいモビリティが街中でも多く見られ、多様化する交通事情に対応した取り組みにもなっています。そんな「秋の全国交通安全運動」の取り組み内容を詳しく見ていきます。
9月下旬に「秋の全国交通安全運動」が実施されるワケ
「全国交通安全運動」は毎年春と秋の2回行われます。今年のように、秋は9月下旬に開催されるのですが、その理由は日暮れが早くなる10月からの交通事故死亡者数が増えてくるからです。令和6年1月4日にて警察庁 交通局 交通企画課より発表された「令和5年中の交通事故死者数について」において、令和5年中の交通事故死者数(24時間以内)は2678人と、前年比+68人(+2.6%)と、8年ぶりに増加という報告がありました。
その中の『令和5年 (2023) 月別死者数の推移』を見ると、10月から交通事故の死者数が増えており、9月までは明るい時間帯も10月になると薄暗くなり、、対向車や歩行者が見えにくくなることで交通事故が引き起こされているのです。後述する「秋の全国交通安全運動」重要ポイントにも「反射材用品等の着用推進」や「早めのライト点灯やハイビームの活用促進」は、そうした背景から記載されています。
バイクによる交通事故死亡者数についても、上記の図『令和5年 (2023年)二輪車乗車中における死者数推移』にまとめた通り、令和5年は残念ながら増えてしまいました。四輪車に比べてバイクは不安定な乗り物なので、正しく安全に乗ることを改めて意識し、マナーの良い運転を心がけていきましょう。
また交通事故そのものを防ぐことはもちろん、万が一の事故の際に命を守ってくれる用品を正しく身に付けるようにしましょう。ヘルメットのあご紐をしっかり締めることと同時に交通事故での死亡原因でも上位にある胸部を守る胸部プロテクターを着用するようにしましょう。
3つの重点ポイント
今回の「秋の全国交通安全運動」における重要ポイント3つを解説します。
1 反射材用品等の着用推進や、安全な横断方法の実践等による歩行者の交通事故防止
「令和5年 秋の全国交通安全運動」の重要ポイント「こどもと高齢者を始めとする歩行者の安全の確保」に、より具体的な対策が盛り込まれました。
交通事故死者数全体のうち、歩行中の割合が最も高く、特に夜間における歩行中の交通事故による死者数が多くなっている。また、歩行者側にも走行車両の直前・直後横断や横断歩道外横断等の法令違反が認められる。このため、歩行者に対し、反射材用品等の着用とともに、安全な横断方法を実践するよう促していくことが必要である。
さらに、次代を担うこどものかけがえのない命を、社会全体で交通事故から守ることは重要であるにもかかわらず、交通事故による幼児・児童(小学生)の死者・重傷者では歩行中の割合が高く、特に、歩行中児童(小学生)の死者・重傷者の通行目的では登下校が全体の約4割を占めるなど、依然として道路においてこどもが危険にさらされている状況にある。また、歩行中の交通事故による死者数のうち65歳以上の高齢者の占める割合が高いことにも留意が必要である。
夜間時の歩行者が交通事故に遭うケースが増えているため、暗がりの中でも運転者が歩行者を認識しやすくするための反射材の着用が推奨されます。また薄暮時など早めにライトを点灯することで、他車や歩行者などから自車の存在を早期に認識してもらうことができ事故回避にも繋がります。
2 夕暮れ時以降の早めのライト点灯やハイビームの活用促進と飲酒運転等の根絶
昨年の「秋の全国交通安全運動」重要ポイントを継続して対策する内容になっています。
例年、日の入り時間が急激に早まる秋口以降は、夕暮れ時から夜間にかけて重大事故が多発しているほか、死亡事故の第1当事者の多くは自動車の運転者で、歩行中の死亡事故の多くが道路横断中に発生している。また、飲酒運転、妨害運転(いわゆる「あおり運転」。以下同じ。)等の悪質・危険な運転による交通事故も後を絶たない。このため、自動車等の運転者に対して、夕暮れ時以降の早めのライト点灯やハイビームの活用促進と飲酒運転等の根絶を図る必要がある。
なお、自動車乗車中における後部座席シートベルトの着用者率やチャイルドシートの使用者率がいまだ低調であるほか、75歳以上の高齢運転者による死亡事故は、免許保有人口当たりでみると、75歳未満の運転者と比較してより多く発生しており、その要因としてハンドルの操作不適やブレーキとアクセルの踏み間違いなどが多くなっていること等にも留意が必要である。
ライダーも飲酒運転や妨害運転をしないのはもちろんのこと、ハイビームを積極的に活用するなどして歩行者等を早めに発見できるようにすることも大切です。
3 自転車・特定小型原動機付自転車利用時のヘルメット着用と交通ルール遵守の徹底
こちらも令和5年秋と今年の春の「全国交通安全運動」の重要ポイントを継続する形で、自転車、そして電動キックボードなど特定小型原付の利用者へ交通ルールを遵守するよう働きかけています。
自転車関連事故に関し、全事故に占める割合は増加傾向にあり、自転車乗用中の交通事故死傷者数は10歳以上25歳未満の若年層の割合が高い。また、自転車乗用中における乗車用ヘルメット非着用時の致死率は、着用時と比較して高く、自転車乗用中死者の人身損傷主部位は、頭部が半数以上となっている。さらに、自転車乗用中の死亡事故では、自転車側の多くに法令違反が認められる。加えて、道路交通法の一部を改正する法律(令和4年法律第32号)の施行により、令和5年7月1日から特定小型原動機付自転車に関する新たな交通ルールが定められ、利用者には交通ルールを理解した上で安全に利用することが求められており、乗車用ヘルメットの着用についても努力義務が課されている。このため、自転車・特定小型原動機付自転車の利用者に対して、乗車用ヘルメットの着用と交通ルール遵守の徹底を促していくことが必要である。
バイクにヘルメット着用義務があることはライダーなら誰もがご存知ですが、自転車や電動キックボード等を利用する際もヘルメット着用を心がけましょう。
期間
1 運動期間:令和6年9月21日(土)から30日(月)までの10日間
2 交通事故死ゼロを目指す日:令和6年9月30日(月)
主催
内閣府,警察庁,総務省,法務省,文部科学省,厚生労働省,農林水産省,経済産業省,国土交通省,防衛省,都道府県,市区町村,独立行政法人自動車技術総合機構,独立行政法人自動車事故対策機構,独立行政法人日本高速道路保有・債務返済機構,自動車安全運転センター,軽自動車検査協会,(一財)全日本交通安全協会,(公財)日本道路交通情報センター,(一社)全日本指定自動車教習所協会連合会,(一社)日本二輪車普及安全協会,(一社)日本自動車連盟,(公社)日本バス協会,(公社)全日本トラック協会,(一社)全国ハイヤー・タクシー連合会
安全で快適な交通社会を実現させるため
子どもが犠牲となる痛ましい交通事故や、飲酒運転や妨害運転などの悪質で危険な運転による交通事故が後を絶ちません。こうした事故をひとつでも減らせるよう、まずは私たち一人一人が交通ルールを守り、相手に対する思いやりやゆずり合いの気持ちを持って交通マナーを実践することから始めたいところです。安全で快適な交通社会を実現させるため、みんなで安全運転に努めましょう。
お問い合わせ先:令和6年秋の全国交通安全運動推進要綱(内閣府) 、交通事故統計(警察庁)