クレマン・ド・ブルゴーニュ50周年を祝う記念行事
クレマン・ド・ブルゴーニュは、1975年のアペラシオン創設から50年を迎えた今年、様々な記念行事を開催している。その一つとして、5月15日に、クレマン・ド・ブルゴーニュの代表的な生産者であるリュリー村のメゾン・ピカメロで、メディア向けの興味深い試飲会が行われた。また、翌日5月16日、クロ・ド・ヴージョで盛大に50周年記念夕食会が開催された。
メゾン・ルイ・ピカメロの取り組み
コート・シャロネーズ地区のリュリー村に、1926年に設立されたメゾン・ルイ・ピカメロは、ブルゴーニュで最も古いクレマン生産家の一つとして、今もなお家族経営を続け、極上のスパークリングワインを造り続けている。現在は3代目のフィリップ・ショタール氏が経営を担い、祖父ルイ・ピカメロの哲学を受け継ぎながら、現代的な技術と革新的なアプローチを取り入れている。ショタール氏の情熱は、単なるスパークリングワインの製造を超え、ブルゴーニュのテロワールをクレマンで表現するという芸術的な境地を目指している。
最新設備への投資
2000年に、メゾン・ルイ・ピカメロは村にある古い石切り場を取得し、岩盤をくり抜いて最新設備を備えた醸造所に改造した。この地下セラーは単なる製造施設ではなく、緑化された屋根と石壁によって自然な温度管理が可能となり、環境に配慮したアプローチの象徴でもある。総工費300万ユーロを投じたこの施設は、ワインツーリズムの拠点としても機能している。現在17haの自社畑を所有し、年間生産量は25万本に抑えている。
メゾン・ルイ・ピカメロの最大の特徴は、すべてのクレマン・ド・ブルゴーニュが単一ヴィンテージであり、リザーブワインやヴィンテージ間のブレンドを一切行わないことである。これは「ハウススタイル」よりも、その年のテロワールの純粋な表現を重視するメゾン・ルイ・ピカメロの哲学によるものだ。
使用品種と栽培方法
ブドウ品種は主にピノ・ノワール(50%)、シャルドネ(30%)、アリゴテ(20%)で、すべて手摘みで収穫される。注目されるのは、サン・トーバン村の「アン・シャゾ」と呼ばれる標高400メートルの区画から生まれる単一畑のクレマンで、これはピノ・ノワール100%で造られるブラン・ド・ノワールの傑作だ。
垂直テイスティングの実施
今回、このスペシャルボトル「アン・シャゾ」の垂直テイスティングが企画された。
フィリップ・ショタール氏は試飲の冒頭で「シャンパーニュがなければ、我々の存在はなかった。だから彼らには最大限の敬意を払っている。しかし、我々のアプローチはシャンパーニュのそれとは一線を画すもの。シャンパーニュが複数の畑やヴィンテージをブレンドする『アサンブラージュ』によってメゾンのスタイルを確立したのに対し、我々が追求しているのはブルゴーニュワインの本質、すなわち『テロワール』の表現だ」と語った。
テイスティングノート
用意されたボトルは2019年、2018年、2017年、2016年、2014年、2013年、2011年、2010年、2008年の9本。
2019年- 2023年7月にデゴルジュマン。フレッシュで溌剌としたクレマンの良さが味わえる。
2018年- 太陽に恵まれた年。熟した豊かな味わい。ドザージュが2.25g/Lと少ないため、個性が際立っている。
2017年- 2018年の丸みとは対照的に、やや閉じた、細身のクレマン。
2016年- 少し熟成した、軽いブリオッシュのニュアンスが出始めている。
2014年- 少し黄金色が増し、熟成が進んでいることがわかる。複雑でデリケートなアロマが感じられる。
2013年- ブルゴーニュにとって、冷涼で収穫が遅れた非常に難しかったヴィンテージ。やや膨らみと果実味が乏しく、調和に欠けたワイン。
2011年- 参加者の多くが美味しいと高く評価したワイン。香りが複雑で、フレッシュ感が長く続く。
2010年- 熟成が進んだ、豊かな味わいのワイン。
2008年- 2017年11月にデゴルジュマン。長い瓶熟成により、複雑さと活力があり、このキュヴェの可能性を示す典型的なワイン。
クロ・ド・ヴージョで開かれた祝賀ディナーの冒頭、全国クレマン生産者連盟のドミニク・フルラン氏は、歴史家トマ・ラルー氏の研究によって明らかにされたクレマン・ド・ブルゴーニュの歴史に言及し、クレマンが持つ文化的背景を強調した。この夜はまた、特別来賓としてルクセンブルクのハンセン農務大臣が出席し、クレマンの国際的な広がりを象徴する場ともなった。